二次創作小説(映像)※倉庫ログ

chapter6 望みって一体何ですか? ( No.112 )
日時: 2014/03/19 17:30
名前: アルズ (ID: NaOjLZBc)

俺達は雨唄姉弟が潰された場所を見た。

「・・・せめて・・・姉だけでも助けたかった・・・!!」
「水上君・・・仕方ありません・・・。 もう・・・済んでしまった事ですから・・・。」
「ここから出よう。 いつまでもいても・・・仕方ないよ。」
「・・・そうだな。」

俺は立ち上がりみんなの元へ歩き出した。
歩くたびに鈴が鳴る。



俺達は大きな扉の前に立った。
今まで開かなかったあの扉。

「・・・こんなのあったっけ?」

そう風空君が指を指したのは何かのパネル。 よくゲームで見かけるパスワードを入力するパネルだ。

「・・・えっと・・・これは・・・。」
「雨唄君が言ってた。 『HOOP』だって・・・。」
「なるほど・・・。 多分これって最期に入れたんだね・・・死ぬ直前に・・・かな。」
「・・・何をそこまで・・・。」
「彼は姉を希望に戻したかったのかな。」
「日記にもそう書いてあるし・・・当たってるね・・・。」

既に死んだ二人を思い詰めてみる。
雨唄宵斗君は俺達のためにバックアップを取ったが自分のと姉のを作る時間が無く作れず、運悪く久地先さんに殺された。

雨唄蛍は弟と江ノ島盾子を愛し、絶望にすがった。 でも彼女は本当に死ぬまで絶望だったのだろうかと本気で考えてしまう。

最期は何故か涙を浮かべていたのだから。


「・・・翼、パスワードを。」
「俺が・・・?」
「うん、僕達をまとめてくれたのは翼でしょ?」
「さ、水上君どうぞ。」
「水上君、押しなよ。」
「お水君、いきなよ。」
「出ようよ。翼。」

「あ・・・、うん。」

俺は震える手でパネルを操作する。
ゆっくりとゆっくりと操作して・・・設定されたパスワードを見た。
『H O O P』
そして決定ボタンを押した。

ギィ・・・と扉が開かれると同時に突風が吹いた。
すると周りの綺麗な風景が砂のように無くなり白になっていく。

「・・・終わりか。」
「終わりじゃないよ。 出てもみんないるでしょ?」
「いやそうじゃない・・・。 この地獄が終わるんだなって。」
「そうですね・・・。もうすぐで『入学したばかりの私達』はいなくなるんですね。」
「これから・・・『数年後の私達と会える』。 そう思えばいいんじゃない?」
「まぁ、最後ぐらいは笑顔でいようよ。」
「・・・そうだな。」

俺の手が、みんなの体が、消えていく。
今だから言う。 でも、みんな同じ事を考えているのか全員を見た。

『みんな、ありがとう。』

消えかけているみんなの顔を見ながら・・・そう言った。
そう口を揃えて言うと目の前が真っ白になっていった。