二次創作小説(映像)※倉庫ログ

chapter3 絶望ってなんて読めますか? ( No.50 )
日時: 2014/02/16 14:34
名前: アルズ (ID: K7X2qH8y)

『希望ヶ峰学園林間学校実行委員がお知らせします。 オマエラ、朝ですよ!! 山ならではの自然の空気を吸って今日一日張り切って行きましょう!!』

ゆっくりとベットから身を起こす。
今日で・・・一週間ぐらい経っただろうか・・・。
どうしても二度目の・・・昨日の裁判でクロになってしまった久地先さんの処刑される前の笑顔、深海君のその時の表情が思い出す。
何故彼女は死ぬというのに笑顔だったのだろうか。
何故彼は信頼している人の死に際を見て涙を流したのだろうか。

その人の思考はその人にしかわからないものだ。

まだ時間があったのでモノモノマシーンでもやろうと思いベットから降りて棚へ向かった。

「・・・また増えてる・・・?」

明らかに増えていたのだ。 メダルが。
どうやら裁判を乗り越えると増えるようだ。
嫌な仕様だと思い俺はメダルを投入口へ入れて回し口を回す。
出てきたのは『トイカメラ』だった。

「・・・何に使うんだ・・・?」

そうカメラをじっと見た・・・が、考えてみると東野さんが使えそうだな、と思ったのでポケットにしまった。

ふと時計を見るといい感じの時間になったので学ランを持って外へ出た。
歩きながら学ランを着てみる。一回やってみたかった。



「おいっす。おはよっす。」
「翼おはよー!!」
「二人共おはよう。」

二人共立ち直ったのかどうかは知らないが笑顔だった。

「私、思ったんだ。 例え死に追いやられても希望を失う事は絶対にしたくないって。 だからみんなが死んでもそれを乗り越えない。引っ張って残りのみんなを笑顔にしたい。 だから笑うんだよ。」
「僕もね・・・湖川と同じ意見なんだ。 笑って、絶望に討たれないようにってね。」

俺の疑問の問いに答えたようにそう言うと二人共ニコリと笑った。
俺も釣られて笑った。


「希望を失う事は絶対したくないー? 絶望に討たれないー?
ぶひゃひゃ!! 実に正義っぽいこと言ってますな!!」

ひょこっとモノクマは現れた後テーブルの上に乗っかってきた。

「こらっ行儀悪い!!」
「そこじゃないだろ!!? はぁ・・・実はビックニュースを・・・」
「どうせ新しい場所が増えました。だろ・・・?」

入り口から声がしたので振り向くと星鎖希君が腕組みをしてこちらに向かってきていた。

「・・・なんでボクの言ってる事がわかるのさ!!」
「・・・全て憶測、推測。モノクマの言う事は大抵ワンパターンだから・・・。」

そう冷静に、真顔で言うとモノクマはぐぐっとうなり、テーブルから降りた。

「ボクの言葉もう取るんじゃないよ!! 鋭すぎて本当に怖いよ!! 考えも読めないしお前本当に人!?」
「さぁね? 人の心理は興味深いから本を見ただけ・・・つまりはモノクマ、お前は人間なの・・・?」
「・・・どうだかね!! じゃあね!!」

プンスカと腹を立てながらモノクマはどこかへ去っていった。

「ちょいちょいちょい!? モノクマどうしたんだよ?なんか腹立ててどっか行ったけど・・・」

雪柳さんが食堂へ来ていた。

「星鎖希がマシンガントークで勝ったのよ。」
「・・・あれってマシンガントークって言うの・・・?」

雪柳さんに続いて紅杏さん、春風君と人がぞろぞろと出てきた。
が・・・一人だけ来ない人がいた。まぁアルフレッドは除外するが。

「・・・深海・・・来てないのね。」
「呼びには行ったけど・・・一人にしてくれって。 後で行くからとも言ってたけど・・・。」
「親友の死、さらには親友を殺してしまった久地先さんの死。 ・・・深海、意外に傷つきやすいのね。」

