二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: ダンガンロンパ 〜ようこそ勝ち組ヶ丘学園〜  ( No.42 )
日時: 2014/02/13 23:16
名前: 紅茶 (ID: hzDRnUrf)

chapter4 落ち武者式ソナタ第36楽章〜敗北〜


コロシアイ学園生活12日目
「ピンポンパンポーン。海の遥か彼方から朝日が昇って参りました。お前たち朝です。今日も1日リゾート気分で過ごしましょう」
「…」
…ここは?確か私は学級裁判が終わって、梶野の処刑を見せられた後、それからどうしたんだっけ? 
本当にそれ以降の記憶が全くない。学級裁判後に必ず見る悪夢も見たのかすらわからない。ただ私は気がついたら自分の部屋のベッドの上にいた。
もう少し、ここにいたいが朝だしみんなレストランに集まっているころだろう。私は重い体をベッドから下ろしレストランに向かった。


ーレストランー
レストランに着いたのだが、私以外に人影は見当たらない。時間は集合時間を少し過ぎているが誰もいない。私はレストランを出て外を見たが、外は静かだった。
5分程しても誰も来ないので私は部屋に戻って二度寝することに決めた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「これで君は完全に…だよ」
その場にいた男は少女にそう告げる。少女は嬉しそうとも悲しそうともしない顔で男を見ていた。男は少女の手を引っ張りながら歩いていく。
「そうそう、君のお父さんが実験台になってくれたおかげでようやく装置が完成しそうだよ」
「人の記憶を消したり、思い出させたりする装置のことよね?」
男は笑いながらそうだ、と呟く。
少女と男はある建物の中に入っていく。ずっと歩いていき中央に大きな機械がある部屋までやってきた。
男はその機械を少女に見せびらかせようとする。ただ少女が興味あるのは機械ではなく、機械の中で生け贄となっている男だった。
「その男のことがそんなにも気になるか?そいつを我々に差し出したのはお前だがな」
その機械の実験台、すなわち少女の父。そいつは機械の中で動きもせずじっとしていた。男によると既に実験は成功し記憶は全てなくなっているという。
名前ぐらいは覚えている状態で実験を終えようとしてらしいが、実験の際に使ったものが思ったより刺激が強く今のようなほとんど死んでいる人間と同じようになっているらしい。
「とりあえず第一段階は合格だ。次はこの世界の希望の光である[勝ち組]の誰かで試してみたいものだ。それが成功する事によってこの実験は終わりを告げる」
「新しい実験台を私に連れてこいと?」
「話の理解が早くて嬉しいよ。[勝ち組]の輩をここに連れてこい」
少女は返事もせずにその場から離れてしまった。
しかし、少女はそこであることに気付く。

命令されるのは嫌だ

そう感じてしまってから少女はまた同じ部屋まで戻り男を引っ張り機械の中に入れた。
「お、おい待て!何をする!?」
「生憎、命令されるのは嫌いなんでね。まずあなたで実験したいと思います。[負け組]でも記憶を自由に操れるのか。もちろん、終わったら成功しようが、失しようが殺しますよ、目障りなんで」
少女は既に実験開始のボタンを押していた。

少女が負け組として生まれ変わった瞬間。

Re: ダンガンロンパ 〜ようこそ勝ち組ヶ丘学園〜  ( No.43 )
日時: 2014/02/16 22:42
名前: 紅茶 (ID: hzDRnUrf)

「うっ…」
悪夢、それは忘れたころにやってきた。今回の悪夢は誰が誰か全くわからなかった。最初は琴音と呼ばれる少女、その次は私、その次は不明。この3人の共通点、それを考えてるうちに頭痛が走った。
あんまり考え事もしたくない。今日はゆっくりしたい。そう思っていた時だった。
“ピーンポーン”
誰かが私の部屋を訪れた。恐る恐るドアを開けてみるとそこにいたのは松谷だった。
「今日、レストランに来なかったけどどこか具合でも悪いの?」
「朝レストランには行ったんだけど誰もいなかったから部屋に帰ってきたんだけど」
「あれ?士導さん聞いてなかったの?今日は朝は集まらず昼に集まるってこと」
私は昨日の学級裁判後の記憶がない。疲れきって覚えていないのだろうけど。要するに私がちゃんと話を聞いていなかったからみんなと会えなかった。でも、何で記憶が飛んだり…夢のあれが使われたとか?そんなことはないか。大体あんな大きな機械があったらすぐにバレてるよな。何を考えてるんだ私は。
「士導さん!士導さん!考え事してるところ悪いんだけど新しいエリアが開放されたんだ。早く探索しに行こう」
「あ、ああ。先行っといてくれ。すぐに追いかける」
そう言うとドアを閉め、探索の支度を始めた。


