二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 第四章 ( No.15 )
日時: 2014/04/16 14:36
名前: 天良 (ID: aQG7fWp7)

「分かっとる。」
「大丈夫でござる!」

留守番を任せた子供の様な幸村に、心配を覚えるのは自分だけだろうか。
それが彼の忍らしくない理由なのかもしれない。あれこれと五月蝿く言ったのだが、胸の奥底にはまだ不安と心配が残っている。

「それじゃ、行ってくるね!」

躑躅ヶ崎館から手を振る幸村と最後までふてぶてしい才蔵に笑みを返すと暗い影に深く消えていった。

少し走った所に見える一際高い木に登ると耳の横を冷たい風が通っていった。まるで、夏の終わりを知らせる様に。



甲賀の里から見える山を跨いで少し、賑やかな村が見える。昔、里に来るまで彼もこうして村で暮らしていた事を思い出した。うろ覚えで、とても思い出したくない過去だが。

そして、何故か胸騒ぎがした。

「兄ちゃん!団子安いで!!」
「今なら、家の娘も……」
「アホ!うちを売んな!」

才蔵の使う関西弁の一種・伊勢弁を使う者達は、誰もかもが皆陽気で明るい。話で聞いていた冷酷な忍のイメージとは全く違う。
ここは、才蔵の出身地伊賀の里だ。

「……?あ、いらっしゃい!」

木で出来た建物の中に入ると奥の方から酒の匂いがした。思わず鼻を抑えてしまい小さく呻き声を出した。

「すんません、百地という方を探してんスけど……」

鼻をつまみ、可笑しな声で問いかける。店主の男は奥の部屋を指差して小さな声で言う。

「百地さんなら、あっちで寝てますけど。」

案内された部屋の戸を開けると思った通り、酒の入った杯が見つかった。その横には赤い頬をし、才蔵によく似た癖毛の男が寝て、心地よさそうに鼾をかいている。

信じたくはないが、あの有名な伊賀忍の一人、百地丹波とは思いたくない。が、目の前に見える男が百地丹波と信じざる終えなかった。

「旦那!早く駄賃貰ってもええかな?!」

「……んがァ?駄賃?そんなもんいらんって……才蔵にあげて……」

「アホか!俺が貰わなアカンの!」

目を擦りながら大きなあくびをした百地の首には何かで斬られた跡が残っていた。これが、織田軍を追い返した力の証なのかも知れない。

興味深そうに百地を見つめる佐助に百地はにんまりと笑むと口を開いた。

「こんちは。才蔵の友達か?」

「ちっ、違います。……誰があんな野郎と……」

最後の言葉は聞こえないように呟くと百地の顔にまたまた笑みが浮かんだ。

「分かった!武田の信玄さん家の真田の幸村さんの忍隊の……頭やろ!?」

「そ、そうッスけど……」

「凄いなー!さっすが忍や!俺は才蔵に、海賊と傭兵しか見せたことなかったさかいに、きっと才蔵は新鮮に思っとるやろなー!」

酒が入っているせいか異様にテンションの高い百地に少し引いた猿飛であった。

Re: 【戦国BASARA3】影近黒子【武田軍】 ( No.16 )
日時: 2014/04/18 17:00
名前: 天良 (ID: YxUxicMi)

日が暮れていくにつれて曇天の空が濃くなっていく。

その後、猿飛は才蔵について色々な事を聞いた。

どうして、躑躅ヶ崎館の前に倒れていたのか、幸村の軍に居候させてもらっているのか、全て順番に百地に問いかける。

「……才蔵の……事か……うーん……」

気がのらないのか、項垂れたまま直らない。何処か淋しげな目で百地は話始めた。

「あれは……俺が若い時やったかな……」



斑に散らばる木漏れ日を眺めている、炎天直下の道上。無言で歩き続ける忍の群れの一番前に俺は立っていた。

織田軍との戦に勝利したのは良いものの、多くの犠牲者と血を流す者が居た。俺は、その者達にどの様に接して良いのか分からず、ただただ、思いの捌け口を探して俯くばかりだ。

