二次創作小説(映像)※倉庫ログ

chapter2 絶望的な未来を想像しますか?しませんか? ( No.35 )
日時: 2014/02/13 17:54
名前: アルズ (ID: K7X2qH8y)

『希望ヶ峰学園林間学校実行委員がお知らせします。 オマエラ、朝ですよ!! 山ならではの自然の空気を吸って今日一日張り切って行きましょう!!』

今日で六日目。
最悪な林間学校はもうすぐで一週間を迎えようしている。

「・・・いやな記念かなにかだな・・・。」

そう言いながら背伸びをし、目を覚ます。
あの絶望の裁判から二日経った。 あと二日後に何か起きそうで怖い。
とりあえず、その予感を忘れようと昨日出した雑誌でも読む。
お菓子作りはここに来てからやっていないな・・・。
そう思いながら簡単なケーキの作り方を読んでいた。


「・・・っともうこんな時間か。」

読みふけていると朝食会が始まる数十分前に差し掛かった。
急いで学ランを着て外へ出る。
今日も清々しいほど、いい天気だった。


「おはよっす。 今日も息切れご苦労さん。」
「・・・・」
「翼ー? 生きてるー?」
「生きてる・・・生きてるから。」

はぁ、とため息をつき席に着く。

「・・・雨唄君、来たんだね。」
「強制連行された・・・」

と、腕にぴったり付いている深海君は機嫌が良さそうだ。
かなり懐かれてはいるのだが何がどうしてこんなに懐かれたのか不思議である。
そしてその雨唄君の隣では星鎖希君が項垂れていた。

「星鎖希君・・・どうしたの?」
「モノクマにケーキがあるからとここに来させられるけど・・・ケーキ無し・・・コンビニにも無し・・・。 そろそろ禁断症状が来そう・・・。」
「・・・そう言えばとある雑誌にケーキの作り方が書いてあったな・・・。」
「詳しくっ・・・!!」

ガタッという音を食堂に響かせて星鎖希君は立ち上がった。

「えっと・・・作ろうか・・・? 簡単なのなら作れるし・・・。」
「ほ・・・本当・・・!?」
「あら、水上君お菓子作りできるんですか? 私もお供してもよろしいですか? ミルフィーユ辺りなら私作れますし。」

と、紅杏さんもその話を聞いて会話に入る。
星鎖希君は嬉しそうに、でもいつもの無表情で目を輝かせていた。
ここまでの感情を見せたことがないので少し仲良くなれたかな?と少し思う。
食事を食べ終わり、バンガローから雑誌を持ってきて台所に入る。

「さて、星鎖希君何か食べたい種類はありますか?」
「ケーキならなんでも・・・。」
「じゃあ最初は簡単な方で行くか・・・?」
「いえ、タルトにしませんか? ほら、作り方書いてありますし。」
「あぁ・・・じゃあみんなにも渡すためにマフィンでも作ろうか。」
「それならチョコチップマフィンにしましょう! あれなら簡単に、しかも複数できてお得ですよ。」

なんて会話をしながらケーキを作る。
幸い材料は全てあったため星鎖希君の望み通り作れる。
当の食べる本人は机に頬杖をついて作業の工程を見守っている。
そんなこんなでタルトができあがった。 後からマフィンを作りみんなに一個ずつお裾分けするつもりだ。
タルトを星鎖希君にあげると一瞬でフォークをとり、タルトを口に運んだ。

「・・・おいしい。」

そう呟くとモグモグと食べ進めた。 そしてあっという間にタルトはすべて星鎖希君の胃の中へ入っていき、

「・・・おかわり。」
「いや、今マフィン焼いてるし・・・」
「じゃあ、それ寄越せ。 今すぐに。」
「後で違うの焼きますから待っててくださいね。」

と紅杏さんは言ったがよく見るとオーブンは3つある。俺と紅杏さんは食べないので作る数は12個。 よって一つ6個いれればいい。 なので一つ余る。

「星鎖希君、今からやるから待っててくれ。」
「わかった・・・。」

雑誌を見てどのケーキにしようか、と見ていると作ってみたい物が一つあった。
モンブランの簡単な作り方が載ってあったので作ってみる。栗もあったしちょうどよかった。
それに載ってある作り方を参考にして作ると意外にうまくできた。
同時にできたマフィン一個とモンブランを渡して、星鎖希君が食べた。

「・・・おいしい。」

彼はただ単にそう言うと幸せそうにケーキを食べ進めていった。


「ケーキありがとう・・・。 おいしかった。」
「また作りますよ。」
「あぁ、まだまだ作ってない物あるしな。」
「・・・そう。 じゃあね。」

彼はそう言って自分のバンガローへと戻っていった。
そして俺は紅杏さんと共にマフィンのお裾分けに行った。
たった一個だけどみんな喜んでくれて嬉しかった。
アルフレッドだけは受け取ってくれなかったが。


