二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: イナズマイレブン〜試練の戦い〜 ( No.72 )
- 日時: 2014/03/22 13:36
- 名前: しずく ◆UaO7kZlnMA (ID: Heq3a88y)
「うっ……」
「白鳥?」
しばらく穏やかに眠っていた蓮が突如呻いた。浅い呼吸を繰り返し、顔中に冷や汗が張り付いている。
蓮の急変に気づいた風丸が円堂と共に、蓮の身体を激しく揺さぶる。すると蓮はうっすらと目を開けた。
「白鳥?」
円堂が心配そうに蓮の顔を覗き込む。蓮は、魂を抜かれたように揺さぶっても反応しない。痛みを必死に堪えているのか、顔が時折苦痛によってゆがめられる。
瞳子を呼ぼうと円堂と風丸が顔を上げると、フィールドからジェミニストームの姿がなくなっていた。まるで初めから存在しなかったかのように、気配すら残っていない。冷たい一陣の風がフィールドを吹きぬけた。風が声を運んでくる。
『ふん。ずいぶんと愚かな連中だな』
とても低い中年のおじさんを思わせる渋い声。円堂はあたりを注意深く見渡すが、誰もいない。白い雪が積もるだけ。
その声を聞いたとたん、蓮は苦しげに身をよじる。
「誰だ!」
警戒心をあらわにしながら、円堂が声の主に吠える。声はふんっと鼻で笑う。
『私か? 私の名は『デザーム』。エイリア学園ファーストランクチーム『イプシロン』のキャプテンだ』
「イプシロンだって?」
新しいチーム名が聞こえ、雷門イレブンに緊張と不安が走る。皆、強張った面持ちでせわしく辺りを見渡すが、声の主は見つからない。
『そう不安げな顔をするな』
まるで見ているかのような発言に、雷門イレブンは雷に打たれたように呆然とする。
『だが我々に挑む気があるのならば、京都へと足を運ぶがよい。そこでわれらは貴様ら雷門イレブンをまとうではないか。ははははっ!』
再び北風が吹きつけ、高笑いを持ち去っていく。風がやむころには、空気はしんと静まり返っていた。声はするはずもなく、何もかも風が持ち去ってしまったようであった。
〜三章完〜
北海道編までコピー完了。
参照1000突破ありがとうございます^^
1000記念に短編を一本上げようかと思います。