この空気を変えようとしたものが一人。俺の中の一人だ。口を開いた。

「……ん?誰や……あれ?」

俺の声にざわつく群れから俺は離れてその影の元へ走った。影に近いその髪の毛に、黒子の様な存在感の無さ。

まだ幼子。だが、殺意を抱いている様な目に蹴落とされそうになる。

血に染まった小刀から滴る血をつまらなさそうに指で拭き取った影の脚は、酷く怪我をしていた。

「…………お前……は?なんて言う?」

咄嗟に口から溢れた言葉に後悔をする俺に、影は言葉を返した。

「才蔵。才蔵って名。」


簡単なのか、もしくは話すのが苦痛なのか……。
表情を読み取れないようにするために、話終わるまで笑顔の百地。

猿飛の心の内には一つ、思うことがあった。

自分と似ているのだ。

彼も村を捨てて、自分の師・白雲斎と地塗られた過去を忘れる為に修行に励んだ事がある。その記憶は消えないまま、師は消えた。時々、蘇るあの時の記憶は、今も思い出されていた。

「……ま、俺はアイツに真っ直ぐ生きてもらいたいねェ……」

遠い目をした百地は、不思議と猿飛の目には猿には見えなかった。

自分の事を言おうとした時、戸が壊され黒い煙が屋敷内に立ち込めた。

「百地様!村が……村がっ!」

血走った目の若者に黒い影が触れた。地面の下から生える黒い手は影の様に黒く、人の思いと恨み、嘆きが混じりあった暗さがある。

外から聞こえる村人の悲鳴の奥から微かに聞こえる、啜り泣く様な歌声は百地の身を一段と強ばらせた。

『開け根の国……根のやしろ……』

家康に会った日の時に聞いたあの歌声……

それは、織田軍残党にて織田信長の妹。お市の歌声だ。

「百地さん……」

「……頭さん……才蔵に伝えてや……」

こそこそと耳打ちをした百地の言葉は、猿飛の目を大きく開かせた。

一瞬、気が迷ったが、それが最期の言葉になるであろうと猿飛は闇に消えていった百地を見送った。

「……俺様はこんな事、性に合わないだけどね……はァ……」

暗く、薄気味悪い手で砕かれる百地の身を見ない様に猿飛の目は山の方へと向けた。

胸騒ぎの理由を知った今は、見なかったふりをすることによって消えるのでは無いかと思った。

そのまま……暗い闇夜を無言で走る猿飛は呟いた。

「才蔵は、幸せ者だね……」

Re: 【戦国BASARA3】影近黒子【武田軍】 ( No.17 )
日時: 2014/04/20 16:58
名前: 天良 (ID: XOD8NPcM)

猿飛が去る前にお市の元へと素早く走った。

「………………」

目を疑うような光景に体勢を崩して膝を地面につけた。なま暖かい液体が膝にジワジワと染みていく。

守れなかった。

燃えていく村を淡々と見つめる自分を情けないと思う。

「フフフ……」

微笑を浮かべる女を睨み付けて後ろに一歩下がり、少しだけ逃げた。自分の中の自分が騒ぎ初めて頭が割れそうになる。

殺せ、逃げろ、自害する、仲間になれ、消えろ、幾つもの考えを口々に言う自分の中はどれもがその場しのぎの意見。

「怖い顔をしないで……フフフ……」

女の周りから生える黒い手は自分の仲間を次々に潰していった。

「…………頼むで……猿飛佐助さん……」

黒い影は満足そうな笑みを横顔に浮かべ、黒い手に歩んでいく。

頭の中には一つの考え。

『ここで死ぬ。』

一粒の雫が宙を舞い、猿飛の背中を後押しした。


ーーーーーキリトリセンーーーーーーーーーー


はい。つー訳で一幕が終わりました。

『長かったなー。』

そだね……って、誰ッ!?

『アホか。うちを忘れたとは言わせやん。』

あー、ジャンプ貸した大串君だ。なに?今度は鯰飼い始めた……

『……お前、うちはあれや。お前の中の一人とネタ考えた友人の声や。』

………えーと……すて……ごま……様?

捨駒『そうや!アホか!殺すぞ!』

ゴメン。ゴメン。少々くらいええやろー。もー。捨駒ったらァ、短気なんだかるァ♪

捨駒『なにそれ、きもッ、なんもおもんないし。』

チッ……サーせんした。

捨駒『学校でおーたら殺す。……せやけど、お前、折角尺余ったんや。なんかゆーといたらどや?』

ヘイヘイ。


……えー、ここまで読んでくださった皆様、なんか最終話更新したみたいになっておりますが、この駄作。まだまだ続きます。すみません。

そして、黒子の事ですが。決して、バスケの方ではありません。

それから、
この上に載っている捨駒ですが、
毛利様の捨駒ではありません。

コメディ・ライトにて陰陽師兼忍者、略して隠忍の作者であります。

それでは、これからも末長く宜しくお願いいたします。


ヾ(´ー`)ノアバヨ……