「士導さん!こっちだよ、この門の向こうだよ!」
私は松谷の言われるがまま門を通った。新しいエリアを一言で言い表すのならば、どう考えても一言で表すのは難しい。長くなるが言うなら音楽に染められたベネチア。門を出ればすぐそこには船が置いてある。移動は全て船だ。さらにその船からは180度どこを見ても音楽、音楽、音楽だった。エリア内には名曲が次々と流れて続けていた。
しかし、はっきり言って私は音楽に興味はない。私たちの中で音楽が好きな人間と言えば超高校級のドラマーの池面ぐらい。また新たに殺人に使われる場所と凶器が増えただけ、少なくとも私はそうだった。
「松谷はどう思う?このエリアのこと」
「おもしろい発想だなーって思うけど、移動が面倒だね。おっと着いたよさぁ降りて」
松谷は船を岸に止めるとある建物の中に入っていった。


ー落ち武者大音楽館ー
一足踏み入れれば大聖堂のような景色が私を待っていた。奥には大きなピアノが一台、手前にはたくさんの椅子。凄い、の一言しか出てこなかった。実際はバーチャルの世界出し、金なんてかからないからやりたい放題だから発想さえあれば何でもできるんだが。落ち武者は発想力豊かなんだなと感心する。
ピアノがあるが誰も弾けないのが残念だな。せっかくの高そうなピアノなのに。
私はピアノに背を向け落ち武者大音楽館を出た。


「次はここだよ。船漕ぐのが疲れたから僕はここで待ってるから士導さん1人で行ってくれないかな」


ー落ち武者大音楽館二号館ー
「ぐあぁぁぁ」
耳に悪い音が私に聞こえてきた。決して下手ではない。ただ音量が大きすぎて私には耐えれなかった。二号館はさっきのとこと違いロック系な音楽の館のようだ。現に私から見て奥の方で池面がせっせとドラムを叩いている。正直うるさい。
柔らかい音楽の方が好みの人にはあまり合わない場所だ。他のみんなにもあまり来ないようお勧めしておこう。


ーホールー
シンプルに大きいホール。体育館みたいな感じ。中央に落ちている紙切れがそれを語っている。
『次からここを体育館代わりで使います。我がホールに集合してくださいと言ったらここに来てください』
それ以外に用途はなさそうだ。


「広い割には入れる建物は少ないんだな」
「1つ1つが大きいからね。僕は十分だと思うよ」
気がつけばもう日が落ちていた。もう今日は寝よう。
私は松谷に戻るよう指示し船から下ろしてもらった。

今夜は悪夢を見れないことを祈ろう。

Re: ダンガンロンパ 〜ようこそ勝ち組ヶ丘学園〜  ( No.44 )
日時: 2014/02/19 18:19
名前: 紅茶 (ID: hzDRnUrf)

コロシアイ学園生活13日目


「ピンポンパンポーン。海の遥か彼方から朝日が昇って参りました。お前たち朝です。今日も1日リゾート気分で過ごしましょう」
その日私はなぜかアナウンスが鳴るより先に起きていた。それから何も考えずにレストランへ向かった。


ーレストランー
レストランではあるテーブルを囲んでみんなが喋っていた。何やら雑談ではなく重要なことを話しているようだった。
「何話してるんだ?」
「士導遅いぞ!こっちは凄い書物を見つけたって言うのに」
「凄い書物?」
私がテーブルの真ん中を覗いてみるとそこには黒色をした書物が置いてあった。表紙には“勝ち組ヶ丘学園録1”と書いてある。
「池面が見つけて来たんだ。サウンドエリア内の音楽館にあったらしい」
「これで全員揃ったわけだし、開けるぞ」
池面がゆっくりとその書物を開いていく。


勝ち組ヶ丘学園について

まず始めに勝ち組ヶ丘学園は“勝ち組”の生徒を“負け組”にするための実験施設であって、“勝ち組”と称される生徒を育成するための学園ではない。

それを世間には黙りまず一期生を実験台としたが、結果は失敗に終わった。一期生の“勝ち組”たちが“負け組”に裁判を起こしたのだ。裁判に勝利した“勝ち組”たちは他の“負け組”を捜索すべく外の世界へ出て行ったが、“負け組”とて弱くはない。噂ではまた新たに実験施設を建てているらしい。

