二次創作小説(映像)※倉庫ログ

chapter0 プロローグ ( No.4 )
日時: 2014/02/01 17:53
名前: アルズ (ID: K7X2qH8y)

・・・ぼんやりと目を開けた。
葉の隙間から出てくる日の光が眩しい。
ゆっくりと、起き上がる。 そして周りを見渡した。
床一面に広がる枯れ葉と、それを落としたと思われる青々と茂った木々。

「・・・ここは・・・どこだ?」

森林の中でそう呟く。 周りには人がいない。
どうすればいいのかと、立ち上がる。

「・・・−い!! おーい!!」

人の声が遠くからした。 声のする方を見ると、青いジャージを羽織った男の子が大声を出しながらこちらへ近づいてきた。

「あー!! よかった!! 人がいたよー!!」

息切れもしないでニコニコとこちらを見る彼はどこか中性的な顔立ちをしていた。

「君、ここで倒れてたの?」
「あ・・・あぁ、そうだけど・・・。」

ふむ、と口元に手を添えて考えている彼はふと何かを思い付きニコッと笑った。

「なぁっあんたの名前なんていうんだ!?」
「えっ・・・俺は水上翼・・・だが。」
「僕は風空来未フウカラライビっていうんだ!! よろしくね!!」

風空来未・・・。 確か、100m走で9,04秒、走り幅跳びで9mジャストというとんでもない記録をたたき出した『超高校級の陸上選手』・・・?

「とりあえずよろしくねっ!!」
「あっ・・・あぁ。」

風空君は俺の手を取って握手をした。
勢いが強くブンブン振り回された感じがするけれども・・・。

「とりあえずさっ人のいるところへいこっ!!」
「えっ・・・あっ!! ちょっと!!」

手をそのまま引っ張られて走らされた。
彼の足の速さは半端じゃない・・・足をもたつかせながらデコボコした上り坂を走った。

chapter0 プロローグ ( No.5 )
日時: 2014/02/01 17:50
名前: アルズ (ID: K7X2qH8y)

ゼェゼェと息切れをしながら上り坂を上がっていく。
対する風空君は全然息切れをせずに俺を引っ張っていく。

「だらしないなー・・・あっほらっ着いたよ!!」

息切れをしながら顔を上げるとそこには俺らを除いた14人の人達がそこにいた。

「風空、そいつが最後?」
「うん!! 周り走って最後のところにいたのが翼だったよ!!」
「つ・・・翼・・・? その方の名前ですか・・・?」

みんな揃って俺らを見つめる。

「あ・・・水上翼です・・・。 よろしくお願いします。」
「水上翼ー? そんな名前の人スレッドに載ってたかー?」
「まぁ、あまり活躍してないからあれじゃないの・・・? ほら、『超高校級の幸運』とかじゃないの・・・?」
「あぁ・・・俺は『超高校級の幸運』だが・・・」
「ふむふむ・・・それはそれはいい情報で!!」

数人がしゃべり始めた。 何をそこまで話すのかわからないが・・・。
すると何故かバールを背負った女の子がこちらへ来た。

「とりあえずさ、自己紹介した方がいいんじゃないか? あっ私は湖川魅琴(コガワ ミコト)。 よろしくな。」

湖川魅琴。たった1人で一番強いと言われている不良グループを無傷でなぎ倒し、様々な喧嘩も圧勝してきたと言われている『超高校級の不良』だ。
まさかこんな小柄で華奢な少女とは誰も予想はしなかっただろう。

「よ・・・よろしくお願いします・・・。」
「あー・・・そんな固くなるなって。 こっちまで固くなるだろ? だから気軽になろうぜ。 な?」
「あ・・・あぁ。」

そう優しく微笑んでくる彼女は俺の肩をポンポンと軽く叩いた。
意外に優しい人なのかも知れない。
そう思いながら暗めの青の髪色をした男の子に顔を向けた。

「・・・星鎖希仔夜(セイサキ コヨル)。 それを知ってもどうもならない確率・・・79%。」

星鎖希仔夜。太陽系の近くに地球に似た水の惑星を見つけ、遠い彼方にある誰にも発見できなかった大星雲を見つけ、さらにはどこかの星に生物のいる痕跡のあるのを発見した『超高校級の天文学者』だ。