ふぅ、と湖川さんはため息をついた。

「・・・平気だよー・・・」

そう言ったのは食堂の入り口に立っている深海君だった。

「深海君・・・もう平気なのか?」
「うん、大丈夫−・・・。 一人で整理してきたよー・・・」

そうのんびりとした笑いを見るといつもの深海君に戻ったと思い安心できた。

「そうだ・・・みんなに迷惑掛けちゃったでしょー・・・? だからお茶入れてあげる−・・・。」

そう駆け足でキッチンへ向かったが・・・

「誰か背が高い人−・・・!! 届かない−・・・!!」
「待ってて今行くから・・・。」

春風君がそう言うとキッチンへと向かい、その後深海君と共に戻って来た。
深海君は慣れた手つきで緑茶を入れていき、あっという間にみんなの分を淹れていった。
もらった緑茶を飲んでみるとすごくおいしかった。

「・・・すごい・・・こんなにおいしいの初めてだよ・・・。」
「でしょー・・・? 僕の地元で詰んできたスキル−・・・。」
「緑茶が有名なんだね。」
「うんー・・・だから僕緑茶好きー・・・。」

ニコッと笑った深海君。 どうやら乗り越えてくれたらしい。

「そういやさ、また新しいとこ増えたらしいんだよ。 どうする?チーム分け。」
「いつも通り3人でいいよ・・・。」
「ボク一足先に見たけどそこまで広くない・・・。」
「見てたのかよ!!?」
「だからもう固まっていこう・・・。」
「そうね・・・もう固まっていきましょう。」

そしてみんな騒ぎながら、笑いながら朝食をとると次の空いているフロアへと向かって行った。

chapter3 絶望ってなんて読めますか? ( No.51 )
日時: 2014/02/16 19:34
名前: アルズ (ID: K7X2qH8y)

「確かに他の所から見ると狭い・・・」

俺は周りを見渡しながらそう言った。

「柵は私から見てもちゃんと見えるし・・・。」
「ねぇ、あっこにテントがあるぞー?」
「いってみよー・・・」

深海君と共に俺達はテントへと向かって行った。


「流し台、割られた薪、かまど・・・間違いない、ここカレーとか作る場所だよ。」
「鍋とかもある・・・。」
「ここでカレー作っちゃう? ほら、食堂にじゃがいもとかあるだろ?」
「探索後でいいんじゃないかー?」
「そうですね、ではあっちのホールへいきません?」

紅杏さんがそう言うとみんなぞろぞろと近くにあるホールへとむかった。


「意外に広い・・・。」
「ステージあるぞステージー!!」
「朱利ちゃん!?」
「走っちゃ危ないですよ・・・・!!」

暁さんは何故かステージなどに興奮して走り回っている。
上を見た。 鉄骨やなんやらが複雑に組み込まれており訳がわからなくなった。

「ここで何かできそうね・・・。」
「カレー食べた後でやろうよ!!」
「風空・・・お前ただ単にやりたいこと優先したいだけだろ・・・。」
「ばれた?」
「外は・・・何がある?」
「忘れたの・・・? キャンプファイヤーの薪があるよ・・・。」
「夜やっちゃう?」
「やろーやろー!!」

みんな楽しそうにイベントなどの計画を話していた。

「じゃあまずはカレー作りから始めようよ!! えーと・・・男子達、食材よろしく!!」
「はいはいー!!」

そう言われたので俺達男子組はホールから出て食堂へ向かった。


「じゃがいもとー、たまねぎとー、にんじんー、あと・・・肉!!」
「定番だね・・・。 キノコでも入れておこうよ。」
「キノコカレーか。 でも好みとかあるしどうする?」
「チーズカレーにしようよ。 確か牛乳アレルギーいなかったでしょ?」
「・・・ボクは埃とかハウスダストだから平気・・・。」
「星鎖希君アレルギー持ちなんだね・・・。」

意外だ・・・そう思ってしまった・
そして各材料を持って俺達は戻った。


「おかえりー。 あっチーズカレーか?」
「うん、いいと思ってさ。」
「さて・・・男子、薪とか燃やしてくれる?」
「ボク無理・・・。」

まぁ・・・埃とか出そうだもんな・・・・。

「・・・・・・・ねぇ、女子・・・料理出来る人いる・・・?」
「・・・。」
「できま・・・せん。」
「お菓子しか作れません・・・。」
「アタシ食べる専門だしー・・・」

