二次創作小説(映像)※倉庫ログ

chapter1 〜おいでなさいませ絶望の林間学校〜 ( No.15 )
日時: 2014/02/05 22:23
名前: アルズ (ID: K7X2qH8y)

キーンコーンカーンコーン....

『希望ヶ峰学園林間学校実行委員がお知らせします。 オマエラ、朝ですよ!! 山ならではの自然の空気を吸って今日一日張り切って行きましょう!!』

モノクマのアナウンスが耳に入ると自然に目が冴えてくる。
まだ朝七時だというのに・・・。
そう思いつつ周りを見渡す。
今日で3日目。 今のところ特に何も起きていない。
ふと棚の上に置いてあった物が目に入った。

「・・・なんだこれ。」

昨日まで棚なんてなかったし、その上に乗っている物があまりにも不自然すぎる。
一見ただのガチャガチャだが・・・

「あっ気づきましたね?」

ガチャッとモノクマはドアを開けて入ってきた。

「なんで入ってこれるんだ!? 鍵かけたのに!!」
「んー? ボクはここの管理人なんだよ? マスターキーとか持っていて当然じゃないか!!」

あぁ、と納得した。 確かにモノクマはこの山の管理人なのだ。普通にマスターキーとか持っていて当然か。

「・・・聞くけどこれなに?」
「よくぞ聞いてくれました!! それは“モノモノマシーン”という物なのです!!」
「モノモノマシーン・・・?」
「ええ。 専用のコインを入れるとガチャガチャができます、がそれだと普通のガチャガチャでしょ? だーかーら、たまにオマケでもう一つでる仕様となっております。 ちなみに中に入ってる景品は怪しい物じゃないからね? みんなが喜ぶ物を入れました。」
「喜ぶ・・・物?」
「ええ。 ちゃんと調査して入れたからね!! みんなとふれあってる時にあげたらいいんじゃなーい? あっそうそう・・・これが専用のコインね!! 特別に150枚あげるから、じゃんじゃんやってちょうだい!! そんじゃぁまったねー!!」

普通にドアを開けて出て行ったモノクマを見つめた後コインを見た。
モノクマの顔が描かれていて正直悪趣味だ。
だが試しに一個やってみてもいいのかもしれない。そう思い俺はコインを投入口へ入れた。
そして取っ手を回し、出てきた景品を見た。 すると、

『 Lucky!! 』

という声がモノモノマシーンから出てきて景品を吐き出した。
これがアイツのいっていたオマケなのだろうか。
そう思いながら記念すべき第一個目の景品を見た。

『昭和ラジオ』

なんて紙に書かれている説明書らしき物を見て景品を見た。
・・・使えるのだろうか。
そして次に二個目の景品を見てみた。

『マリンスノー』

蛍光灯の光を照らしてみるとすごく綺麗だ。
出た景品をしまい、モノモノマシーンの隣をみる。
コインが詰んであり、今1枚使ったので149枚あるということになる。
棚は意外に大きいのでそこまで邪魔だとかは思わないが・・・

「モノクマの顔が描いてあるのがなー・・・」

あまり見たくはないがみんなと交流できるのだ。 利用するしかない。
ふと時計を見てみるともうすぐで8時40分になる。
かなり時間が経ってたのに驚いたが、昨日みたいに遅刻するのは勘弁なので外に出る。
人はおらず、食堂に行くのを拒否しているのか或いは寝坊しているのかもしかしたらもう先に行っているのかもしれない。
俺は少し早歩きで食堂のある施設へと向かった。


「うっすおはよう。 今日はちゃんと来たね?」
「もう昨日のは忘れてくれよ・・・」

ニヤリと笑いかけながらそういう湖川さんは昨日の事をまだ引き摺っているのだろうか。
今人はアルフレッドと雨唄君以外全員いる。 星鎖希君はまたモノクマにケーキがどうのこうの言われてしぶしぶ来ているのかもしれない。

「そろそろ9時か・・・じゃあ朝食会開始だよ。」

湖川さんがそういうと今までより騒がしくなった。
しゃべりながらご飯を食べる、まるで修学旅行の気分だ。
俺も席に着いて食事を取った。
みんなとしゃべったりするのがとても楽しかった。
本当に・・・こんな感じがずっと続けばいいのに・・・。
そう思いながら食べていた。


食事が終わり、俺はバンガローへ戻った。

「時間があるな・・・暇だし外へ出るか。」

外へ出て、空気を吸いながら背伸びをする。
ふと目に付いたのが雨唄君のネームプレートだった。
一緒に過ごしたいなと思い、呼び鈴を鳴らす。

ピンポーン...

