二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- (3) ( No.13 )
- 日時: 2014/02/02 22:43
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)
「えーっと、ブラン。何で俺は逃げているんだ?」
「アームズドルモンの必殺技が燃え移ったデジモン達が怒って追いかけてきてるからですよ、バカ!」
「応戦できないのは、何でだっけ」
「ドルモンが超進化の反動で疲れて動けないからです!」
御堂新志一行は逃げていた。敵を片付けたまでは良かったが、どうも運が悪かったらしい。近くにいたデジモンに炎が燃え移り、さらにそれが運悪く巨鳥型デジモン、コカトリモンだったため驚いて暴れだし、嘴が当たったデジモンに……といった具合に連鎖していった結果。
「うおおおあああ!」
バックには大量のデジモン。それらが容赦なく追いかけてくるという、不測の事態に。
この状態を脱するには、とにかくドルモンが目覚めるまで耐え、目覚めた瞬間超進化してアームズドルモンに飛び乗る、という方向に切り替えた。
だが、もう走り続けて早五分。もう限界が近づいてきた。そして、ドルモンが超進化することはなかったのである。何故ならば、彼はぐったりしている間に抱えられていたため、酔ってしまったのだ。
そのため、新志が走っている間もリバースしていたのだから仕方が無い。まぁ、汚物を踏んで滑ったデジモンも居るため、足止めにはなったのだが、汚い上に根本的な問題の解決に至っていない。
「はぁ、はぁ、私もう無理」
「マジかよ」と言いそうになった。
「ブランは断崖絶壁のような胸を押さえ、肩で息をしている」
「だぁ〜れの胸が断崖絶壁ですかぁー!!」
よし。作戦成功。彼女は怒って新志を追いかけ始めた。これで、もうしばらくは持つだろう。
が、流石に疲れてきた。新志は所詮、ただの中学生であって陸上選手ではないため、これ以上の逃走を続けるのが苦になってくる。
「リロード、ブロッサモン。ツカイモン」
次の瞬間、茨が辺りに生い茂ってくる。そして、追いかけてきたデジモン達は絡まって動けなくなってしまい、必死でもがいている。
茜色の日本人ばなれした髪、アニメから出てきたかのような可愛らしい顔立ち。幼さが残る体つきだが、体型は女性的だった。つまりを言うと、スリーサイズがブランと対照的だといえば分かりやすいだろう。
「へーえ、さっすがブロッサモンだね、ティコ」
紫色の哺乳類型デジモン、ツカイモンが意地悪な笑みを浮かべてキシシ、と声を立てた。ツカイモンは、耳の部分が大きな羽根になっており、これを羽ばたかせてふわふわ浮いていた。
可愛らしいつぶらな瞳は、今こそ、意地悪く光っていた。
”デジモンデータNo5 ツカイモン ウイルス種 成長期
パタモンの亜種で紺色をしている。性格はパタモンと正反対で悪戯好きである。必殺技は、「バッドメッセージ」。得意技は「フレンドリーファイア」。”
「なーんせ、あたしのデジモンだよ? 司程甘くは無いからね。じゃあ、後はあいつらからアレを奪うだけ。あなたがね?」
ツカイモンを撫でてやるティコ。ツカイモンの目がハートに変わる。相当、主のテイマーを溺愛しているのか。
「わーい、ティコー! だーいすきー!」
「まあ、待ってよ。ハグなら後で幾らでもしてあげるよ? それより、あいつらからね」
「ところでさ、何で”アイツ”で捕らえないの? てゆーか、捕まえた後に縛り上げないの?」
ニコニコ笑顔でとんでもないどS発言を発するツカイモンを見て、苦笑いしつつ彼女は続ける。
「自分のデジモンにあの汚物が付いたら嫌だし。てか汚ッ!」
「ああ、そうか! だから空中からぶん盗るんだね!」
「そゆこと。それじゃ、進化行くわよ!」
それを聞くと、ツカイモンはあからさまに嫌な顔をした。
「えー、やだよー! ぼくの可愛い顔が」
「 エヴォリューションエナジーVer.1セット!」
ツカイモンの悲願むなしく、ティコはデジヴァイスに
次の瞬間、ツカイモンの体が崩れ落ち、再構築されていく。
『ツカイモン、進化! ソウルモンッ!』
その姿はお化けのようなものだった。白い、ベタなお化けだった。それが、目が隠れる程度に帽子をかぶっている。牙は剥き出しになっており、お世辞にも可愛いとはいえない。
ツカイモンは、自分の容姿に自信を持っている。そのため、自分の容姿が変化する進化を嫌っているのは目に見えた。
「じゃあ、あいつらちょっと驚かしてきてよ。お菓子上げるからさ」
「もーう、しっかたないなぁ〜」
そういうと、新志達めがけてソウルモンは飛んでいった。
***
「完全に、この茨のようなもので動きを封じられているみたいです。」
「デジモンの仕業か?」
こくり、とブランは頷く。新志も、どうしたものかと顎に手を当てた。その背後に揺らめく影。
そして‐‐
「う〜ら〜め〜しぃ〜やぁ〜!!!!」
大音量の呪詛音を放ったのはソウルモン。御堂新志が霊などの実体の無いものに恐怖を抱いているのは、彼の能力で心を見通した時点で分かりきっていた。
分かりきっていた、が。
「あぁ、あっちの裏に飯屋があるんすか、どうも丁寧にご苦労さんっす」
(何か、裏に飯屋があるって教えてくれたいい人(デジモン)になってるぅ〜!?)
それを見ていたティコは頭を抱えた。
どんなタイミングで突っ込んでいるんだ、あの馬鹿は! アホ! アホ! お化けの癖に脅かすのドヘタか!! どんだけあたしの自慢の胸にうずくまりたいんだアイツは!!
外国人国籍と思われる彼女だが、突込みが上手いあたり、日本の影響を強く受けていると思われる。あと少しナルシスト気味であるのは、パートナーに似たのかそれとも。
「ちょと待て、てめぇこらぁー!! 怖いの苦手じゃないんか!? お化けが苦手じゃないんか!?」
「割り切った」
「何をどう!?」
「だからさァ、この世界は電脳世界だぜ? お化けとかが出ても所詮はデジモンだって割り切ってしまえば怖くねえよ。」
つまり、新志が怖いのは正体が分からないものであって、目の前に居るのがデジモンと分かっているなら怖くないのである。
「うわあああ!! そんなバカなぁー!!」
頭を抱えるソウルモン。その光景を見たティコはため息をついた。
「もういいわ。天才ハッカー、ティレス・コルサンスの実力見せてあげる!!」
そういうと、デジヴァイスを取り出して、カチカチと画面をタッチする。
次の瞬間、地面が割れる。新志は思わず前方を見た。そこには、大きな花を咲かせており、雌しべの部分に顔面の付いた奇妙なデジモンが地面から今姿を現しているところだった。
「あのデジモンは……!!」
ブランの顔が青くなる。そのデジモンはとても巨大だった。