二次創作小説(映像)※倉庫ログ

chapter×× 後日談 ( No.120 )
日時: 2014/03/25 14:28
名前: アルズ (ID: NaOjLZBc)

俺が目覚めて数時間ぐらい経った後、俺達は雨唄宵斗と雨唄蛍の亡骸を外に埋めた。
せめて死後でも一緒にいられるようにと二人を一緒の場所に埋めた。

「・・・助ける事、できたのかな。」
「どうだか。 姉の方は自ら望んでいたらしいし、俺達がどうこう言う問題じゃないし・・・過ぎたことだし・・・。」
「そっ・・・そうだ、星鎖希ならプログラム・・・!!」
「できるわけないだろ。 ボクはそんなこと学んでないし。」

二人以外のみんなはアバターのバックアップがあったお陰で生きている。
クロになってしまった人は既に被害者に謝ってしたらしいし、あのアルフも全力で謝っていたという。

「だいたい・・・アルフがあんな事しなかったら最後まで少なくとも三人生きられただろうに・・・。」
「いつまで引き摺ってるんだ!? もうそのことはチャラにしろと言っているだろう!!」
「恨みは怖いぞー!!」
「悪かったから!!」
「・・・どうだか。」
「もうやめてくれ!!」

この絶望事件を通して彼は性格が柔らかくなった。 それもそうかもしれない。彼にはもう地位も名誉もないのだから。

「ふふっみなさん、朗報ですよ。 なんと、珍しく今日は晴だそうです!!」
「おっ本当か? 曇りでしかもすんげぇ暗かったもんな!!」
「というか今何時なのー・・・?」
「知りませんよ。今は夜だって事しかわからんとです。」

・・・こうやってみんなと笑いあえたのが本当に嬉しい。
もう会えないと思ってた人とまた会えて、話すのが。

「・・・そういえば、ここってどこなんだ?」
「い・・・今更ですか? えっと・・・ここは未来機関が使っていた部屋らしいんですよ・・・。」
「過去形・・・か。 あっじゃあもうここには俺達以外誰も・・・?」
「かもです・・・。」

ここに絶望派の奴等が来なかったら少しはここで平和に過ごせる。
みんな記憶が曖昧すぎて完全になるには少々時間が欲しいから来るな、来るなと祈る。

「・・・そうだ、湖川さん。」
「なに?」
「後で屋上・・・いいかな?」
「いいけど・・・。」

小声で彼女にそう言った。
言いたかった事があるから。 彼女も同じ気持ちなのかはその後にわかるから。
みんなに聞こえていないな。と思いながら会話を聞く。

もしも、ここが・・・この世界が平和なら、何気ないクラスメイトの会話だったろうに。
いや、今でも何気ない会話だな。
そう思って死んで出ていってしまったみんなの顔を見た。

みんな、みんな、あのプログラムとは違っていた。
まず城ヶ根君、服は勿論だが髪が多少長くなってる。染めているならちゃんと染め直さなきゃおかしくなるだろうにと思いながら。
深海君はもみあげが長いのは変わらないがアンシンメトリーで、片方だけ三つ編みをしている。 こうまで変わるのかと本気で思う。
暁さんは背が大きくなった・・・がまだ子供っぽい。
みんなみんな、格好と髪型が変わっていた。

「・・・なにしてるの。」
「うわっ!?」
「・・・早く上に行ったら?」
「聞こえ・・・てた?」
「・・・今まで耳塞いでたから音が聞こえやすいんだ。」

そういえば・・・彼はヘッドフォンをしていない。隈も多少だが薄くなっている。

「・・・早く行け。 人間観察してる場合か。」
「は・・・はい!!」

確かに周りを見ると目的の人物がいなくなっていた。
俺は急いで上へ向かった。



屋上に着くと湖川さんは仁王立ちで俺を迎えてくれた。

「・・・そっちから呼んだくせに私より遅いとかどういう事?」
「ご・・・ごめん。 変わってるみんな見てたら・・・。」
「はぁ、仕方ないよね。 記憶無くなって・・・気づいたら二年ぐらい経ってたんだもん。 私が水上君なら・・・ちょっと混乱してる。」
「・・・じゃあ目覚めたとき・・・。」
「あのね、蛍が入るまで私達仮死状態だったのよ?」
「か・・・仮死!?」
「うん。蛍が入った瞬間私達は目を覚ました。
そして少しずつだけど二年間の思い出を・・・ちょっと。」

知らなかった。 聞いてないし、まさかそんなプログラミングがされているとは思ってもみなかった。

「・・・なんで、あいつが入った瞬間に・・・?」
「さあね。 それを知ってるのはアイツ等よ。」

空を見た。 暗くて、暗闇が広がってる。 でもほんのり明るい。

「・・・で、何? 用って。 まさかこれじゃないよね?」
「ち・・・違う!! 違う。」
「じゃあ・・・何よ。」

俺は彼女の手を取った。 緊張して心臓がバクバクいう。
彼女の目をしっかり見た。

「・・・湖川さん、俺・・・俺・・・。
好きだ。 この世で一番。 俺は・・・湖川さんを永遠に愛してる!!
例え生まれ変わっても・・・例え死後の世界で顔を忘れてしまっても・・・君を・・・湖川さんしか愛せないから!!」
「・・・。」
「だから・・・今は無理だけど・・・この絶望が終わったら、希望が世界を包んだら・・・俺と付き合ってください。」

一通り言い終わって彼女を見た。
湖川さんは泣いていた。

「えっ・・・!? い・・・いやだった?」
「・・・全然・・・。 むしろ・・・嬉しい。」
「え・・・と、じゃあ・・・。」
「私なんかでよければ、もらってください。 不良だなんて肩書き持ってる私なんかでよければ・・・この手を引っ張ってください。」

思わず頬が緩んだ。 俺は笑いながら・・・。

「はい。」

そう答えた。


それを見守る大切な13人の仲間達に気づかないで、二人で久し振りに見る天のはしごと朝日を見ながら希望が溢れる事を願う。