現在勝ち組ヶ丘学園内がどうなっているかも不明だ。



「もうわけがわからないよ。私はこの学園に選ばれて来たんだよ。それなのに“負け組”にするとか言われてももう何もわからないよ!」
「確か俺たちは二期生だったよな。これが本当なら俺たちは“負け組”とかいうやつらの実験台になってるってことだ」
全員が浮かない顔をする。私たちが実験に成功してしまうと私たちの才能はなくなってしまう?夢に出てきた少女のように平気で人を殺してしまう?それよりも、一番の問題は私たちを“負け組”に染める本人が私たちの中にいるということだ。落ち武者の話によるとまだそいつは生き残っているらしい。
重い空気の中最初に口を開いたのは松谷だった。
「みんなそれを信じきってるけど、別にそれが本当だってどこにも書いてないからね」
その言葉に納得いかなかったのか突然に落ち武者も現れる。
「ちょっと松谷くん!それは本物ですよ!そうやってみんな安心させるようなこと言わないの!あ、でも偽物だって信じ込んでから実は本当に本物でしたって言ってお前たちを絶望させるのもおもしろいかも」
落ち武者は笑いながら私たちの方を見ていく。
「だけどね、お前たちの中に“負け組”が潜んでるのは本当だよ。その書物を信じるかはお前たち次第だよ」
「あ、待て!またすぐに消えやがった」
この学園生活はただ抜けるだけではダメなんだ。“負け組”に打ち勝ちつつも学級裁判も越えながら抜けないとダメなんだ。
しかし、今の私たちはあまりにも無力すぎる。もっと手がかりを得ないとそうするには、やっぱり誰かが学級裁判を起こさないといけない。
今気づいたけどもう“負け組”の進行は始まっている。人を殺すことで“負け組”に染っていくなら今までに人を殺した梶野や上目や美月は既に“負け組”に染まっていた。そうなってしまうのか。
「みんなー、難しいことは考えないでもうお昼だしご飯にしようよ」
「そうだね。考え事は糖分をとってからってね」

Re: ダンガンロンパ 〜ようこそ勝ち組ヶ丘学園〜  ( No.45 )
日時: 2014/02/20 17:18
名前: 紅茶 (ID: hzDRnUrf)

私たちは周流が作った昼食を食べた後、自由行動となった。体は休みを欲しがっているのだが、頭は新しい手がかりを欲しがっていた。
“勝ち組ヶ丘学園録”。先ほど池面が見つけてきたものには“1”と書いていた。となれば必然的に“2”も存在する、そんな気がしたのだ。
しかし、仮に“勝ち組ヶ丘学園録2”を見つけたところで私たちの中に潜んでいる“負け組”の正体がわかり、この学園生活が終わることができるのだろうか。
ぶつぶつと呟きながらも私は落ち武者大音楽館に着いていた。池面が“勝ち組ヶ丘学園録”をどこで見つけたかは知らないが、大音楽館内部に図書館らしき場所などなかった。元々音楽をするための場所だから期待はしていなかったけど。

数時間探したがそれらしき書物は見つけられなかった。ただ私の体力が減少を辿る一方だった。
耳に聞こえてくるクラシック音楽を吸い込みながら私は音楽館を歩き回っていた。見つかるなんて思ってもいないが、今の私は止まれなかった。これが落ち武者の思惑通りだと考えても止まれなかった。
“負け組”に関わっている人間がいれば、もしくは知っている人間がいれば良い情報だって聞けたかもしれないのに。
待てよ、もうこの世から姿は消したが“負け組”を知っていた人間ならいたはずだ。梶野千歳。あいつなら何かを知っていたかもしれない。もしかしたら部屋に行けば手がかりが見つかるんじゃないか?
止まれなくなっていた私は音楽館を抜け梶野の部屋に向かって歩き出していた。


ー梶野の部屋ー
まずは本棚からだな。私は本棚の本を見ていくがどれも“負け組”への手がかりとなるような本はなかった。スタンガンのカタログ等のヤバい系の本なら山ほどあったんだけど。梶野の親は育てるのに苦労したんだろうな。私の顔は少しにやけていた。
梶野の親は“負け組”に殺され現在はいない。私の親はどうした。全くと言っていいほど覚えていない。まさか私の両親も“負け組”によって殺されたのか?殺されたなら印象深く私の脳にその光景が残っているはず。ならやはり、私の両親は“負け組”と接触していない?
考えることで余計に頭の中がややこしくなった。そんな時だった。
「士導さん?こんなところにいたんだ」
「え、ああ、松谷こそどうしたんだ?」
「ちょっと僕とビーチにでも行かない?」


