二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- (4) ( No.5 )
- 日時: 2014/02/01 20:26
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)
青い身体にオレンジの筋が入った体色のティラノサウルス型のデジモン。頭部には灰色の頭殻と三本のツノを持ち、その上からヘッドホンのようなパーツを付けている。
咆哮を上げた。その姿からは威圧さえ感じる。
恐怖、恐怖、恐怖。
希望さえも喰らい尽くさんとの勢いで、その大顎を開いて迫ってくる。
”デジモンデータNo2 グレイモン ウイルス種 成熟期
ガオスモンの進化系。気性は非常に荒い上に、同属にも容赦の無い冷徹さを持つ、まさに戦う為だけに生まれれてきたデジモンである。必殺技は、口から灼熱の炎を吐き出す「メガフレイム」と、尻尾を振り上げて相手を一気に薙ぎ払う「ブラスターテイル」。”
「シンニュウシャ……ハイジョ……」
即、逃亡。無慈悲で機械的な音声は闘争本能ではなく、逃走本能を駆り立てた。
しかし、腕がズキズキ痛み、振ることが出来ない。
それに、戦いの中で敵の前で逃げることなど許されるわけが無い。
「おい、電波……じゃなかったブラン! 何か手立てはねーもんかよ?」
「あるといえば、あるんですが……」
ブランは、革のバッグを垣間見たが、諦めたように新志の方を向く。
「ダメです。”時が来るまで”は」
「はぁ!? あるんじゃねえのかよ!」
「ダメなんです! もう後は、祈るしかないんですよ!」
「祈るんじゃねえ、こうなったら……」
血滴る腕を押さえ、新志は足を踏み出す。グレイモンの前へ。
怖くない。怖くなんか無い。
ここまでくれば、後はもうデッド・オア・デッド。たとえ、死ぬ覚悟でも逃げたくなんかはない。
「ダメです! 人間がデジモンに勝てるわけが無いじゃないですか!」
「うっせぇ、やってみねぇと分かんねぇだろうがぁー!!」
足は動く! その距離、10m。それを一瞬で縮めると、無事な右腕を振り上げた。
同時に、グレイモンの口から灼熱の炎が溜まっているのが見える。
「ダ、ダメー!」
‐‐‐‐避けきれない! だけど、避けきるつもりなんか、さらさらない!!
新志と炎が運命的な出会いを果たす、直前だった。眩いほどの光が辺りを包み込む。グレイモンは不覚にも炎を出すのを留まったようだった。
光がだんだん弱まる。ブランの鞄から、一陣の紫電が新志の足元に到達した。
目を開ければ、自分の足元に居たのは小さな獣だった。紫色の体毛に包まれており、赤い瞳を持つ。さらに、コウモリのような翼を持っている。
「や、やった……! これで戦えます!」
新志は頷いて答えて見せた。暗闇に僅かながら光がともった!
”デジモンデータNo3 ドルモン データ種 成長期
額に旧式の「インターフェース」を持つデジモン。この部分を開発することで新たなる力を得ることが出来るらしいが、失敗すれば最悪デジコアが崩壊する。元々が戦闘種族であるデジモンの性格が強く表れており、闘争本能が高く、何にでもよく噛み付きよく吼えるが、一度噛み付いたものには馴れるらしい。必殺技は鉄球を口から放つ「メタルキャノン」。”
「よっしゃぁ、お前! 一緒にアイツをぶっ潰してやろうぜ!!」
「やだ」
即答。紫色のデジモンは悪びれた様子も無く答えた。
ブランは、たしなめるように叫ぶ。
「ド、ドルモン! 今はあの人間と協力して戦わなきゃ!」
「ヤダね!おいらだけで十分だい!」
そう叫ぶと、ドルモンはグレイモンへ一直線に飛んでいく。新志は、こんなの聞いていないぞと言わんばかりにブランを睨む。まるで、悪質通販に引っかかったみたいに。
「どーゆーことだ!?」
「私に言われても困るんです! あのデジモン、ドルモンはちょっと自信過剰で、1人で突っ走ってしまうところがあって……」
「ああ、何だそりゃ!?」
新志はため息をついた。そして、もう一度続けた。
「まるで、俺自身が俺を見ているみたいじゃねえか!!」
ドルモンの猛攻が始まった。鉄がドルモンの口に収束して、固まりとなり、やがて鉄のボールへと変わった。
‐‐‐‐必殺プログラム「メタルキャノン」!
