二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: ダンガンロンパ〜ようこそ勝ち組ヶ丘学園〜 episode2 ( No.85 )
日時: 2014/04/09 08:46
名前: 紅茶 ◆wiCxtrVptM (ID: PtmJe7wa)
参照: http://twitter.com/gogotea_danron

prologue ようこそ勝ち組ヶ丘学園


人を殺しちゃだめ。そんなこともちろん知っている。
でも、なんでだろ?俺の右手には血のついた凶器が。目の前には血だらけになっている人間が。そうか、
俺は人を殺したんだ。
俺は無意識のうちに凶器を手から落とす。顔をくしゃくしゃにしながら、うわぁぁぁ、と叫びながら赤く染まったその場を猛ダッシュで去った。
走っても走ってもそこから移動しているように感じる空間。夢かと思い自分の頬を摘まんで引っ張るってみる。夢じゃないことがわかった。
せっかく勝ち組ヶ丘学園に入学したというのにいきなりこの始末。なぜこうなった?思いだすんだ。

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「ここが勝ち組ヶ丘学園か」
俺はその大きい学校の門の前に立っていた。
市立勝ち組ヶ丘学園。今年度から開校した新しい学校だ。ただし他の学校とは違い入学試験などはない。ここの入学の条件は極めて特殊で他にはないものだった。
1つは現役の高校生か新高校生であること。
もう1つは超高校級の才能を持っていること。それは内容が何でも構わないが、それを持っていることでその人は“勝ち組”と認められ勝ち組ヶ丘学園に入学することが許可される。
と、ここまでは学校の話。次は俺についての話だ。
俺の名前は士導静流(しどうしずる)。俺以上に平凡な高校生はいないだろうと思うほど普通の高校生だ。もちろん、1つの才能があるから入学できたわけであるから平凡な高校生ってのは間違いであって間違いでない。難しいところだ。それで俺の才能は何かって?まぁそう慌てるなって。学校に入ればどうせわかるんだからさ。
中に入ってもいいけど、新校舎なわけだし外見を見てから中に入ろうと決めた俺は門を回れ右をして歩き出した。
お洒落な形をした校舎が都会の真ん中にどん!と建っている。さらに驚くのはオリンピックができるんじゃないか?と思わせるような大きいグラウンド。生徒して入学できるのは才能を持った人間だけなはずだからそこまで多くない気がする。それなのにグラウンドは大きい。
大きいグラウンドの周りを歩き切った俺は再び門の前に戻ってきた。そろそろ中に入っても良い時間だろう。入学初日に最後は勘弁だ。
門を開けて中に入るとホテルのロビーと思わせる正面玄関が出迎えた。その先には「入学式会場はこちら」と書いた看板がたてられてあり俺はためらいもなくそっちへ歩を進めた。
それが、一生の後悔となることも知らずに。

Re: ダンガンロンパ〜ようこそ勝ち組ヶ丘学園〜 episode0 ( No.86 )
日時: 2014/04/11 12:21
名前: 紅茶 ◆wiCxtrVptM (ID: NLcS5gZX)
参照: http://twitter.com/gogotea_danron

目測で約30人といった生徒が集まっていた。場所は体育館だろうか。両サイドにはバスケットゴールがあり舞台の上には教壇がある。
俺は辺りをざぁーと見渡す。オーラがみんな凄い。これが超高校級の才能を持った者だけが集まった場所の空気何だと実感した。
「これが勝ち組ヶ丘学園なんだね」
「ってうわぁ!誰かいたのか」
「あ、驚かせちゃった?それなら悪かったね。僕は清水華狗也(しみずかぐや)だ。よろしく」
華狗也は軽く一礼すると次は君の番だよと言わんばかりの目線で自己紹介を求めてきた。
「俺は士導静流だ。静流とでも呼んでくれ」
それっきり華狗也とは会話が続かなくなってしまった。お互いをまだ名前しか知らないのに会話するのも高難度だけど。
俺は華狗也の才能に興味を持ったが、才能に関しては一言も喋ってこないので俺もあえて聞かないことにした。華狗也も俺に才能のことは聞いてこないし。