ーシーサイドビーチー
「夕焼けが綺麗だなぁ、あれも創られた夕焼けってのが悲しいけど」
シーサイドビーチに着くなり、松谷は砂浜のギリギリにまで走っていった。
「ここに何かあるのか?」
松谷は夕焼けを眺めながら語った。
「“負け組”に関する情報を見つけたいのもわかるけど、今の士導さんは本来の自分を失ってるよ。こんな時だからこそ困惑してる僕たちどうしを理解し合うんじゃないかな?それにまだ僕たちは“勝ち組”なんだよ?僕たち全員が協力すれば一期生のように“負け組”を打ち破ることだってできるんじゃない?」
「確かにそうだな…。ちゃんと考え直さないとな」
「そうだよ。それに君は超高校級のキャプテンなんだよ?僕たちを仕切れる才能があるんだよ」

夕焼けはもう落ちようとしていた。私と松谷は暗い夜道を歩きながら自分の部屋に戻っていった。
部屋についた私は自分の考えを見直そうと努力していた。

Re: ダンガンロンパ 〜ようこそ勝ち組ヶ丘学園〜  ( No.46 )
日時: 2014/02/21 16:15
名前: 紅茶 (ID: hzDRnUrf)

コロシアイ学園生活14日目

「ピンポンパンポーン。海の遥か彼方から朝日が昇って参りました。お前たち朝です。今日も1日リゾート気分で過ごしましょう」
頭を真っ白にして眠ってみたが、今の自分を完全に消すことはできなかった。“負け組”が動き出さない限り時間はある。ゆっくり少しずつ改め直していけばいいんだ。


ーレストランー
「最近になって夜に変な音が聞こえるんだよ」
「小西は怖い話は大丈夫か?」
「だ、大丈夫なわけないだろ!」
夜になって聞こえる変な音か。おそらくだが落ち武者の仕業だろうな。落ち武者は私たちのプロフィールなどあるゆる情報を持っているから何が嫌いとかもすぐにわかるからな。
というか、なぜ今日は朝食がない?いつもなら周流が作ってくれているのに。よく見回したら周流もいない。私の脳は悪い方に回転を始める。
殺されたなんてことはないよな?
私はダッシュでレストランを出ようとした、その時だった。

ドンッ

「いっつ〜」
「いてて、って周流何してんだよ」
「うわぁぁ、瑠香ちゃん助けて〜」
抱きついてきた周流を無視して奥を見ると猛ダッシュで走ってくる愛想の姿が見えた。
「こらぁぁぁぁぁ!俺の曲の途中で勝手に出ていくな!」
愛想は両手でギターを持ちながら私の方へ寄ってきた。顔は汗まみれになっていて、彼の下にそれはダラダラと落ちていった。
「曲を聞いてほしいだけなら聞いてやれば良かったのに何で逃げてきたんだ?」
「私も最初は聞いてたんだよ。でも沈くんの弾く曲はいいとして全部英語で歌うんだから。私英語なんて知らないよ〜」
くだらなさすぎて言葉も出なかった。そして、なぜだかはわからないがだんだんイライラしてきた。それからにらめつけるとうに周流を見た。
「さっさとご飯を作れ!」


朝食後、仕方なく全員で愛想の曲を聞くことになった。正直な話誰も興味を抱いてなかった。ただ誰かが聞かないと愛想は止まらないと感じたのだ。始めほじゃんけんで負けたやつが聞くっていうルールだったのだが、たまたまじゃんけんで負けたやつが希佐凪だったために全員で聞くことになった。
場所もレストランではなく大音楽館。
文句を言いながらも私たちはずっと大音楽館で待っていた。その時このコンサートがとてつもなく長いコンサートだってことは誰一人として気づいていなかった。


12:00
「皆さんいらっしゃい!愛想のミニコンサートへようこそ!ここでは……


13:00
「ここまで20曲歌いましたがまだまだいけますかー?もちろんいけますよね!じゃあ次の曲です。この曲は……


14:00
「とまぁこんな過去の実話を元にした曲だったんですけどサビのリズムが物凄く悩んでですね、それで……


15:00
「さぁ残す曲も後わずか50曲ほどとなりました。それではどんどん行きましょう!俺の……


16:00
「やっぱコンサートっていいですよね!しかも今回は貸切ですから、あんなことこんなことできますから……


17:00
「もうクライマックスですよ!最後まで聞いていってね!さて次の曲は……


18:00
「みんなーありがとーねー!」


やっとのことで愛想のミニコンサートは終わった。終わった時半分以上は死にかけていた。あまりのくだらなさと暑さに。
これだけ歌っても声が枯れないあいつは何者なんだ?それも超高校級の才能なのか?そもそも愛想の才能ってなんだっけ?