鉄のボールは、空を切って一気に飛んでいった。
大気が切り裂かれる音とともに、グレイモンの腹へ。しかし、直撃した鉄のボールは砕け散る。
「ぜっ、全然効いてねえ!?」
驚いて叫ぶドルモン。全力の攻撃だったのか、うろたえる。
グレイモンの瞳が鋭く光る。頂点捕食者としての本能をむき出しにして、咆哮した。そして、口に灼熱の炎を溜めて、一気に放った。
‐‐‐‐必殺プログラム「メガフレイム」!
灼熱の炎は一気に野を焼き払う。じりじりと熱さが肌を焼いた。ドルモンはのけぞって体を翻し、かわす。
しかし、その回避で新志達は丸腰に。完全に、ドルモンと距離を離されてしまった。
邪魔をするものが居ないからか、グレイモンは新志の方へ。
次の瞬間だった。青いラインがブランをめがけて飛んでいく。
‐‐‐‐攻撃プログラム「ブラスターテイル」!
尻尾が空を切ってブランへ襲い掛かった。避けきれずに跳ね飛ばされるブラン。だが、それでも容赦なくグレイモンは歩み寄る。
新志は助けようとしたが、足が動かない。そして、熱い。どうやら、さっきの炎で右足に火傷を負ったか。
「ブランに手を出すなあああ!!」
ドルモンは、素早く駆け出してグレイモンの尻尾に噛み付いた。痛みこそ感じないが、邪魔だと思ったのか、グレイモンは尻尾を振り回す。
目が回る。同時に世界が回る。
「なひゃねひゃはへられろれららひひゃられぇ〜!」
意味不明な言葉を叫ぶ。そして、遠心力には逆らえない。
ドルモンはそのまま吹っ飛ばされる。グシャッと嫌な音とともにドルモンはそのまま倒れた。
さらに、ブラスターテイルがブランの足元に炸裂して地面が割れる。突然の衝撃でブランは吹き飛ばされて、そのまま地面に落ちた。
動かない。気絶しているようだった。
‐‐‐‐どうするんだ!? ブランもドルモンも助けてえ! だけど……
二人の距離が離れすぎている。
「助けてェ……!」
呟いた。
「助けてェんだ……!」
今度は力強く。
「ここでジッとしてられねえんだァー!!」
そう叫ぶと、足を踏み出してブランを抱える。火傷が痛んだが、この程度はどうってことはない。
尻尾が振ってきたが、寸前で飛んで避け、さらに滑り込んでドルモンも小脇に抱えた。
そして、ドルモンを揺すって呼びかけた。
「おい馬鹿、ドルモン! ここで寝てる場合か! 護りてえんだろ!?
さっきお前、必死でグレイモンに喰らいついていったよな! あれは、ブランを助けてえ一心からだろ!? だから起きろよ!」
ドルモンは、呻き声を上げると恐る恐る目を開けた。
「まだ始まってすらいねえよ! だから好い加減、始めようぜ相棒!」
「分かってらァ……」
ドルモンは小さくも確かにそう呟いたのが聞こえた。
「オイラを舐めてんじゃ、ねえぞォー!!」
起き上がって、ドルモンは新志の小脇から離れて飛んでいく。
「おい、お前。アラシって言ったな! お前が持ってるデジヴァイス……そう、その機械だ! そいつに、お前の持ってるエヴォリューションエナジーをはめ込むんだ!」
「え!? どれだよ、そのエヴォリューションなんとかって!!」
「反応するんだよ! お前のペンダントから! さぁ、始めようぜアラシ!」
「マジか!?」とペンダントの宝石を見る。まさかこれを、はめ込むのか?と半信半疑で見つめた。見れば、デジヴァイスとか言う機械には、丁度それが入るくらいの大きさの穴があった。
時間が無い。急いではめ込む。
『エヴォリューションエナジーVer1起動』
「ドルモン、進化ッ!!」
次の瞬間、眩いほどの光が辺りを包み込んだ。