二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: イナズマイレブン〜試練の戦い〜 ( No.30 )
- 日時: 2014/02/27 19:24
- 名前: しずく ◆CD1Pckq.U2 (ID: Wwp0q0mP)

「いてっ!」
夏未がグローブに手を触れると、円堂は反射的に手を引っ込めた。
「オレたち……負けたのか」
試合が終わるころには、空はすっかり茜色に染まる。円堂たちが座るベンチの後ろの池の水面も、空の色を映して鮮やかに、時折波紋を生み出しながら揺れていた。
「やっぱり実力が違いすぎる。本当にこのままで勝てるのか……?」
誰もが思っていることを風丸が言う。みなはますます沈黙する。でもそんな中で、不意に円堂が立ちあがった。
「オレ、さっきあいつらのシュートが見えた」
みんなが下げていた頭を円堂にむけて、注目する。
「ほんの少しだったけど……あいつらのシュートの動きが見えたんだ」
「本当か! 円堂!」
「ああ。あと少しで、あいつらのシュートを止められそうだった。さっきの試合であいつらのシュートを、受けまくったからな」
痛々しい見た目なのに円堂は笑って見せる。それを見たみんなが、少しだけ微笑みかえす。
「だからさ——みんなも諦めるな! 努力すれば、道は必ず開ける!」
「そうだな。オレたちは、常に諦めず進化し続けて来た。これからもきっとそうだろう」
「ああ!」とか「オレたちならやれる!」と皆が口ぐちに声を上げ、チームの雰囲気が高まって行く。そこで黙っていた瞳子が口を開く。
「ようやくまとまってきたようね」
「はい瞳子監督!」
「なら監督として、一つ指示があります」
瞳子はちらっと豪炎寺に目配せし、豪炎寺が何かに気がついたような顔をした。
「豪炎寺くんには、チームを離れてもらいます」
「えっ!?」
誰もが驚かずにはいられなかった。
エースストライカーである彼を、チームから外すと言うその言葉に。
「監督! なんで豪炎寺を外すんですか! 彼を外したらこのチームのフォワードは染岡だけ……決定力にかけすぎます!」
すぐに風丸が疾風の如く瞳子を非難する。
しかし瞳子は凛とした表情を崩さないまま、
「彼がこのチームにいると、私たちは地上最強にはなれないのよ。このチームのためにも、豪炎寺くんにはチームを離れてもらいます」
「豪炎寺がシュートを外したからですか! おい豪炎寺! おまえもなんか言えよ——」
憤る円堂の口調がだんだん弱くなり、ついには消えた。
豪炎寺が、本当にチームから避けるように池の橋を渡って行くのが見えた。本当に瞳子の決断を、あっさり受け入れてしまったかのようだった。
「待てよ! 豪炎寺!」
円堂が、遠くなる豪炎寺の背中に呼びかけた。
豪炎寺は橋の上で進むのを止める。
「オレたちは地球を守るって決めただろ! 今日、ここでジェミニストームには負けたけど……新しいスタートを切ったじゃないか! 新しい仲間も増えて。それなのにここでいなくなってどうするんだよ!」
円堂は、心の思いをありったけ豪炎寺の背中にぶつけたようだった。長く叫び、何度も豪炎寺の名を呼ぶ。
「すまない円堂……」
低く感情を押し殺すような声で、小さく言った。
「オレがいるとチームに迷惑がかかる。……監督の言う通りだ。悪いがオレはチームを抜けさせてもらう」
短く簡潔に言うと、豪炎寺はまた歩き始めてしまった。その背には悲しみと申し訳ない気持ちが渦となって表れているように蓮は思えた。
「豪炎寺! オレたちはいつでもお前のことを待っているからな!」
急に円堂が声を張り上げた。まるで下校する友達と別れ、また明日〜と言うような口調であった。
その口調にさすがにチーム内にどよめきの色が生まれる。
「…………」
豪炎寺は一度歩みを止めた。振り返らないままで。でも、何か光り輝くものが彼から飛び散った気がした。しかしそれを確認する暇もないくらいの時間で、豪炎寺は奈良シカ公園の夕日の中へと消えて行った。
〜二章完〜