「・・・用は済んだだろ・・・? 早く次の人の元へ行きなよ・・・。」
「あ・・・あぁ。 悪いな。」

もしかして人と関わりたくないのかな・・・。
早めに星鎖希君の元を離れて、四つ葉の髪飾りをしている女の子に顔を向ける。

「久地先鈴兎(クチサキ レイト)・・・。 よろし・・・なんでもない!」

久地先鈴兎。『超高校級のマジシャン』で、彼女のやるショーは軽く500万人ぐらい集まり、その中ではわざわざ海外からやってくる人もいるという。

「なぁ、どんな手品やるんだ・・・?」
「・・・じゃあそのシャーペン貸して・・・。」

そう言ったのでポケットに入れてあるシャーペンを渡した。
すると久地先さんはそれを上空に投げ飛ばし、キャッチした・・・が、キャッチした手には何もなかった。

「え・・・どこにいったの・・・!?」
「何言ってるの・・・あなたのポケットにあるでしょ?」

そういわれてポケットを確かめると確かにあった。 しかも、元あった位置に。

「す・・・すげぇ・・・」
「これぐらい造作もないわ・・・。」

これはショーを見に来る人が多いわけだな、と思い黒いツインテールが特徴の女の子に顔を向けた。

「初めましてっ東野文子(ヒガシノ アヤネ)といいます! よろしくっ」

東野文子。『超高校級の新聞記者』で、彼女の書く新聞はかなりの人気を有しており、とある飲食店の事を書けば行列ができ、イベントやボランティアの事を書くと参加人数がかなり増えたという。

「水上君は『超高校級の幸運』として、入学したんだよね?」
「あ・・・あぁ、そうだな。」
「つまり運で入学したんだねっ、スクープものだよ!」

どこにそんな要素があったんだ・・・!?
元気な彼女に軽く挨拶をした後、猫のカチューシャをしている女の子に顔を向けた。

「桜雪紫蘭(サクラユキ シラン)と申します。 よろしくお願いしますね?」

桜雪紫蘭。『超高校級の舞踏家』で幼い頃から海外で舞踏をしており、見た人を魅了にする程の魅力を持っている。 未だに人気は落ちていないらしい。

「水上さんは日本舞踊を知っていますか?」
「えっ・・・!? どうした急に!?」
「実はですね、最近はまっているんですよ。 日本舞踊に。 どうしても習いたくて習いたくて・・・!!」
「そうなのか・・・悪いが俺はあまり知らないな・・・。」
「あら・・・残念ですわ・・・。」

そう言えば、少し前に『超高校級の日本舞踊家』がいた気がするが・・・。
その人に教わればよかったのだろう・・・と思ったが言うのをやめた。
そして次に眼鏡をかけている男性に顔を向けた。

「あっ俺の名前は春風楓(ハルカゼ カエデ)。 よろしく。」

春風楓。彼の作ったゲームはすぐに完売し、生産が追いつかないほどの人気を有している『超高校級のゲームクリエイター』だ。

「水上君はゲームをやっているのかい?」
「うーん・・・俺はゲームより本だからな・・・」
「そうか・・・なら、ノベルゲームとかどうだろう。 今度見せてあげるよ。」
「あっ・・・ありがとな。」

優しい雰囲気を漂わせている男性だ。
彼となら少し打ち解けられるかもしれない。

chapter0 プロローグ ( No.6 )
日時: 2014/03/15 19:00
名前: アルズ (ID: NaOjLZBc)

ふと息をついた後、ベレー帽を被っている女の子に顔を向けた。

「あ・・・あの・・・、一色千絵イシキチエと申します・・・。よろしくお願いします・・・」

一色千絵。様々なコンクールで金賞を取り、瞬く間に有名になった『超高校級の画家』だ。 実際彼女の描く風景画は本当は写真じゃないのかと疑う程の出来らしい。

「あの・・・すみません・・・」
「えっ・・・!? 何で誤るんだ・・・!?」
「だって・・・険しい顔していたので・・・私が何かしたんじゃないかと・・・思いまして・・・」
「いやいや!! そんなこと無いぞ!!」
「そ・・・そうですか・・・? よかったです・・・。」
へにゃと笑った彼女の顔はとても癒される。
そんな彼女と挨拶を済ませ、スーツを着ている男性に顔を向けた。