「さて、これで全員揃いましたかね?それでは入学式を始めましょうか!」
そう言ってそいつは教壇の裏から現れた。言葉にするのは難しい、なんともよくわからないぬいぐるみだった。この学園のマスコットキャラクターかなと俺は頭にハテナの記号を浮かべた。
「危ない危ない。入学式の前にやることを忘れてたよ。まずお前たちの人数を減らさないといけないんだった」
「勝手に話を進めるなよ。人数を減らすとかの前にお前はなんだよ」
「おっとすっかり忘れてました。我は落ち武者。この学園の学園長なのです!」
その場にいた全員が言葉を失う。何で喋れるんだ?などの疑問もあるがそれ以上に何も言えない。簡単に言うと意味不明だ。
そこで華狗也が口を開いた。
「別に先生なんて誰でもいいだろ。ちゃんと教えてもらえればそれでいい。僕が気になるのは人数を減らすの意味だよ」
「華狗也の期待に添えて早速人数を減らす意味を教えましょう。ズバリ!邪魔だからですね。この学園にいれるのは多くて20人ほどですから」
そして、と落ち武者は続ける。
「その人数を減らす方法は人殺しです。一時間の時間を与えるのでお前たちがお前たち自身を殺すのです。殺すことができたならこの学園に残ることができます。もし、殺さなければその人は処刑ですね。というわけでルールはわかりました?」
「そんなルールで俺たちが納得するとでも思ってるのか?バカバカしい」
「ならこれならどうでしょう?」
落ち武者が指をパチンと鳴らすと俺に急に強烈な頭痛がやってきた。周りを見るとそれは俺だけではなかった。みんか頭痛にうなされている。そして、それは嵐のように突然去っていった。
「酷い頭痛だったでしょう?今のでお前たちは自分の才能を忘れました。思いだしたいでしょう?もし、人を殺せたら才能を思い出させてあげましょう」
確かに落ち武者の言うとおり俺は才能を思い出せなくなっていた。超高校級の…、わからない。今何をしたってんだ。頭痛は意図的に起こしたみたいな言い方だったしもうわけがわからない。ここは勝ち組ヶ丘学園なんだろ。何が殺し合いだよ。どこが勝ち組の育成なんだよ。何のために俺はここに入学したと思ってるんだよ。
俺たちが何も言わなければ落ち武者は喋る。
「そろそろやっていいですかね?人を殺す凶器はこの体育館の外の至る所に落ちています。それを自由に使って人を殺してください。才能、返してほしいですよね?」
落ち武者はニッコリ笑った。

Re: ダンガンロンパ〜ようこそ勝ち組ヶ丘学園〜 episode0 ( No.87 )
日時: 2014/04/13 23:58
名前: 紅茶 ◆wiCxtrVptM (ID: eEFm9oln)
参照: http://twitter.com/gogotea_danron

ルールはシンプル。一時間生き残ればいいだけ、なのだが、その間に1人の人間を殺さなければならない。それらの条件を満たした人間だけが勝ち組ヶ丘学園に残る、つまり正式に入学できるようになる。
死ぬかわけのわからない学校に入学するかの選択肢で俺が選んだのは後者だった。

落ち武者がピィィと笛を鳴らす。それと同時に俺たちはまず凶器をいち早く入手するため全力で走った。幸い俺と同じ方向に走った人間はいなかったらしく俺は安易に凶器を手に取った。これで刺されれば生き物なら一撃で死にそうな凶器だった。
ー死にたくない
ただそれだけが俺の頭にあった。人を殺すことがどうってことじゃない。死にたくないんだ。生き残りたいんだ。俺は凶器を手にしっかりと握りとある生徒に向かって走った。しかし、相手にいち早く察知され撒かれてしまい標的を見失った。
体育館に人がいなくなったことを確認すると俺は体育館を出て行った。静かに廊下を歩いていく。
「!?」
俺が逃した標的の姿はそこにあった。俺が見たときと違うのは身体から大量に流血していることだった。そいつの目の前に立っているのは、
「華狗也…。お前…」
「静流くんか。命拾いしたね。もう少し早く来てたら君を殺してるとこだったよ」
華狗也は人を殺したのにも関わらず笑顔を浮かべていた。
「さぁ、早く殺しにいきなよ。それとも僕を殺す?」
「華狗也…」
「生き残りたいならさっさと殺しなよ。ここまで来て俺は人殺しなんてできない!なんて言わないでよ」
俺は華狗也から不吉なオーラを感じ嫌な気分になりその場を去った。華狗也はあんな恐ろしいやつだったか?最初のイメージと全然違う。人は人を殺すと変わってしまうのか?

「残り15分ですよ」
俺が人を殺せずいるころそのアナウンスは鳴った。もうこのまま死んでもいいかな。そう思っている時だった。俺の後ろで足音が聞こえた。足音にひかれ振り向くと俺を殺そうとする生徒が俺を刺そうと俺に走ってきていた。しかし、そいつは不運にも俺が振り向いた時俺が右手に持っていた凶器に当たってしまい、その場に膝をついた。
「くっそ…」
状況を理解できなかった。つまりはこうだ。
俺は人を殺した。
それからもうわけがわからなくなり、そいつ刺しまくった。その時の俺は俺ではなかった。ヴァンパイアにでも取り付かれたような。正気になったとき初めて自分のしたことを思い出した。
手には血だらけになった凶器が。目の前には血だらけになった人間が。人を殺したってことが。
こんなはずじゃなかった。勝ち組ヶ丘学園に入って充実した時間を過ごすはずだった。それが来てみればなんだ殺し合い?ふざけるのもいい加減にしてほしいもんだ。それよりも可笑しいのは俺が人を殺してしまったってことだけど。
言葉も出なかった。無意識のうちに殺し合いは終了していた。俺は勝ち組ヶ丘学園に残る許可を得たのだ。