しばらく経つと雨唄君が出てきた。

「・・・何?」
「いや・・・一緒に過ごそうと思って・・・話しないか?」
「別に面白い話ないけど・・・それでもいいなら入りなよ。 茶ぐらいは入れられる。」
「おっさんきゅ。」

雨唄君の部屋にお邪魔して茶を飲みながら過ごした。
その時思っていた事を聞いてみた。

「雨唄君ってさ、どうしてあまり人に寄りつこうとしないんだ? 今みたいに話とかできるし。」
「・・・あぁ。 人と話すのが多少苦手なだけでさ、それがまだふれあったばかりの人とか知らない人なら尚更・・・。」
「へー。 そうだ、それでも一緒に過ごしてくれたんだからさ、これやるよ。」

と、しまっておいた昭和ラジオを差し出してみた。

「あっ・・・ありがとう。」

照れながら彼は受け取ってくれた。

「雨唄君は兄弟とかいるのか?」
「・・・姉が一人。」
「へえー・・・俺は兄がいるぜ。」
「上がいるの・・・一緒だな。」
「そうだな。 意外に共通点あるんだな、俺達。」

そして俺らは家族の話をして過ごした。

俺はバンガローに戻った後一息をついていた。

キーンコーンカーンコーン...
『オマエラ、至急広場のテントへお集まりください。 ちゃーんと来ないと・・・わかってるよねぇ?』
プツン....

「・・・至急?」

怪しいとは思った。 しかし行かなければ殺される。
その考えが頭をよぎるとどうしても行かなくてはならなかった。
俺はしぶしぶ靴を履いて外へ出た。
・・・恐ろしい物を見るとは知らずに。

chapter1 〜おいでなさいませ絶望の林間学校〜 ( No.16 )
日時: 2014/02/06 17:41
名前: アルズ (ID: K7X2qH8y)

俺が広場に着くと全員既に到着していた。

「・・・あっ水上君・・・」

湖川さんが俺に気づくと近寄ってきた。

「私さ・・・すごい不安なんだよ・・・。 今まで喧嘩でもここまでの不安を感じることはなかったのに・・・。 だからさ、もしも私が今回のことで立てなくなったら・・・水上君、みんなを引っ張って欲しいの。
私、それでもがんばるから。」

彼女はそう言って俺に微笑んできた。 さすがの彼女もこれは耐えられなかったのだろう。

「・・・あぁ。 まかせとけ。」

そう微笑んで言うと彼女はありがとう。と言っていつもの頼りがいがある笑顔を見せた。

「おーっ来ましたね? キタキタ!! キタコレェェェ!!」

と意味不明の言葉を言いながらモノクマは教壇からジャンプして現れた。

「何のようでここに呼び出したんだよモノクマぁ・・・」

城ヶ根君はかなり苛立ちながらそう言った。

「うぷぷ・・・実はね。場所も人も環境も、ミステリー要素だって揃ってるのに、どうして殺人が起きないのかと思ったら…一つ足りないものがあったんだよ。」
「足りない・・・物ですか・・・?」
「そう。 『動機』だよ。」
「・・・動機・・・?」

みんな首をかしげたり考えがハッキリしているのか青ざめている人もいた。

「というわけで、これを用意させていただきました!!」

じゃーん。と言いながらモノクマは封筒を取り出した。
その封筒を床に落とす。 封筒にはみんなの名前が書いてあった・・・が。

「あっ言っておくけど星鎖希クンの分はありませんからね!! 探してもありませーん!!」
「・・・そう。 つまりそう言うことか・・・。」

モノクマがそう言うと星鎖希君は納得した様子でみんなの様子を見た。
俺は自分の封筒を開けるとSDカードとイヤホンが出てきた。

「あっSDカードとイヤホンが出た人は、電子生徒手帳に繋いでくださいね!! ちゃんとありますからね!!」

言うとおりにSDカードを入れる場所を探し、入れ、イヤホンを付けて装着する。
そしてダウンロードかなにかが完了すると映像が自然に出てきた。

『翼、お前がこの学園に入るだなんて夢みたいだな。おめでとう。頑張れよ。』
『翼・・・本当に希望ヶ峰学園に入るだなんて嬉しくて誇らしく思うわ。 いつでも応援するわ。』
『お前がこの学園で頑張るなら兄として俺も頑張らないといけねぇな! だからお前も思いっきりいってこいよ!!』