「アルフレッド・エインズワースだ。」

アルフレッド・エインズワース。持っている財産は軽く10憶は超え、幼い頃からかなり裕福な生活をしてきた『超高校級の大富豪』だ。

「早くどっかにいってくれない・・・? すごく目障りだよ。」
「えっ・・・あっ・・・すまん」
「すみませんでした・・・だろ?」
「・・・すみませんでした。」

なんか・・・格下に見られてないか・・・? まぁ当然か・・・元より俺らとふれあうような人じゃないもんな・・・。
そう思いつつ柔道着を着てる小柄な少女に顔を向けた。

「あたしは暁朱利(アカツキ シュリ)だよー。よろしくねー」

暁朱利。 全国の空手の大会で日本代表で出場し、圧倒的な力を見せつけ優勝した『超高校級の空手家』だ。
彼女ならあの『超高校級の格闘家』に勝てるんじゃないのかと噂になっている。

「水上は勝負事とか運動とかするのかー?」
「俺・・・? そうだな・・・あまりしないかな・・・?」
「そんなんじゃ男として情けないぞ!! 出直せ!!」
「え・・・!?」

なんか・・・少し理不尽・・・。
少し悲しくなったが気を取り直してポニーテールが特徴の女性に顔を向けた。

「雪柳暦(ユキユナギ コヨミ)って言うんだ。 よろしく・・・ね!!」

雪柳暦。 『超高校級のテニス選手』としてかなり有名で、彼女の入った学校はたちまちテニスの強豪校になった・・・という。

「水上・・・だっけ? あんたは丸い物すき?」
「え・・・?丸い物・・・?」
「そう・・・!!アタシは角張ったものじゃなくて柔らかそうな丸い物が好きなんだ!! とくにテニスボールのゴム製!!」
「あ・・・あぁそう・・・なのか。」

色々ずれているなと思いつつ、ヘアピンをしている男性の方を振り向く。

「オレは城ヶ根司(シロガネ ツカサ)!! よろしくな!!」

城ヶ根司。彼が入ったチームは驚愕な強さを身につけ、様々な大会でも優勝したという記録を持つ『超高校級のバスケ選手』だ。

「水上はバスケすんのか?」
「あー・・・スポーツはあまりしないかな・・・」
「マジか!? ありえねーよ!! スポーツしないなんて!! あっそうだ!!オレがバスケ教えてやるよ!!」
「あっ・・・じゃあ後でお願いするかな・・・。」

チャラついてるけどバスケに注ぐ熱意や情熱はすごいな・・・。
そう思って彼に挨拶して、白いマフラーを巻いている女の子に顔を向けた。

「紅杏音葉(コウキョウ オトハ)です。 よろしくね。」

紅杏音葉。 様々な曲を作り、あの『超高校級のアイドル』の作曲も手がけたと言われており、彼女の作る曲はかなりの人気を有している。『超高校級の音楽家』だ。

「水上君は好きな楽器ありますか?」
「好きな楽器・・・? そうだな・・・ピアノとか?」
「ピアノ・・・!! いいですね。 でも私はオカリナが好きなんですよ。オカリナ。」
「へぇー・・・そうなのか・・・今度聞かせてくれよ。」
「えぇ!!」

嬉々としてそう返事する彼女を見ているとこっちも元気になってくる。
そう思いながら目を前髪で隠している男性の方を向いた。

「雨唄蛍(アマウタ ホタル)・・・。」

雨唄蛍。 どんなに細かく、小さい不具合やバグだろうが瞬時に見極め、すぐに訂正する『超高校級のデバッカー』と呼ばれる彼は、昔『超高校級のプログラマー』と共に活躍していたという話を聞いた。