作る以前の致命的過ぎる問題があった。

「はぁ・・・カレーぐらい作れるでしょ・・・。」
「う・・・うっさいわね!! 切ることしかできないよ私!!」
「肝心の煮込む作業なくてどうする。」

星鎖希君はため息をつき、

「いいよ・・・ボクと水上が作る。」
「え・・・俺もかよ。 言っておくけど簡単なのしか作れないぞ?」
「湖川は材料切って・・・。」
「はいはい。」
「スルーかよ!?」

とりあえず残りの人は薪を燃やしたり切ったりして作業を進めた。
で、俺はタマネギをみじん切りにしていた。

「・・・コクでも出す気・・・?」
「えっ普通じゃないのか・・・?」
「・・・。」
「・・・。」

星鎖希君がすごいジト目で見てきたのでどうしようもなく、切る作業を再開した。
まぁなんやかんやあって完成したわけだが・・・

「・・・二人共・・・特に水上君、君女に生まれてくればよかったじゃん・・・。」
「どういう意味だ。」
「いやこれ完成度高いだろ!?」

と並べられているのは普通のチーズカレーだが・・・。

「ここまでトロトロなチーズ初めて見たよ−・・・。」
「こらっ行儀悪い!!」
「そうです・・・レモンシャーベット作って来たんですけどいかがですか?」
「いつの間に・・・・!!?」
「菓子作りとなると腕が鳴りますよ。で・・・雪柳さんに味見してもらったんですけど・・・」
「あっカレーじゃん!! やっほー私運いいー!!」
「白柳・・・?」

紅杏さんの後ろから現れたのは右目の色が違う雪柳さんだった。
ということは・・・

「白柳さん・・・あれ? 人格交代のスイッチってなに・・・?」
「んあー? お水君知らなかったの? 私はね、酸っぱい物食べたり飲んだり舐めたりすると変わるんだよ。」
「え・・・そうなの・・・?」
「そそー!! また変わるならシャーベット食べなきゃ無理!! キャハハッ!!」

一人で勝手に笑っている白柳さんを遠目に見ながら席に着く。
湖川さんのいつもの合図でみんなでカレーを食べる。

「・・・これお水君が作ったの? 星の鎖君と共に作ったにしては・・・女子力たっけぇ!!?」
「なんだよ女子力って・・・。」
「ボク一人暮らしだから料理はしてる・・・。」

なるほど。星鎖希君が料理出来るのはそういう事情があったのか・・・。

「まぁ、確かに水上が作ったような物だしね・・・。」
「私はただ単に切ってただけだしね。」
「食べやすい大きさに切れてていいぞー!」
「そう・・・? ありがとね。」
「で、突然ですが、ホールでのイベントどうするので?」
「あぁ・・・なんかやるって言ってたね。」

みんながカレーを食べながら考えていると・・・

「そう言えば・・・倉庫にゴスロリが2着ありましたね。」
「・・・ゴスロリ?」
「ええ。 肝心のサイズなんですけど・・・どちらも145〜155ぐらいなんですよ・・・。」
「・・・・!?」

星鎖希君が急に青ざめた。

「で・・・その条件に合うのが・・・星鎖希君、そして深海君なんですよ。」
「・・・いやいや・・・ボク絶対似合わない・・・。」
「いーや、そんな事ないと予想する!!」
「湖川・・・・!?」
「あんた女顔なんだもん。 着てみよう。」
「はぁ・・・!?」
「星鎖希−・・・一緒に着よう−・・・?」
「背中にチャック着いてるのでそれやるだけで十分です。」
「ちょ・・・・ちょ!?」
「とりあえずカレー食べよ!!」

みんなが賛成、といいながらカレーを食べている中、星鎖希君だけは冷や汗流しながら固まっていた。


chapter3 絶望ってなんて読めますか? ( No.52 )
日時: 2014/02/16 19:55
名前: アルズ (ID: K7X2qH8y)