配り終わった後、俺はバンガローに戻り、少し一息をついた。

chapter2 絶望的な未来を想像しますか?しませんか? ( No.36 )
日時: 2014/02/13 18:30
名前: アルズ (ID: K7X2qH8y)

「まだ時間があるな・・・。」

少しぼんやりとしながら外へ出た。
欠伸をかましつつ歩くと湖川さんが俺と同じくぼんやりと空を眺めていた。

「あ・・・水上君、昼下がりって眠いね。」
「そうだな・・・。」
「よかったら一緒に黄昏れない? 風浴びながら空見るのって気持ちいいよ。」
「おっ・・・いいな。 じゃあ隣いいか?」
「う・・・うん。」

そして湖川さんと一緒に空を眺めながら話をした。

「なぁ、湖川さんってどうしていつもバール持ってるんだ?」
「え? あぁ、あれだよ喧嘩売ってくる馬鹿いるからさ護身用。」
「でも・・・人多いところに行けば襲われる心配ないと思うけど・・・」
「そこなのよ。 私の近所ってやばいことに不良のたまり場が多くてさ−・・・。」
「なんでそこに住んだの・・・!?」
「土地安いからだってさ。 あー・・・説明の傍らになんか・・・なんていうんだっけ・・・」

それって・・・よくここに殺人が起きたとかほこらだとかどかした時によく聞く・・・

「い・・・いわくつき?」
「そうそう!! いわくつき物件!! それ言われたり書かれたりしたなー・・・なつかしー・・・。」
「なんで気づかなかったの・・・!?」

所々不思議な人だな・・・。

「あっそうだ・・・これいるか?」

俺が差し出したのは『マリンスノー』だった。

「えっ・・・!? いいの・・・? あ・・・ありがと。」

湖川さんは照れながら、そして嬉しそうに頬を緩ませてマリンスノーを受け取った。

「湖川さんって結構男勝りな時あるよな。 一人称たまに「俺」とかになったり・・・。」
「気合い入れなきゃ喧嘩なんてできないよ。 それにね、これは私を知っている人にとっての秘密があるんだよ。」
「・・・秘密?」
「水上君にだけには教えてあげる。 俺、実は男なんだ。」
「・・・・・・えぇぇぇぇぇ!!!???」
「嘘だよ。 俺って言ってたら嘘かもしれないって覚えておいてね。私って言ってたら9割本当の事いってるから。」
「・・・・。」

ある意味お化けの登場より驚いたかも・・・。


少し笑い話をしたりした後、俺はバンガローに戻った。
時計をふと見るとまだまだ時間はあった。

「暇つぶして来るか・・・」

背伸びをしながら靴を履き、外へ出た。
ふらふらと散歩をすると何かの絵を描いている一色さんの姿があった。

「一色さん・・・?」
「・・・ふわっ!? 水上さん・・・ですか?」
「あ・・・あぁそうだが・・・。」
「すみません・・・気づかなくて・・・。」
「いやいいよ。 誰でも好きなことには集中したいし。」
「あ・・・あの・・・よかったらお話しませんか・・・?」
「俺でよかったら構わないぞ。」
「あ・・・ありがとうございます・・・!!」

絵を描いている一色さんと一緒に喋りながら過ごした。

「一色さんって本当に絵が上手いよね。」
「そ・・・そうですか・・・?」
「うん、写真みたい。 本当に写してるって感じだよ。」
「えへへ・・・ありがとうございます・・・。」
「あっ・・・そうだ、これいる?」

俺がふと思い付いて渡したのは『アンティークドール』だ。

「ひぇぇ!? こんな素敵な物・・・を!? ありがとうございます・・・!!大切にします・・・!!」

凄く嬉しそうにしながら彼女は受け取り、抱きついていた。

「一色さんってどうして絵を描き始めたんだ?」
「えっと・・・、私小さい頃から絵が大好きで・・・ずっと描いてたんです・・・。」
「へぇ・・・そうなのか。」
「は・・・はい!! 幼稚園の頃たまたま描いた森林の絵がすごく好評されて・・・嬉しくてついついご飯も忘れて描くことがあるんです・・・。」
「食べるの忘れて・・・!?」
「お陰で・・・お母さんによく怒られます・・・。」

もの凄い集中力なんだな・・・。 ああいう絵を描けるのもその集中力のお陰なのかもしれない。
もしかしたら彼女の能力の開花はかなり早かったのかも・・・しれない。


一色さんの絵を描いている様子を見た後彼女と別れ、自分のバンガローへ戻っていった。

キーンコーンカーンコーン....
『希望ヶ峰学園林間学校実行委員がお知らせします。オマエラ、夜10時なので、夜時間となります。 施設の食堂のドアがロックされますので、ご注意ください。 ではではいい夢を。おやすみなさい。』

もう10時か・・・早いな・・・。
そう思いながらぼんやりと窓から星を見た。
何座かわからないが夜空に満面に浮かぶ星々を見た。
ここだとやっぱり星の見えやすさが違うな・・・。
そうしてベットに寝っ転がりながら星を見ているといつの間にか瞼が閉じて・・・寝てしまった。