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Re: 【戦国BASARA3】影近黒子【武田軍】 ( No.12 )
日時: 2014/03/24 22:32
名前: 天良 (ID: 0O230GMv)

「うー、えらい目におーたわ……」

自分で作った料理を口にしたところ、酷いものだった。

昔、彼は親に料理を作ったところ、特に親には異常は無かったのだが、母親の友人に食べてもらったところ、お世辞にも美味しいと言う言葉は聞かなかったと言う。その後、病で床についているという知らせが入ったという思い出がある。

「俺、殺傷力が猿飛の旦那より上なんやな……」

ズキズキと痛む頭をおさえながら廊下を歩いていると襖を見つけた。

暖かそうな日がさしこみ昼寝には丁度良さそうだ。

「おおっ、ええ感じやな……」

思ったより広く、縁側には歴史を感じる赴きがある。

ただ気になるのは漆喰についた人形の傷と何回も直した跡があることだ。

「……幸村か……?」

後ろを振り向くとスキンヘッドに髭の回りに生えた髭が特徴的な男が寝ていた。

「違いますけど……誰です?」

才蔵の無礼極まりない言葉に男は少し微笑みを返してくれた。

「幸村の師……武田信玄だ……」

「武田……信玄?」

首を傾げると武田は微笑みを強くすると才蔵に言った。

「知らなくてもよい。……その方が助かる……」

武田は才蔵を手招きすると目を瞑った。

「……あ、あの……」

「ん?」

「……俺、霧隠才蔵言います!」

何を言っていいのか分からずに自分の名前だけを言い残し、その場を立ち去った。

その様子を、ただ、静かに笑いながら見つめる武田は一人呟いた。

「……百地殿……おぬしの弟子は、立派になったぞ……」

まるで、死んだ人に言うような物言いで、また眠った……



顔を真っ赤にしながらその場に立ちすくんだまま動けなかった。

ふぅと早鐘をうつ心臓を止めるように息を吐くと、いつの間にか暗くなっている事に気づく。

「……旦那、今日の飯、何食うやろ……」

明日、明後日、その次も猿飛は帰って来ない。実際、一週間とは言ったものの約五日間程で帰ってくると言伝てを預かっている。

まぁ、何でも、幸村の事が心配らしい。

猿飛らしいと言えばらしいのだが、それと同時に忍らしく無い。

「才蔵殿ォォ〜〜!??どこでござるかァ!!!」

ヤバッと小さく言うと裏口から出ていった。どうして逃げたのかは自分でも分からなかった。

「才蔵殿……?」

幸村の声が聞こえるが無視をして見る。

「お館様、才蔵殿を見掛けなかったでござるか…!?」

(え?お館様?)

襖を開けた先に居たのがお館様だろうか?

幸村がよく言っているのがお館様。あの方は武田信玄。

ぐるぐると頭の中で何かが回っている。

「やはり……目は覚めぬか……」

いつもは聞かない幸村の小さい声は才蔵の頭のなかをより一層ぐるぐる回らせた。

焦れったくなった才蔵は近くにあった一際高い木に飛び乗った。

身震いするほどの寒気が襲い何となく、嫌な予感がする。

「猿飛の旦那、大丈夫かな……」

曇天の空を見上げぼそりと言った。