「・・・」
「・・・」
「何か用・・・?」
「い・・・いや別に・・・!!」

関わりづらいな・・・。
そう思いながら最後に皮の手袋をしている小柄な男の子の方に顔を向けた。

「深海光矢(シンカイ コウヤ)っていうんだ、よろしくね−・・・」

深海光矢。 地図をすぐに覚え、道案内人として活躍し、地元の魅力をガイドとして語っており、その地元を有名にした『超高校級の案内人』だ。

「水上は自然は好き−・・・?」
「自然・・・か?」
「うん−・・・。 都会より自然だよねー・・・?」
「えっ・・・えっと・・・そうだね・・・」

迫力に負けて同意をすると彼はニコリと微笑んで頷いた。

これで全部かな・・・。

「あ・・・あの・・・水上さんはどうやってここに来たんですか・・・?」
「えーっと・・・学園の校門をくぐったら急に目眩がして・・・」
「あっ僕も同じだよ!! 目眩で倒れたら木に寄りかかって寝てたんだよ!!」
「その前にさ、ここどこなの? バール以外のバックも見あたらないし。」

湖川さんは周りを見渡しながらそう言った。

「あっ・・・私のマジックに使う道具が入ったバック・・・そういえばどこにいったの・・・!?」
「携帯もないぞ!? どういうこった!?」
「・・・ボクの本もない・・・。 どうやら・・・みんなの持ち物は消えたみたい・・・だね。」

冷静に状況説明をする星鎖希君は何も焦っていないように見えた。

「まぁ、ここはまず山で間違いないだろ・・・? ここは森林などがよく見渡せるしね。」

あざ笑っているようにそう言ったアルフレッドは周囲を見渡した。
すると・・・チャイムが鳴った。

『あーっあーっマイクテス!!テステス!!
聞こえてるよね? えーでは、皆さん!! 至急広場のテントへお集まりください!!』

ぷつり、と音声が消えた。 傍にあるスピーカーから発生してたらしい。
緊張感のない声から出来た言葉は「恐怖」だった。

chapter0 プロローグ ( No.7 )
日時: 2014/02/02 15:00
名前: アルズ (ID: K7X2qH8y)

「・・・で、どうするの・・・?」

冷静にそう言った星鎖希君は、物怖じしている様子もなかった。

「行くしかないだろ・・・? んじゃ、ぼくは先に行ってるから。」

アルフレッドはスタスタとその場を立ち去り、テントがあると思われる方角に行った。

「おれも先に行ってる・・・。」

続けて雨唄君もアルフレッドの後を追うようにその場を去った。

「あっ待てよ!! 団体行動重視・・・行っちまった・・・」
「とりあえず、行った方がよろしいのでは? 団体で行くにしろ個人で行くにしろ行かないことには何も進みません。」

がっくりと肩を落としている湖川さんの肩を軽く叩きながらそう言った桜雪さんのその言葉は一理あった。

「一理あるわね・・・。 じゃあ団体でも個人でも、とりあえず行きましょ。」

うん、と頷いた久地先さんはその場を立ち去った。

「このメンバーで行くのか−・・・?」
「・・・いや、ボクも先に行く・・・。」

その言葉を否定するように言った星鎖希君は早足でテントへと向かって行った。

「あいつらは人と関わる気ゼロなのね・・・。俺らも行くよ。」

先頭をきるように湖川さんはそう言うとみんな頷いた。
そして、今この場にいるメンバーでテントのある方へと向かって行った。



しばらく歩くと広場らしきところに着いた。 テントもあるのでここで間違いないだろう。

「遅いよ。 何ちんたら歩いてるんだ。」
「てめぇがスタスタと速攻で立ち去ったからだろ!? 私達はちゃんとしたスピードであるいてるわぁ!!」
「ぼくに向かってそんな口をきくなんて・・・いい度胸だね?」
「あぁ!? 知らねぇよ!! んなこと・・・」
「はいはいストップ、ストーップ!! 今はそんな事で争ってる場合じゃなーい!!」

アルフレッドと湖川さんの間に入って喧嘩を止めた風空君は二人を見つめる。

「あの謎の声の正体突き止める前に何喧嘩してんのさ!! そう言うのは後!! あーと!!」
「命拾いしたな・・・」
「・・・チッ」

制裁に入った風空君の言葉によって喧嘩をやめた二人だが、湖川さんが舌打ちして以降、彼女の機嫌は斜めだ。

『へー!! すごいね!! こんな緊急時でも仲良く、てのが大事なんだー!! うぷぷ・・・面白いねー!!』

不意にどこからかそんな声が聞こえた。
あのアナウンスと同じ、緊張感のない声。

「えっ!? どこだー!?」
『ここだよ!! ここ!!』

一番大きい机。 いわゆる教壇らしきところから聞こえる。
その机から出てきたのは・・・白黒のクマだった。
そして流れたのは・・・沈黙。

「えっ・・・? なんですか・・・? ぬい・・・ぐるみ・・・?」
「ヌイグルミじゃないよ!! モノクマだよ!! 希望ヶ峰学園の学園長なのですよ!!」
「はぁ・・・? 学園長・・・?」