その映像には俺の家族・・・父さんと母さんと兄がいた。
ビデオメッセージなのだろう。みんな笑って、みんな俺を応援してくれる。
それが・・・すごく嬉しかった。
だが・・・そんな気持ちもすぐに薄れていった。
映像にノイズが入り、次に出てきたのは・・・

俺の家が壊されていて・・・家族が、どこにもいない。そんな映像だった。
俺の・・・家族は? 父さん・・・母さん・・・兄ちゃん・・・?

『水上クンの家族は一体、どうなったのでしょう!?
続きは卒業の後で!!』

あの忌々しい声がイヤホンから聞こえて映像は終わった。
俺は思わず・・・座り込んでしまった。
脱力感と共に来たのは・・・恐怖だった。

「んだよ・・・これ・・・!!」
「なにっ!? 何でこうなったの!?」

みんな青ざめていた。 俺と同じようにイヤホンをしている人や、手紙か写真かなにかを見て叫んでいる人。
そして隣にいた湖川さんは・・・死人のように青ざめていた。震えていた。

「・・・お父さん・・・おかあ・・・さん・・・」

電子手帳が彼女の手から落ちた。
その画面には俺と同じく暗闇しか映っていなかった。

「でなきゃ・・・ここから・・・でなきゃ・・・」

その呟きが彼女の口から聞こえた。
今までの頼りがいのある表情は何一つなかった。

「ここから・・・出ないと・・・!! 父さんっ母さんっ!!」
「落ち着いて湖川っ!! それじゃあモノクマの思うつぼだよ!!」
「だってっだって・・・」
「だってじゃないっ!!」

風空君は湖川さんを落ち着けさせていた。

「みんなも・・・!! これは嘘だよ!! モノクマがでっち上げた偽物の物なんだよ!! 信じちゃだめだ!!」
「で・・・ですが・・・」
「うぷぷ・・・あれが本物とか偽物とかこだわるなら別にいいけどさ?」

さっきまでずーっと喋っていなかったモノクマが口を開いた。

「・・・モノクマ、お前の・・・目的はなんなんだ・・・?」

星鎖希君がそう言った。

「ボクの目的・・・? 『絶望』 それだけだよ!!」

そう高らかに、明るい声で、モノクマはそう言った。

「んじゃ、ボクはおいとまさせてもらいますよ。 さようならっと。」

手を振ってモノクマはどこかへ消えた。
みんなの表情は青ざめていた。

「う・・・うぅ・・・」

桜雪さんは配られた紙を見つめて震えていた。

「・・・落ち着いた?」
「うん・・・はぁ、駄目ね・・・私。」

風空君は湖川さんを落ち着けさせた。
みんなは嘘だと言い聞かせているのか深呼吸をしていた。

「・・・とりあえず解散しない・・・? このままあれでも・・・ね?」

いつものように、でも弱々しく湖川さんは言った。

「まぁこのまま平民達と過ごすのは勘弁だしね。 ぼくは先に帰ってるよ。」

見た物を嘘とか思っているのか、或いは何も思っていないのか、アルフレッドの表情はいつものあざ笑っている感じだった。
そのままアルフレッドは一足先に帰って行った。

「・・・オレらも帰ろうぜ。 このままボーッとしてもしかたねぇしな・・・。」
「そうですね・・・。 では私は先に失礼します。」
「おれも先に行ってる・・・」

紅杏さんと雨唄君もバンガローへと帰っていった。
城ヶ根君も帰ろうとしたが、湖川さんと桜雪さんに

「・・・なんでもいい、我慢できなくなったら相談しにきな。 聞くだけはできるぜ。」

と言っていた。 そしてそのまま帰って行った。
俺達も足取りが遅いがバンガローへと帰った。

キーンコーンカーンコーン....
『希望ヶ峰学園林間学校実行委員がお知らせします。オマエラ、夜10時なので、夜時間となります。 施設の食堂のドアがロックされますので、ご注意ください。 ではではいい夢を。おやすみなさい。』

・・・早くあの映像を忘れようと、夢だと思おうと俺は布団へ潜り込む。
明日・・・何か起こらないといいが・・・

そう思って俺は目を閉じた。