二次創作小説(映像)※倉庫ログ

(5) ( No.6 )
日時: 2014/02/01 18:52
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)

『ドルモン、進化プログラム起動。デジコアの再構築を行います』

 ドルモンの体が崩れ始める。パズルのピースがばらばらになるように。しかし、直後。再びドルモンの体が元通りになり始めた。
 そして、‐‐‐‐‐‐そこにいたのはドルモンだった。
 何の変化も無い。何の変哲も無い。

「!?」
「ど、どうなってんだよッ! 何も起きやしねえぞ!?」

 ドルモンは自分の手を見た。しかし、何も異常はないように見られる。いや、異常が無いことが異常なのだが。

「グラオオオッ!!」

 尻尾が飛んできた。ドルモンの小さな体は吹っ飛ばされて、再びへしゃげたような音を出す。
 よろよろと立ち上がってキッとドルモンは敵を見据えた。

「馬鹿ッ、くるぞ!」

 新志は思わず声一杯に叫んだ。というのも、グレイモンの大顎がすぐそこに迫っているからだ。翼で咄嗟に羽ばたき、木の上に逃げ込んだドルモン。
 座り込んでため息をつく。しかし、次の瞬間木が一気に傾いた。
 グレイモンが尻尾で幹を薙ぎ払ってしまったのである。
 もう、本当に為すすべは無いのか。


「くそッ負けられねえんだ! ゲームオーバーすんのは、まだ早すぎるんだァー!!」


『プログラム完全起動完了。エヴォリューションエナジーのバージョンアップを行います』


 へっ、バーンジョンなんて!? と叫びかけた新志。と、瞬く暇も無く、機械に嵌めこんだエヴォリューションエナジーが輝きだす。
 まるで、進化するかのように。輝石は奇跡の進化を果たす。
 機械は音声をまくし立てるように発した。


『エヴォリューションエナジーEX起動』
「な、何が起こってるんだ!?」

 ドルモンは今にもグレイモンの大顎の餌食となりかけていた。
 しかし、そのときドルモンの体が光りだす。
 
 一気にドルモンの体が拡散した。そして、新たなる体が再構築されていく。

 右腕はあらゆるものを貫くドリルに。左腕はあらゆるものを握りつぶすパワーアームに。そして、頭部は二回りも大きくなって鋼のヘルメットをかぶる。
 そして、翼は大きく開かれた。


「超進化ッ、アームズドルモン!!」

 ”デジモンデータNo4 アームズドルモン データ種 超進化体
 ドルモンの超進化体。全身を武装した獣竜。その火力はすさまじく、右腕のドリルはダイヤモンドを打ち砕き、左腕のパワーアームはどんなものでも持ち上げることが可能。性質は荒く、一度ロックオンした敵は絶対に逃さない。得意技は、ドリルを高速回転させて相手を貫く「フルメタルパニッシャー」。必殺技は口から一兆度の溶鉄を放つ「バーニングゲイザー」。”

 アームズドルモンは咆哮を上げる。一方のグレイモンは相も変わらず、唸り声を上げて威嚇していた。
 それは、グレイモンが自身こそ頂点と思い込んでいるからだった。そして、今までこれ以上に強い敵と出会ったことの無い無知さからでもあった。


「これがッ、超進化!?」
「一体……進化は出来ないんじゃなかったのか!?」
「オイラにも分かんねえ!」

 だけど、一つだけいえることがあった。

 それは、ここで目の前のクソ恐竜をぶちのめすことが出来るということだ。

 ‐‐‐‐‐‐迎撃プログラム「ヘッドストライク」!!

 突進してくるグレイモン。しかし、アームズドルモンはそれを避けなかった。

 否、避ける必要すらなかった。


「弾け飛べえええ!!」


 ‐‐‐‐‐‐必殺プログラム「フルメタルパニッシャー」!!


 刹那、グレイモンは自分の首辺りに違和感を覚えた。そして、それは痛みに変わる。

 

「グギャオオオオオオオ」

 むなしく、咆哮が響いた。

 ギュイイイインと、肉をこじ開ける音が響く。どんどん、ドットの破片がグレイモンから飛び散っていく。
 風圧で、さらにドリルに直接当たっていない部分も吹き飛んでいく。

「らああああ!!」

 とうとう、デジコアに到達した。ギリギリと手ごたえを感じるが、それでもなお突き進む。

「ギャアアアア」

 絶叫を上げた。

 グレイモンの体のパーツが言葉通り木っ端微塵に吹き飛んだのが分かった。 



 ***

「馬鹿なッ……!」

 ダンッと机を叩く音が響いた。
 少年は悔しそうに唇を噛む。

「おかしいッ! この程度で、俺のガオスモン軍団が負けるはずが!」
「種族としての能力の恩恵に頼りすぎたんじゃないの? 一番の要因は奴らの戦闘経験不足だったんじゃない?」

 少女は冷めた様子で言う。
 血の味が唇からした。

「もういいッ!! 奴を全力で捕らえる! 今度は俺も同行する!」

「落ち着けよ、信条君……」

 女性の声が聞こえた。
 厚く、包み込むような優しい声が。
 ふと見れば、そこには見覚えのある風貌の女性。白衣を黒いシャツの上から袖を通さずに羽織っており、糸目に淵なし眼鏡といった容姿だが、なかなか顔は整っている。

「ちょ、長官! すみません、ですがデジタルワールドにハッカーが侵入しまして!」
「知ってるよ、そんなこと。でも、さっきのバトル見させて貰ったけど、なかなか興味深いねェ」
「の、のんきな! そんなことよか、とっとと奴を捕らえ」
「うるさいねッ! あたしが興味あるっていってるんだ! 少し泳がせておこうじゃないかぁ……」

 自分に酔っているかのような顔で長官と呼ばれた女性はすごい形相で信条を怒鳴りつけた後、笑みを再三浮かべる。

「泳がせておく?」
「そう。今のところ、何かをしでかす様子はないみたいだし。」
「何より、あのエヴォリューションエナジーEXのことですか?」
「さすがだよ、ティコ君。あの”超進化”とかいう現象。過去のデータに記録があってね。」

 長官が手をパッと広げると、ホログラムのようなパネルが浮き出てきた。その画面を慣れた手つきで滑らせると、タッチした。

「これだ。丁度今から15年前。2012年、エイジオブ【ハンターズ】」
「デジクォーツが発生した年ですね」
「そうだ。何より、この時代にも成熟期から完全体に進化するのとは別の、【超進化】が発生してるんだよ。そして、今から10年前に”アイツ”によって進化ツリーを壊されたデジモンたちの子孫は、エヴォリューションエナジーを使うことで進化できるようになった」

「だけど‐‐‐‐」長官は声をくぐもらせて続けた。

「あのエヴォリューションエナジーEX程異端の存在は見たことが無い。本来、エヴォリューションエナジーの役割は、デジモンの進化ツリーを再構築するためのものだから、ある意味これが生まれるのは必然だったんじゃないかな」

 画面を見据えた長官の顔は、微笑んでいた。未知への期待に胸を膨らませて。