一色さんがぬいぐるみか?という発言をすると返事が返ってきた。
そして、あのクマが希望ヶ峰学園の学園長というのだ。

「ねぇっなんでヌイグルミが喋ってるの!? ラジコン!?」
「だーかーら!! ボクはモノクマだって!! ヌイグルミじゃなーい!!」

プンスカという効果音が付きそうな怒りかたをしているモノクマは少しため息をつくとこちらを見渡した。

「では、気を取り直して・・・みなさん!! おはようございます!!」
「おはようございますー!!」
「挨拶するのかよ!?」

挨拶をしている暁さんに思わずつっこむ。

「さてさて・・・みなさん、これからこの、「神ヶ天山」で『林間学校』の開催式を発表いたします!! では、まずはボクからの一言です。
えー、オマエラのような才能あふれる高校生は“世界の希望”に他なりません!そんなすばらしい希望を保護するため、オマエラには“この山”だけで共同生活してもらいます! みんな仲良く秩序を守って暮らすようにね!」
「・・・へ?」
「えー、そしてですね・・・その共同生活の期限なんですが・・・」

何を言われているのかまったくわからないまま、話は進められた。

「期限は−・・・ありません!! つまり、オマエラは・・・一生ここで暮らすのです!!」

どういうことだ・・・?
きっぱりとそう言い放ったモノクマの言葉に俺らは混乱した。

ここで・・・俺らは・・・一生過ごすのか・・・!?

chapter0 プロローグ ( No.8 )
日時: 2014/02/02 17:04
名前: アルズ (ID: K7X2qH8y)

「・・・一生・・・ここで?」
「はい!そうです!! オマエラはここで一生を過ごすのです!!」

星鎖希君の言葉の問いが帰って来た。
聞き間違いではなかった。 確かにコイツはそういったのだ。
『一生ここで過ごす』と。

「そんなの・・・嘘・・・なんですよね・・・?」
「嘘じゃないよ!! ボクは純粋なほど嘘はつかないよ!!」
「助け・・・助けは・・・?」
「助けー? そんなの来るわけないない!! だから、オマエラはここで暮らす事を受け入れるんだよ!!」
「そんなことはどうでもいいんだ。 はやく俺らを出せ。」

春風君のその一言にモノクマは嬉しそうに笑っている。

「うーぷぷぷ・・・。 ないわけじゃないよ。ここから出る方法。」
「そうなんですか・・・!? なら早く言ってください!!」
「じゃあ、説明しましょう。 学園長であるボクは、学園から出たいという人のために、ある特別ルールを設けたのですっ!それが『卒業』というルール!! では、この特別ルールについて説明していきましょう。
オマエラにはこの山だけでの共同生活が義務つけられたわけですが、もし、その秩序を破った者が現れた場合、その人物は、学園から出ていく事になるのです。 それが『卒業』というルールなのです!!」
「『秩序を破る』・・・? どういう事だ・・・?」

雨唄君は疑問を感じつつそう質問をした。
するとモノクマはルールを説明したときと同じような明るい声でこういった。

「ヒトが、ヒトを殺す事だよ・・・」

その一言が、周りを恐怖で凍らせた。

「こ・・・殺す・・・!?」
「はい、殴殺刺殺撲殺斬殺焼殺圧殺絞殺呪殺・・・殺し方は問いません。『誰かを殺した生徒だけがここから出られる』それだけの簡単なルールなのです。最悪の手段で最良の結果を導けるよう、せいぜい努力してください。」

俺は思わず拳を握りしめ、モノクマに怒りをぶつけたかった。
でも・・・頭の中ではわかっていた。
こいつの言ってることは本気なんだろうと。
嘘です。なんて言葉が欲しかった。もちろん、その言葉が一番よかった。でも、こんな場所で、こんな状況で、こんなおかしな奴に、こんなおかしな事を言われた・・・。 嘘にしては・・・おかしすぎる。


