二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- chater02 〜モウ一度俺ニ愛ヲ下サイ〜 学級裁判編 ( No.95 )
- 日時: 2013/10/30 22:58
- 名前: ランスロット (ID: VnmAEQod)
「くるみいいいいいいいいいいいいいいん!!!!!!!!」
裁判場に佐藤さんの悲痛な叫び声がこだまする。
…雨宮さんは、最期まで佐藤さんのことを考えていた。自分よりも、佐藤さんのことを心配していた。
他人のために殺人を犯し、私を最期まで信じていた。そして、おしおきにも絶望せずに立ち向かった。
なんて、勇敢で、度胸のある少女だったのだろう。
「いやっほううううううう!!!!いや〜、友情ごっこを見た後のおしおき、全身に活力がみなぎるよね!!!
雨宮さん、最後に何て言ってたと思う?『ごめん』だってよーーーーーーーー!!!!
バカらしくて笑えちゃうよね!!!ぷひゃひゃひゃひゃ!!!!」
「もう…こんなの嫌だよぉ…!!!くるみぃん…!!!」
「モノクマ!!佐藤さんをおちょくるのはやめなさい!!」
私がモノクマを睨み付けると、彼は不機嫌そうに口をとんがらせて反論する。「ボクは楽しかったのに〜」、と。
佐藤さんは雨宮さんを失った喪失感で、何とも言えない顔になっていた。
「…佐藤ちゃん…」
「あたし…もう…こんなところ…いたくないよ…!!」
「じゃあ、今この中の誰かを殺しちゃう?」
「…それは…いや…!!」
モノクマに必死に反論する彼女は、雨宮さんの残していった希望を必死に信じているようだった。
しかし、そんな最後の希望も、あいつは無塵にも踏み砕いていく。
「希望なんて捨てて、絶望に身を寄せちゃいなよ。佐藤さんは雨宮さんに裏切られ、勝手に死んでいったんだよ」
「やめろよ!!佐藤がかわいそうだろ!!!」
「うるさいなー。話の邪魔しないでよ。あ〜あ、興ざめしちゃったから今回はここで帰るけどさ。
佐藤さん。これだけは覚えておいてね」
そいういうと、モノクマは狂気を帯びた表情で、彼女に向かって言い放った。
「人は必ず絶望するんだよ。希望なんてまやかしさ、うぷぷぷぷ」
…それを聞いた佐藤さんの表情…。まるで、氷のように冷たい表情をしていたのが分かった。
…絶望。そんな言葉が似合う、そんな表情だった。
私がモノクマに言い返そうと思って彼の方向を向いてみる。しかし、モノクマは既にその場から消えていた。
…私の胸の中には、後悔と、喪失感だけが残っていた。
「…戻ろうぜ。ホテルに…。いつまでも、ここにいるわけにはいかんだろ」
「…私も、賛成だよ」
「佐藤ちゃんは私と花岸ちゃんでホテルまで連れて行くよ。神谷ちゃんは先に戻ってて」
仲間から向けられる温かい言葉。
…その時は黙ってそれに甘えていたけど、私の心が晴れることはなかった。
入手アイテム
『星形のブローチ』
雨宮くるみの遺品。
同人作家と一緒に行っていたイベントで、彼女のファンから貰ったブローチ。
この街に閉じ込められた後も、このブローチをお守りにして心を強く保っていた。
- chater02 〜モウ一度俺ニ愛ヲ下サイ〜 学級裁判編 ( No.96 )
- 日時: 2013/10/31 22:10
- 名前: ランスロット (ID: hap96gvm)
…学級裁判が終わって、一同はホテルへと戻る。
しかし、その足取りは皆重い。今回の学級裁判は、前回よりも重い雰囲気で終わりを告げた。
親友である佐藤さん、そして狙われた私を守るために、雨宮さんは影浦くんを殺すことで、暴走を止めた。モノクマのいう通り、確かに人殺しは最低な行為だ。だけれども、今回ばかりはそう思えなかった。
私の命が助けられたからなのかもしれないが、彼女が彼を止めなければ、私が殺され、影浦くん以外の全員も犠牲になっていたのかもしれない…。
何も、考えたくなかった。何も、何も。
私は夕食にも顔を出さず、自分の部屋の中で自分の殻に閉じこもっていた。
…そんな、その時の話である。
「…神谷?入ってもいい?」
「話がしたい。入れてくれ」
「神谷様。ご無理はなさらなくてもよろしいですが…、私も、貴方様と話をしたいです」
声からして、冥雅くん、神崎くん、モニャンだろうか…。