「準備いいー!?」
「僕はおっけーだよー・・・」
「・・・死にたい。」

今現在、俺達はホール内にいる。
ステージのカーテンの影から二人の声が聞こえるのを聞くと、

「おっけーい!! 出てきていいよー!!」

その声と共に深海君が出てきたのだが・・・星鎖希君が拒んでいるため深海君が思いきり引っ張って強制的にステージへ引っ張った。

「・・・・違和感ない。」
「笑えも出来ない・・・」
「しゃっ・・・写真!! カメラはありますか!?」
「これ使うか・・・?」

と、差し出したのは今日モノモノマシーンから出した『トイカメラ』。

「水上君どもですよ!!」
「やめろ東野・・・!! 撮るな・・・!!」
「ハイチーズ!!」
「チーズじゃねぇ・・・!!」

パシャパシャと撮られる二人。
深海君は嫌がるどころかとても楽しんでいる。
星鎖希君は本気で嫌がっていて隙あらば帰ろうとしている。

「星鎖希ー!! 深海ー!! すっごい似合ってるよー!!」
「ありがとう風空−・・・!!」
「嬉しくない・・・!!」

反応もまったく逆だ。

「でもなんで倉庫にゴスロリがあったのでしょうか・・・?」
「気にしたら負けだよ千絵ちゃん。今は楽しもう。」
「え・・・!?」
「楽しむな!! 頼むから早く着替えさせてくれ・・・!!」

そんな必死に嫌がる姿は今、どころからどうみてもとても可愛い女の子だ。

「深海君ー!! ピースだよピース!!」
「イエーイ!!」

こうしてみると深海君もすごく可愛い女の子に見える。元々髪が長いため余計そう思えてくる。


そして数時間経った。
みんなホールから出ていて二人共既に着替えていた。

「楽しかった−・・・ね、星鎖希。」
「・・・・・・・。」

深海君はなんかスッキリしており星鎖希君は隅っこで体育座りをしていた。

「ふっふっふ・・・いい写真が撮れましたよー・・・。」
「頼むからボクには寄越すな・・・。見せるな・・・。」

暗黒の歴史入りが確定したようだ。

「えーと・・・マッチでいいかな。」
「あっそうか、この後キャンプファイヤーやるんだったよな。」
「うん。 マッチは偶然薪の傍に落ちてたし今からでもできるよ。」
「紙類はあのテントにもあったよね。 今から取ってくればいいかな?」
「そうね。 春風、頼める?」
「わかった。」

そういうと春風君は駆け足でテントへ向かって行った。

「ライターじゃなくてよかった・・・。」
「星鎖希君既に立ち直ってたんだね・・・あれ、ライターじゃなくてよかったっていうのは・・・?」
「・・・根性焼きというなのライターで炙られた。」
「・・・聞いた俺が間違っていたよ。」

やはり暗すぎる過去を送っていたらしい。

「おーい取ってきたよー!!」
「よし、じゃあ薪の間に入れてちょうだい。」
「了解。」

そしてキャンプファイヤー特有の大きな薪の間に紙を詰めてマッチで火を付ける。
すると火が付き、最初は弱かった火が最終的にはすごく大きな炎となっていた。

「・・・こうしてみると・・・桜雪さん思い出すね・・・。」

湖川さんはそう言って上を見上げた。

「火の粉ってさ・・・最後には全て燃え尽きる。 そういうのってなんか好きなんだ。」
「そうなのか?」
「うん。 ・・・ねぇ水上君。」
「なんだ・・・?」
「もしも・・・ここから出られたら・・・言いたい事があるの。」
「・・・へ?」
「言いたい事。 ・・・出られたら。 ね?」

そういってニコリと彼女は笑った。
いつもとは違う、優しい笑顔だった。

「ああ・・・いくらでも聞いてやるよ。」
「ふふっ・・・ありがとう。」

そして俺達は夜が深まるまで火を眺めたり踊ったりした。

火を消した後バンガローへ戻りベットに倒れ込んだ。
あんなに楽しんだのはいつ以来だろうか・・・。

キーンコーンカーンコーン....
『希望ヶ峰学園林間学校実行委員がお知らせします。オマエラ、夜10時なので、夜時間となります。 施設の食堂のドアがロックされますので、ご注意ください。 ではではいい夢を。おやすみなさい。』

・・・せっかく感傷に浸っていたのに空気の読まない奴だな・・・。
そう思いながらハンガーに学ランを掛けてベットにもう一度倒れ込んだ。

湖川さんの言葉を・・・早く聞きたいと願いながら。

俺は瞼を閉じた。