『誰かを殺した生徒だけがここから出られる。』


そんな言葉、学園長という者が使っていいはずなんかない。
俺は、怒りをずっと心の中に抑え続けた。

「なんでオレらが殺し合わなきゃいけねぇんだよ!!」
「えー? だって、こんな脳汁ほとばしるドキドキ感は、鮭や人間を襲う程度じゃ得られないんだよ。さっきも言ったとおり、オマエラはいわば『世界の希望』な訳だけど、そんな『希望』同士が殺し合う、『絶望的』シチュエーションなんて・・・ドキドキしてこない?」
「来るわけないよっ! 大体、殺し合うってなによっ!!」
「殺し合いは殺し合いだよ。 辞書ならバンガロー内に・・・」
「意味じゃねぇ!! なんで私達が殺し合わないといけねぇんだよ!!」

湖川さんがそう言うと風空君が前に出て叫ぶ。

「そうだよ!! さっきから聞いてれば変な事ばっかりいいやがって!!早く僕たちをこの山から出せよ!!」
「・・・ばっかり?」

モノクマは風空君を睨み付けた。 そして、どこか壊れたように呟き始める。

「ばっかりってなんだよ。ばっかりって・・・ばっかりなんて言い草するなっての!ホントに物わかりの悪い連中だ。何が帰してだ。同じ事を何度も何度も何度も何度も何度も・・・いいかい?これからは、この学園がオマエラの家であり世界なんだよ?殺し放題殺して殺させるから、殺して殺して殺して殺して殺しまくっちゃえっつーの!!」
「・・・さっきから聞いてりゃべちゃべちゃと変な事ぬかしやがって・・・」

湖川さんがモノクマの元へ行ってモノクマを見下ろした。

「てめぇの悪ふざけは度が過ぎてんだよ!!」
「・・・悪ふざけ?なんのこと?」
「しらばっくれんじゃねぇくそ野郎がぁぁぁぁ!!」

彼女はバールを構えながらモノクマの頭を掴み持ち上げた。

「もう許せない!! ラジコンだがヌイグルミだが知らねぇが今すぐてめぇをここでめちゃくちゃにしてやる!!」
「ぎゃー!! 学園長への暴力は校則違反だよー!?」
「んな事知るかっ! ボコボコにされたくなかったら今すぐ私らを出しやがれ!!」

ピコーン・・・ピコーン・・・
モノクマから、突然機械音が聞こえる。

「っ・・・!? 湖川っ!! 早く投げろ!!」
「・・・はぁ?」
「いいから早く!!」

星鎖希君がそう叫ぶと、湖川さんはモノクマを野球ボールのように軽く上空に投げた後、バールでモノクマを打った。
モノクマは遠くに行き・・・・

ドカーン!!

爆発した・・・。

「・・・何・・・あれ・・・」

湖川さんは、バールを持ったまま硬直していた。

「ななななっ何です!? あれは!?」
「んだよ・・・あれ!? なんなんだよ!?」

数々の悲鳴があがっていく。
煙が上がっているところは・・・クレーターが出来ていた。

「と言うことは・・・もうあのヌイグルミは・・・壊れたのですか?」
「ヌイグルミじゃないよっモノクマだよ!!」
「まっ・・・また出た!?」

ぬっと同じ教壇から現れたモノクマは、さっきとさほど変わらないそっくりそのままだ。

「あんた・・・私を殺そうとした・・・?」
「当たり前じゃん。マジに殺そうとしたんだもん。校則違反するのがイケナイんでしょ?今のは特別に警報で許すけど、今後は気をつけてよね。校則違反をする子はおしりペンペンレベルの体罰じゃ済まないんだからね!!」
「ねぇ・・・もしかして他にも同じ個体のやつらっているのー・・・?」
「はい、モノクマはこの山の敷地内に配置されています。さらに、その敷地内でも監視カメラが配置されています。そして、校則を破る者を発見した場合は、今みたいなグレートでエキサイキンな体罰を発動しちゃうからね!! うぷぷ。次からは外さないから、そうならないようにね。」