思った以上に疲れてしまって私は夕食も食べずにベッドの上へ寝転がった。いつ寝てしまったのかももう覚えていない。

Re: ダンガンロンパ 〜ようこそ勝ち組ヶ丘学園〜  ( No.47 )
日時: 2014/02/22 23:29
名前: 紅茶 (ID: hzDRnUrf)

コロシアイ学園生活15日目


「ピンポンパンポーン。海の遥か彼方から朝日が昇って参りました。お前たち朝です。今日も1日リゾート気分で過ごしましょう」
寝不足。完全にあいつのせいだ。あいつって言うのは愛想ではなく早帰のこと。あれは確か昨日の10時ぐらいのことだった気がする。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「士導ー!早く出てきてくれー!」
完璧に寝ていた私を起こした大声。珍しく早帰が叫んでいた。
私はドアを開けてみたが、早帰は別の誰かの部屋に行っていてそこでもその部屋の人物の名前を叫んでいた。
早帰が全員を呼び終えると私たち全員をホテルの前に集めた。
「遂に僕にも聞こえてしまったんだよ。小西の言ってた変な音が。それなのに肝心の小西は出てこないし」
「俺が小西を連れ出してくるよ」
「ありがとな。それと周流もいないけど誰か知らないか?」
「別に周流ぐらいいなくて大丈夫ですわよ」
早帰はずっと震えていた。小西に怖い話は大丈夫か?とか聞いてたわりには自分が無理だった様子だ。
やがてその変な音は私たちの耳にも聞こえてきた。

バリバリバリバリバリバリバリバリ

はっきり言って雑音だった。誰が鳴らしてるのかわからない雑音が愛想のミニコンサートで疲れきっていた耳をさらに刺激した。
落ち武者がこの世界の設定を間違えたとか?ノイズがバグってるような音だ。
「小西が俺を呼ぶな!って言ってたぞ。あいつもかなり怖がっていた感じだな」
「うわぁぁ、なんですかー?この音は!」
そこに遅れて周流も集まり結局は小西以外の全員がその場にいた。
変な音は不定期に鳴り、その度に早帰は大声を出していた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーレストランー
みんな寝不足の顔していた。まあ無理もない。そんな状況においても周流は私たちの朝食を作っていた。
「そう言えば小西がいないな」
「さっき小西の部屋の前を通って来たらドアに“今日はパスします”っていう貼り紙が貼ってありましたわよ」
昨日のがよっぽど怖かったんだろうな。私には雑音にしか聞こえなかったが。
今日はゆっくり寝よう。また夜の起こされてもいけるように。と思っていたのだが、最悪の事態が起こった。


早帰がいくら小西の部屋のドアを叩いても返事もしてくれないので、部屋にいないと推測し、私たちは手分けして小西を捜索することになった。
そんなわけで私今大音楽館の前にいた。しかし、扉を開こうとするが扉は開かない。私1人の力じゃ開けれないと判断し、私はみんなを呼びに行った。
しばらくして、全員集合した。扉は男子が協力して開けることになった。
「お前ら行くぞ〜、せーのーでっ!」

バンッ

ブチッ

グサグサグサッ

「暗くて何にも見えないけど、今変な音しなかったか?」
「やめろ!変な音とか言うな!思い出しちゃうだろ」

誰かが大音楽館の明かりをつけるとそれは私たちの目の前に現れた。
「きゃあああああ!!」
周流の悲鳴が大音楽館内に響き渡る。
そこで私たちが見たものは幾つもの部位を槍で突かれた小西だった。
「ピンポンパンポーン。死体が発見されました。一定の捜査時間の後学級裁判を行います」
「嘘だろ…小西ぃぃ!」
「まあまあいくら叫んだところで小西くんはもう帰ってきませんよ。それよりもどうぞ。ザ・落ち武者ファイルです」
私は無言でそれを受け取ると早速中身を確認した。


落ち武者ファイル4

死者  超高校級の自己中 小西有也


死因  身体の幾つかの部分に槍が貫いている
    首にも締め付けた後あるが、致命傷は不明

死亡時刻  不明


死亡場所  落ち武者大音楽館



いくらなんでも手を抜きすぎだろ。不明な点が多すぎて捜査の順がわからない。
すでに私は悲しいという感情を通り過ぎていた。

Re: ダンガンロンパ 〜ようこそ勝ち組ヶ丘学園〜  ( No.48 )
日時: 2014/02/24 13:28
名前: 紅茶 (ID: hzDRnUrf)

もう私にはわかっていたのだ。悲しいなどという感情を持つくらいなら殺した犯人を見つけるための手がかりを探す、時間は限られている。無駄なことはできないと私はようやくのことでわかっていた。


