二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- (2) ( No.12 )
- 日時: 2014/02/02 19:33
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)
「おぉ〜ッ!! すっげぇ〜!!」
外観からもすごかったが、大都市内には多くのデジモンがいた。小さな幼年期クラスから巨大な成熟期クラスまで。
「あれ? 思いの他怖がりじゃないんですね」
「はっ、バカ言うな。俺が苦手なものは、ゴーストとファントム、それだけだ」
「電車の中でいちゃつくバカップル」
「ぎゃあああ!! 何だそりゃあ!! 人間のすることじゃねえ!!」
「あるんじゃないですか」
それにしても近代的を通り越して未来的な街だった。しかし、交通機関は発達していない。それは、デジモン自身の移動力で事足りるからだろう。
「そうだよな……平気で空飛んでる奴もいるし」
「プロトコル大陸自体が新しいからですね。ここには、オメガモンズワルトによるウイルスの影響を恐れて逃げてきたデジモンたちの集落となっているんです」
「へぇ」
やはり、脅威だったのだろう。例のウイルスは。
進化が出来なくなることは、デジモンにとって蝶に例えて羽根をもがれるのと同じだからである。
デジモンは、進化することで姿形を変え、さらに大きな力を手に入れる。長い年月をかけて。
しかし、オメガモンズワルトのウイルスはその進化の力を成長期までに留めてしまった。ドルモンも例外ではない。
「このドルモンは、私が元々住んでいた島に存在する”セグメント遺跡”に封印されていたデジタマから孵ったものです。貴方と会うまでは幼年期のドドモンでしたがね」
「お前も別のところから来たのか」
「はい。現実世界の、とある組織は、この事態を収束に導くために多くのテイマーを呼んでいたんです。つまり、この大陸に来ている人間は貴方だけではないというわけです」
「んじゃあ、数多くのテイマーの中でも何で俺にドルモンを? 英雄の力を引いているんなら、他に強い奴に渡せばいいんじゃねえか?」
「それは‐‐‐‐‐‐貴方がドルモンの適性テイマーだったからです」
適性、という言葉が引っかかる。
「どういうことだ?」
「はい、デジモンには絶対に波長の合う人間が居て、その人間と組むことで初めて100%の力を発揮できるんです」
「波長ねぇ。確かに俺とコイツは似たもの同士だってことだ」
「うっせぇやい、ほっとけ!」
ガブリ。
頭に刃が刺さるのを感じたが、それはドルモンの歯だと直感する。
思わず、ドルモンを掴んで叫んだ。
「いてぇ、いてぇじゃねえかこの野郎!!」
「勘違いすんじゃねえぞ、アラシ! 俺はまだ、お前を認めたわけじゃないからな!!」
「何を!?」
「ガッタガタじゃねえか」
声が聞こえた。少年が数名、集まってくる。馬鹿にしたかのような笑みで。恐らく、彼らが自分以外のテイマーだろう。
すかさず啖呵を切る新志。今の言葉は気に食わない。
「に、人間? ああ、そうか。こいつらもテイマーか」
「シスタモンに直々に連れてこられたテイマーなんだ。どれほどの腕前か、見てみたくてな」
「直々に?」
「そうともさ。何せ、俺達は数多くの試験をクリアして選ばれたテイマーだからな。なのに、お前は何の試験もクリアせずに来てやがった」
「そいつぁ、不幸だったな」
「ああ?」
少年の顔が、怒りで歪む。どうやら、バカにされたと思っているらしい。勿論、今の新志の言葉が明らかな皮肉だったからだろう。
「つまりお前は、【SAVER(セイヴァー)】に認められた正式なテイマーじゃねえと来た! しかも、パートナーとの仲もガッタガタ! だから気に食わねえんだよ!」
吐き出すように叫ぶ少年。後ろの少年に合図を送ると、デジヴァイスを構える。
「リロード、ガジモン!」
「リロード、コカブテリモン!」
「リロード、ギザモン!」
少年三名は、それぞれの相棒と思われるデジモンを繰り出す。
ガジモンは、鋭い鍵爪を持つ目つきの鋭い獣型、コカブテリモンは、人間の子供程度の大きさの二足歩行のカブトムシ型、そしてギザモンは黄色の体毛を持つカモノハシのようだが、口は普通の獣のような哺乳類型のデジモンだった。
つまり、気に食わないからここで倒すつもりだろう。
「おいブラン。ここに来てるテイマーって、皆あんなのばかりか?」
こんな不良のような連中と絡んでいれば、身が持たない。
「試験といってますが、ハッキングの腕さえ良ければクリアできるものですからね。あんなのもいるんですよ。後、抽選で選ばれた中からさらに、ということを忘れないでください。デジモンのことは、公にはされていないんです」
「それにしても、三対一たぁ随分と姑息じゃねえか」
嘲笑ってやった。テイマーと言っても、大したことのない部類か。
「うっせぇ、勝てば良いんだよ勝てば! エヴォリューションエナジーVer.1セット! ガジモン進化! サイクロモン!」
恥というものを持っていないのか、この男は。
「コカブテリモン進化! カブテリモン!」
「ギザモン進化! タスクモン!」
見るからに凶悪そうなデジモンが三匹。それがさらに進化した。成熟期へと。
サイクロモンは、単眼にヘルメットをつけた竜人型デジモン。グレイモンに似ている気もするが、右腕が異常に発達している。
一方、カブテリモンは不気味な昆虫型のデジモンだった。頭部は金属になっており、非常に硬そうだ。
そして、タスクモンは四足歩行の恐竜のようなデジモンで、どくろのマークが描いてあった。
「仕方がありませんね……新志さん! ここは退いた方が」
「バカいってんじゃねえ! 喧嘩上等、ここでぶっ潰す! ドルモン、超進化!!」
『エヴォリューションエナジーVer.EX起動、ドルモン超進化』
応えるように、ドルモンは吼えた。
「うおおおお!!」
ドルモンの体が再構築されていく。体が崩れ落ちて、パズルのように組み立てられていった。
「ドルモン、超進化。アームズドルモンッ!!」
「はっ、三対一で勝てるわけねえだろ!! サイクロモン必殺プログラム起動!」
‐‐‐‐‐‐必殺プログラム「ハイパーヒート」!
サイクロモンは口からたぎる灼熱の炎を吐き出した。一気に、アームズドルモンの体が包み込まれる。
生物とは、摂氏2000℃で溶けるらしいから、今頃奴はどろどろに溶けて飴玉の如く張り付いているところだろう。
「残念だったな! ギャハハハハハハ!」
「いつまでバカみてえな笑い声上げてるつもりだ?」
低い獣の声が聞こえた。次の瞬間、炎は吹っ飛ばされる。そして、どろどろに溶けた熔鉄が再び再構築されて、アームズドルモンの体を完成させた。
‐‐‐‐‐‐防御プログラム「メトロンの鎧」!
「アームズドルモンは、存在自体が鋼みたいなもんだ。たとえ、溶けてもデジコアさえ護れればいい。そのまま復活できる。」
「さて」と再び切り出した新志の顔はとても怖かった。
‐‐‐‐‐‐攻撃プログラム「バーニングゲイザー」!
アームズドルモンの口から放たれたのは、一兆度の火球。いや、正確に言えばどろどろに溶けた鉄だった。
「ま、待て、それを喰らったら」
「問答無用ォー!!」
火球はどんどん大きくなり、破裂してサイクロモンたちに降りかかる。
そして、次の瞬間辺りは火の海に包まれた。