・・・すごく無茶苦茶だ・・・。 無茶苦茶すぎる・・・。
俺らは、あまりの壮絶さにその場で佇んでいた・・・。

chapter0 プロローグ ( No.9 )
日時: 2014/03/15 18:59
名前: アルズ (ID: NaOjLZBc)

「あっそうそう、忘れてた忘れてた。オマエラにこれを渡しておきましょう。 この学園の生徒手帳です!!」

モノクマは近くにいた人の順に生徒手帳を渡していった。

「カッコイイでしょ? 電子化された生徒手帳、その名をなんと・・・電子生徒手帳です!!」
「なんか凄くまんまだなー」
「うぐぅ・・・つっこんじゃ駄目!!
えー、気を取り直して。 電子生徒手帳は学園生活に欠かすことができない必需品だから、絶対なくさないようにね! それと、起動時に自分の本名が表示されるから、ちゃんと確認しておいてね。単なる手帳以外にも使い道はあるんだから。
ちなみに、電子生徒手帳は完全防水で、水に沈めても壊れない優れもの!!耐久性も抜群で、10トンぐらいの重さなら平気だよ!! 詳しい校則も書いてあるんで、各自じっくり読んでおくように!!
何度も言うけど、校則違反は許せないんだからね!!ルールは人を縛りをするけど守りもするんだ。社会でも法律がないと平和は成立しないでしょ?それと一緒!だから、違反者は厳しく罰する必要があるのです!!
ではでは、開催式もとい、入学式はこれで終了となります! 豊かで陰鬱な学園生活をどうぞ楽しんでください!! そんじゃあ、まったね〜!」

そして、唖然としている俺達を残してモノクマはどこかへいってしまった。

「・・・ねぇ、このままぼんやりと立って時間を過ごす気?」

この状況を脳内でまとめられずにそのまま立っていると星鎖希君が口を開いた。

「・・・このまま突っ立っててもなにも始まらないよ? まず、どうするか・・・話合わない?」
「そんなこと言っても・・・俺達どうすればいいんだよ・・・!?」
「殺す・・・殺される・・・!? 一生・・・!?」
「・・・落ち着きなさい、桜雪。 深呼吸、深呼吸よ。」

桜雪さんは久地先さんに言われるがままに深呼吸をして落ち着きを取り戻す。

「まずは状況を整理しようか。 ぼくらに与えられた選択肢は二つ。『この山の敷地内』で一生共同生活を送る。 もう一つは、『誰かを殺して』ここから出る。」
「ひ、人を殺すなんて・・・出来るわけないです・・・!!」
「そうです・・・。 いきなりこんな所に連れてこられて、閉じ込められて、殺し合いをしろだなんて・・・もう悪夢ですよ・・・」
「そこら辺はどうでもいいんだよ。 問題は、この中でそんな話を信じている奴がいるかどうか・・・だろ?」

そんなアルフレッドの言葉に俺らは黙り込んだ。
何も言えない、反論もできない。
視線が誰かと交差するたびに、うっすらとした敵意が感じる。

俺は、モノクマが提示したルールの本当の恐ろしさを知った。

『誰かを殺した生徒だけここから出られる。』

その言葉は、俺達の心に根深く「恐ろしい考え」を植え付けていた。

『誰かが裏切るかもしれない』

という疑心暗鬼を。

こうして俺達の楽しい学園生活、林間学校が始まった。
いや、『楽しい』なんてのは端からの嘘だ。
ここは“希望の学園”なんかじゃない。
“絶望の学園”なんだ・・・。

生き残りメンバー

水上 翼(ミナカミ ツバサ)
風空 来未(フウカラ ライビ)
星鎖希 仔夜(セイサキ コヨル)
湖川 深琴(コガワ ミコト)
久地先 鈴兎(クチサキ レイト)
桜雪 紫蘭(サクラユキ シラン)
深海 光矢(シンカイ コウヤ)
東野 文子(ヒガシノ アヤネ)
一色 千絵(イシキ チエ)
雨唄 蛍(アマウタ ホタル)
アルフレッド・エインズワース
雪柳 暦(ユキヤナギ コヨミ)
春風 楓(ハルカゼ カエデ)
紅杏 音葉(コウキョウ オトハ)
城ヶ根 司(シロガネ ツカサ)
暁 朱利(アカツキ シュリ)

残り 16人

chapter0 プロローグ 終了