てなわけで、まずは死体確認から行こうか。
私は小西の死体に近寄ると最初に凶器を確認した。
小西の身体を貫く4本の槍、首を締めているワイヤー。ワイヤーは天井まで届いており、小西の身体を持ち上げていた。槍さえなければ首吊りの可能性があったのだが槍があるために自殺ではない。これは明らかに他殺だ。
4本の槍は柄の部分からゴム状のヒモが延びており途中でちぎれていた。
どこからどう見ても凶器は明らかだが、それならなぜ落ち武者ファイルには不明の二文字があるんだ。槍かワイヤー以外の凶器があるということなのか?それだとしても凶器を偽装したところで犯人にどんなメリットがあるって言うんだ?
凶器については置いといて、あまり触りたくないが死体の持ち物とかを…って冷た!
「士導もビックリしたでしょう?死体が冷たいなんて可笑しいと思いません?」
「可笑しい?」
「先程私たちがドアを開けた時に妙な音が鳴りましたよね?ブチッとグサグサグサッ、開けることによってゴム状のヒモが縮み小西刺したなら死んだのは何分か前ってことになりますよね?」
「なるほど。小西が死んだ時間帯を推測しなければならないのか」
とは言ったものだが小西の死んだ時間帯を推測できるものとか見当もつかない。その瞬間何となく下を向くと血だまりの中に凸があることに気がついた。手袋をつけてそれを取ってみると、血だらけになった物体だった。血をとってみないとわからないが、時間もないし後回しにするか。
「それ私が確認しておきましょう」
「いいのか希佐凪!是非頼むよ」
私ほそれを希佐凪に渡すと落ち武者大音楽館から出た。


次に行かないといけないところは小西の部屋かな。朝の貼り紙等気になるものはあるだろうし。
私は目の前にある船にのってオールを漕ごうとすると奥から早帰がボートに乗って私の元へやってきた。
「見ろよ士導、モーター付きだぜ!この速さは乗ってみないとわからねぇからなちょっと乗ってみろ!」
「速いのは助かるよ。乗せていってくれ」
私は自分が乗っていた船から早帰のボートに飛び移ると早帰はボートを発信させた。
予想以上のスピードが出て幾度か振り落とされそうになったけど、岸の着く速さを自力で漕ぐ船よりも3倍ほど早かった。


ー小西の部屋ー
「何で着いてきたんだ?」
「僕だって小西の部屋に行こうとしてたんだけど」
別に早帰がいても邪魔にはならないが、2人もいると気がひけるんだよな。
まずは貼り紙。これが本当に小西が書いたものか確認する必要がある。私は貼り紙を剥がしドアを開けるとそこには周流もいた。
「何でお前もいるんだよ」
「私も有くんの部屋に行こうと思って」
緊張感のないやつが2人もいると、本当に捜査が進まない気がするが。今回もし学級裁判に負けたらこの2人を心の底から全力で恨む、今決めた。
そんなことを考えながらも目についたのは机の上にあった日記だった。日記あるが、机には鉛筆などの書くものがなかった。あるのはハサミだけ。鉛筆はなおしたで説明がつくが、ハサミはわからん。しかも、このハサミ使いにくい。なんとなく指を入れてみたが思うようにハサミが動かなかった。
「私にもそのハサミ貸して〜」
「これかなり使いにくいぞ。使ってみたらわかると思うけど」
私は周流にハサミを渡した。周流は即座にそのハサミをはめたが違和感はないようだった。
「使いにくいかなー?私は普通だよ。バタフライくんも使ってみる?」
「バタフライはやめてくれ…。ハサミを貸してくれ」
早帰は周流からハサミを受け取るとそのハサミを眺めた。
「これ左利き用だよ。だから右手で使おうとした士導が使いにくかったんじゃないか?」
使いにくいとか連呼していた自分が恥ずかしくなった。
「瑠香ちゃん、顔が真っ赤だけど大丈夫?」
「うるさい!」
私は動揺を隠しきれず、その時だけ周流に負けを感じた。

Re: ダンガンロンパ 〜ようこそ勝ち組ヶ丘学園〜  ( No.49 )
日時: 2014/02/25 23:18
名前: 紅茶 (ID: hzDRnUrf)

「ハサミはもういいの!日記よ、日記!」
私はハサミを早帰から奪い取り、机の中になおした。
「じゃあ私から見るね〜」
「ちょっ、周流!」
「ハサミは左利き用…」
「わかったわかった。でも時間はないから横から見ることにする」
周流のくせに生意気だな。しかし、弱みを握られてしまってはどうしようもない。周流…学級裁判終わったらぶっ潰す!
「この日記一昨日からしかないよ」
「それ以前は別のノートで書いていて、ノート代えたんじゃないのか?」
「一昨日からでも十分だ。さっさと中身を確認しよう」