私に、何の用だろうか。
「…何?」
「夕食会にも全然顔出さなかったしさ。ちょっと心配になって」
「…雨宮のこと、引きずってるんだな?」
神崎くんに図星をつかれる。いや、ここに来た時から突かれるだろうなとは思っていたのだが。
こう、言葉にされると…やはり事実が重くのしかかる。
「…雨宮さんは、私が殺したようなものよ。佐藤さんのことも気になって、部屋に様子見に行ったんだけど…。『くるみん殺し』って言われて、追い返されちゃった」
「それは俺たちも同じだよ…。結局、雨宮に投票したから、俺たちはこうして生きてるんだし」
「言い方は、かなり悪いけどな…」
顔には出していなかったが、どうやら二人もあの裁判を重く捉えていたらしい。私の言葉を聞いては、うん、うんと頷いて慰めてくれた。
…何故だろうか。何故二人はこんなにも私に尽くしてくれるんだろうか。
「…ねぇ」
「何?」
「どうして、私に構うの」
「…え?」
「放っておけばいいじゃない…。心身ともに弱った私なら、殺すチャンスでしょ?でも、なんで殺さない道を選ぶのか、私には分からないわ」
自分でも酷い言葉をぶつけてしまったんだと思う。だけれども。それが、今の私に出すことのできる精一杯の言葉だった。
きっと、二人は幻滅するであろう。きっと、この場から身を引いてしまうだろう。
でも、そんな私の思いも二人は吹き飛ばしてしまった。
「そんなわけないだろ!俺、言ったよね?『神谷は俺が守る』って」
「……」
「…冥雅も俺も、神谷を見捨てるなんてしないよ。悲しいことも、辛いことも、苦しいことも、楽しいことも。全部、共有するんだ。…だって、俺ら『仲間』だろ?」
「『仲間』…」
「そうだよ。村上が死んだのから始まって、俺らは見てはいけないものを沢山見てきた。だからこそ、だよ。そこから逃げちゃいけないと思うんだ。だから…一人で何でもしょい込もうとするな」
「俺…最初にカフェであんなこと言ったときから…さ。本当に神谷に…惚れてたんだからな。俺にも、なにかカッコいいことさせてよ。神谷に、ちゃんと見てほしいんだ。『仲間』って意味をさ」
「…二人とも…」
いつの間にか、私の目には涙があふれていた。…私には、仲間がいる。死んでしまった仲間もいるけれど、私達はその人達の分まで生きなければならない。
…今、思い出した。私は、こんなところで殻に閉じこもっている場合ではない。もう、殺し合いなんて起こしてはいけない。残った全員で、この場所から。こんなくだらない場所から。出ていく。
「…ありがとう、二人とも。目が、覚めたわ」
「じゃあ、明日の朝食会にはちゃんと来てね。みんな心配してたんだからさ」
「神谷がいないと、なんとなく覇気がないんだよな…。いつもの会話にもさ」
「なにそれ…!」
いつものやり取りにも、少しだけ微笑みが戻っていた。
すると、そんなタイミングを見越したように、モニャンが口を開く。
「…少し、よろしいでしょうか」
「モニャン。何?」
「この街の謎…知りたくないですか?」
「まさか、モニャンはこの街の謎を知っているのか…?!」
突然発せられたモニャンの衝撃の事実。
私はその言葉に驚き、何も言えなくなっている。そして、モニャンはこう続けた。
「…私は、この街に…住んでいました」
…住んでいた…?
じゃあ、モニャンは…………
『希望ヶ峰学園の生徒』ってことになるの…………?
<死亡者>
「超高校級の女形」影浦凍耶
雨宮くるみによって殺害される。
サバイバルナイフによる刺殺。
「超高校級の着ぐるみ職人」雨宮くるみ
2回目の学級裁判のおしおきによる処刑。
毒入りデザートの毒により、死亡。
<生き残りメンバー> 残り:13人
「超高校級の知識」神谷春子
「超高校級の幸運」冥雅雪斗
「超高校級のパティシエール」安西桃花
「超高校級のDJ」神崎満月
「超高校級の弓道部」花岸美那子
「超高校級のディーラー」シオン・スカーレット
「超高校級のマジシャン」佐藤かがみ
「超高校級の映画監督」白戸佳織
「超高校級のダンサー」豊島未来
「超高校級の科学部」羽柴陸斗
「超高校級の図書委員」長月舞子
「超高校級のハッカー」秦野吟也
「超高校級の美化委員」星野梓沙
chater02 〜モウ一度俺ニ愛ヲ下サイ〜 非日常編/学級裁判編 END