コロシアイ学園生活13日目

今日は朝から辛い日だった。俺たちのいる勝ち組ヶ丘学園がどのような場所かを知ってしまい俺は絶望した。みんな同じようだったんじゃないかな?
事実を知ってしまってからはみんな別行動にだった。俺はずっと部屋で考え事をしてたけど何人かはあの書物の続きを探しに行っていた。こういう時だからこそみんなで協力しあわないといけないのに。

コロシアイ学園生活14日目
最近から夜になって聞こえてくる変な音がだんだん大きくなってきている。俺は心霊系とか絶対無理!早く収まってほしい。昼からは落ち武者大音楽館で愛想がミニコンサートを開いて曲を俺たちに披露してくれた。長すぎて疲れたから夜10時前ころにシーサイドビーチに潮の匂いを吸いに行ったんだけど、やっぱ気持ちいい!そんな気持ちいいことした後に部屋に戻ったら今度は早帰が変な音聞こえたって行って騒いでいた。俺は怖くなって部屋から出なかったけど、出なくて正解だった。


「ページの右側を中心に所々字がかすれているが、この日記と貼り紙の字は見た限りだと一緒だ。どちらも小西が書いたと見て問題はなさそうだな」
「この貼り紙は有也くんが書いたなら少なくとも朝までは生きてたことになるよ」
「それから、朝食を食べた後に小西を呼びに行ったんだが、その時にはもう殺されてたってことか」
確かにそうなるのだが、私たちは小西以外全員がレストランにいた。全員にアリバイがある。あの時間に大音楽館まで移動し、小西を殺害することは可能だったのか?いくら何でも無理な気がする。
小西の部屋にはもう用はないな。もう一度大音楽館で死体の状況を確認してから学級裁判に臨もう。
「よし、それじゃあ私は行くよ。また何か見つけたら私に教えて。多分大音楽にいると思うから」
2人は頷くと再び部屋を荒らしだした。


ー落ち武者大音楽館ー
私は今度は自分でボートを操縦して大音楽館まで移動した。私はボートを岸につけ大音楽館に入った。ボートから大音楽館の扉までは約3メートルほどの距離なので降りたらすぐそこは大音楽館なのだ。
入る時にドアノブに擦った痕があった。そんなに激しく擦った後ではないが、痕があるということはそれなりに擦ったことだろう。

「士導さん!ちょっと二階について来てくれない?」
「二階?構わないけど」
待ち伏せしていたかのように扉の前に立っていた松谷はすぐさま私を連れて二階へ移動した。
松谷は二階の窓から顔出すとある方向を指さした。その真下には小西の死体があるというのに指さしたのは天井の少し下にある鉄の棒。
「ねぇ見える?あの棒にワイヤーがぐるぐる巻きになってるよね」
「なってるけどそれがどうかしたか」
「あんな高い所でぐるぐる巻きになんかできるかなー?と思って。引っかかるんだよな」
言われてみればそんな気もする。多少のぐるぐる巻きならあり得ることだが、小西を吊っているワイヤーはかなり巻いていた。この窓からでもギリギリ届くか届かないかの距離であれほど巻くのは無理がある。何かに引っ張られたら可能かもしれないが。
「槍が放たれた時にワイヤーが引っ張られたのかもね。ぐるぐる巻きになった後も結構ワイヤーがあるからね」
「槍とワイヤーはくっ付いていたなら放れたれてワイヤーが引っ張られることはあったかもな」

私は松谷を置いて先に一階に降りた。
これで大体は調査し終えたかな。いつの間にか手際が良くなってしまったみたい。あまりよろしくないし、慣れたくもないけど。
私は目の前で汗かいている人を発見した。
「何でそんなにも汗をかいてるんだ?そんなに暑いか?愛想と感じ方が違うのは認めるけど汗かきすぎじゃない?」
「今日は暑いぞ。真剣に捜査してるからかもな」
そう言って愛想は音楽館から出ていってしまった。
「ピンポンパンポーン。さていよいよお待ちかねの学級裁判のお時間ですよ。お前たちは学級裁判エリアの扉の前まで移動してください」


ー学級裁判エリアー
遂にこの時が来た。自分たちで自分たちを疑わなければならない残酷なゲーム。間違えば死亡の断崖絶壁の裁判。その裁判を行うため私はエレベーターに足を踏み入れた。
エレベーターはいつもと同じように音なく潜っていく。このエレベーターに乗る人数も大分と少なくなった。
そして、エレベーターは裁判場で止まった。
「お前たち久しぶりです。いつも通り各自の名前がある席へ移動してください」

またもや始まる


小西殺した犯人を見つけ出すため


4度目の命懸けの学級裁判は


幕を開ける!!!

Re: ダンガンロンパ 〜ようこそ勝ち組ヶ丘学園〜  ( No.50 )
日時: 2014/02/25 23:15
名前: 紅茶 ◆wiCxtrVptM (ID: hzDRnUrf)

   学 級 裁 判  開幕!!


落ち武者
「これ何回も言わなくても“勝ち組”のお前たちならもうわかってるよね?てことで、議論を始めてください」


池面
「議論を始めるとは言え、何からいこうか」

早帰
「凶器からでいいんじゃないか?一番わかりやすそうだし」

士導
「そうだな。まず凶器からいこうか」

愛想
「凶器として見れそうなのは槍かワイヤーだよな。槍の方が怪しい気がするがな」

微山
「槍だとしたらあんな扱いにくそうな槍をどうやって使用したんでしょう?」

希佐凪
「そのまま刺した…とは考えにくいですわね。力のある男子勢でもあれを意のまま操るのは不可能でしょうし」

士導
「槍は柄の先がゴム状のヒモになってたんだ。自分から刺さなくても伸ばして離せばその方向に飛んでいくはずだ」

微山
「でもそれだとしても、手で扱うのであればゴムも伸びないのでは?」

士導
「おそらく犯人はドアにゴムを引っ掛けたんだ。そして何かの弾みで槍は放れたれたんじゃないか?」

周流
「それで槍の説明はつくけどワイヤーはどうするの?」

松谷
「確かにね。槍を放つだけでも十分に小西くんを殺せたはずなのにワイヤーまで使う必要はないよね?」

池面
「小西が自殺を図ったなんてことはあるはずないよな」

愛想
「自殺なら今度は槍の説明がつかないぞ」

希佐凪
「犯人はワイヤーと槍の両方を使う必要があったってことになるますわよね。その2つではどちらが先に使われたんでしょうか?」

士導
「私と松谷はワイヤーが天井付近でどうなっているか見に行ったんだけど、ワイヤーは天井の少し下にある棒にぐるぐる巻きになっていたんだ」

周流
「その状態なら私も見ましたよ。でも棒に巻く時は普通そうするんじゃないかな?」

松谷
「僕も最初はそう思ったけど、ただでさえ手が届きにくいところであんなに巻けるかなと考えるとちょっと不思議なんだよね」

士導
「それにあのワイヤーはぐるぐる巻きになった後もまだ伸びていたんだ。それも見た感じではドア付近まで」

愛想
「ワイヤーが余っただけだったんじゃないのか?」

松谷
「いや、あのワイヤーは槍の先のゴムと繋がれてたはずだよ。槍が放たれた時にワイヤーが引っ張られ小西を持ち上げたんじゃないかな?」

微山
「つまり、槍が放たれる前、小西は地上にいたことになるようね」

池面
「今嫌な予感がしたんだが、槍が放たれる条件は何なんだ?ドアを開けることか?」

士導
「そうだろうな。ドアを開けることによって槍のゴムの伸びが限界に達し放たれた。ドアを開ける時、開けにくかったのはゴムがあったからなんだろうな」

池面
「問題は誰がドアを開けたかだ。ドアを開けることで槍が放たれ小西が死んだのであればドアを開けた人間が犯人になる」

早帰
「ドアを開けたのって…僕の記憶だと何人かで同時に開けたような」

松谷
「ような、ではなく実際そうだった。でも本当に小西くんはあの時殺されたのかな?」

愛想
「どういうことだ?」

松谷
「朝希佐凪さんが小西くんの部屋のドアに貼り紙がはっていたと言っていたよね。内容は今日はレストランに行けないみたいなことだった。その後、朝食を取り終えた早帰くんが小西くんの部屋を訪れ、そこで早帰くんが小西くんを探すことを提案した。その間僕らはほぼずっと一緒にいたし、そもそも槍とワイヤーを結んであのゴムが張ってある状態のドアを閉める時間なんてなかった。だから小西くんはもっと早く殺されていたんじゃない?」

周流
「だけど貼り紙を貼ったのは有也くんですよ」

士導
「それに部屋の中にあった小西の日記の字と貼り紙の字は一緒だったぞ。少なくともその時間までは生きていたと思う」

池面
「だけどその貼り紙が朝に貼られた証拠なんてどこにもないはずだ。夜のうちに貼っていた可能性もある」

早帰
「僕が変な音騒動でみんなを呼びにいく時には貼り紙はなかったよ」

希佐凪
「あれは10時くらいのことでしたから、小西は10時以降に殺されたってことですわね」

松谷
「誰も姿を見てないから確定ではないけれどね」