二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 第壱話 ( No.2 )
- 日時: 2014/03/08 21:33
- 名前: 天良 (ID: tuakPBCn)
「佐助ェェ!!!!」
炎天下の下、汗だくの旦那が叫ぶ。
そんなに叫ばなくても、俺はここにいるってのに……
「どーした?何かあった?」
「うむっ!門の前に男が倒れいるのだか……」
確かに、男が倒れていた。
顔の半分に紙で覆っている。
もしかして、コイツ………
「佐助っ、この男、足を怪我しておるぞ……」
「そーだね……んじゃ、中に入れるか。」
「…………はっ!!!」
目の前に木目の天井が見える。
そして此方を見る紅、忍装束の男、
足が痛むのが今分かることだ。
「ここは……百地様は………つーか、俺は何を……」
聞こえないように呟いたが紅が顔を覗き込んできた。
「気が付いた様だな!」
まだ幼い顔をしている。
誰だ……コイツ。
「百地様ねェ……伊賀忍者か?」
忍装束の男が口を開いた。
どうやら百地様を知っている様子だ。
「その紙で覆った顔、伊賀流の訓練法だろ?」
「そうだが……何故、それを……?」
ふふんと男は笑った。
男は名を猿飛佐助、紅は真田幸村。
猿飛は武田信玄に支えている様だ。
俺達とは真逆の甲賀流で鍛え上げられた忍らしい。
「伊賀と甲賀、違いがあるのか?」
「あったり前だ!!」
俺の声に真田は少し驚いた様だ。
甲賀流は薬を使ったモノが得意らしい。
伊賀流は幼い頃からの訓練が必要だ。
それから、仲間であった者を即座に処断出来るような残酷な精神も要される。
「ここからが大事だ……」
甲賀忍者は一人の主君に忠実だが、
伊賀忍者は金銭による契約以上の関わりを雇い主とは持たない。
それから裏切りは認めない。
「って……所だな……」
- Re: 【戦国BASARA3】影近黒子【武田軍】 ( No.3 )
- 日時: 2014/03/09 23:15
- 名前: 天良 (ID: 7TMSmz7W)
「となると……今から行く所に近いな……」
「今から行くところ?」
「そうだ!佐助!この者を連れて行ってもよいか?!」
「うォォォォ!!!!」
青い空に二本の槍を向けて掲げる。
その興味深い行動を猿飛と才蔵は木の影から見守っている。
(面白い男だな……)
少し口元が緩むと猿飛が肩をつついてきた。
「なーに笑っちゃってんの?」
ニヤニヤ笑ってくる猿飛を睨む。
「御免ね、うちの大将が……足大丈夫?」
「まぁ、もう痛くは無いが……」
足を極端に曲げると痛むが走る事なら出来る。
「あっそ、まあ、これで見れるね。」
「何を?」
猿飛は才蔵の耳元で呟いた。
「アンタの腕前。」
「なっ、嘗めんなよ!伊賀忍者!!!……ぬわっ!!」
キレたせいで木から落ちてしまった。
その様子を楽しそうに見る猿飛に腹が立って仕方ない。
「ま、その様子なら大丈夫そうだね。」
「うっ、うっさい!」
「佐助ェェ!!!何かあったのか?!」
チャリチャリと六文銭の揺れる音がした。
「あっ、大将!コイツが木から落ちて……」
「それ以上言ったら、一生動けねェ体にしてやんぞ!」
血相を変えて怒る才蔵に幸村は微笑ましい光景だと思った。
- Re: 【戦国BASARA3】影近黒子【武田軍】 ( No.4 )
- 日時: 2014/03/10 23:19
- 名前: 天良 (ID: AxfLwmKD)
「おー怖い、」
「本当に今度言ったら……ボキボキに……」
歯軋りをする才蔵は地面に伏せた。
「………なんだ……軍か……?」
大軍が此方へ迫ってくるのを感じた。
馬に乗った軍であり時々声をあげている。
「間違い無い。大将!どうす……旦那!?」
二本の長い槍を構えていた。
まるで、向かってくる軍に対抗するかの様に。
「うおォォ!!!この真田源二郎!!全力でお相手いたす!!」
「ちょ!何やってんスか!」
才蔵が止めに入るが猿飛に止められた。
「お前……幸村の旦那の命が惜しくねーのか?!」
手裏剣を首に近付けるが猿飛の言葉が遮った。
「惜しいよ。」
「なっ、じゃ!じゃあ!なんで止めねーんだ!」
「旦那……大将も考えてるからだ。ま、ヤバくなったら止めに行ったらいい。」
それに……と猿飛は敵のいる方を指差す。
「見てなって。」
馬の大軍が幸村の前で止まった時だ。
黒い毛並みの馬に大きな黄色の三日月。
何よりも目立ったのが黒い眼帯と六本の刀。
「Ha!どうした?真田幸村ァ?」
「政宗様!こんな所で油を売っている訳には……」
(政宗……様?)
一応聞いたことのある名前であった。
どのような者かは一度見てみたいと思っていた。
(間違いねェ……コイツが……天下人様……)
心に持った野望を果たすべく、暫く政宗の行動を見ようと思った。
「政宗殿っ!?何故、この様な所へ……」
(いや、知らなかったの?!)
「俺も分からねェ!」
(こっちも?!)
- Re: 【戦国BASARA3】影近黒子【武田軍】 ( No.5 )
- 日時: 2014/03/18 16:49
- 名前: 天良 (ID: aVnYacR3)
睨み合ったまま動かない二人に痺れを切らして才蔵が声を発した。
「あー!ちょっとお二人様!」
猿飛が止めようとするが苦無を手に持っているため止める事が出来ない。
「誰だ……お前?」
政宗が六爪を向ける。
後ろの男も刀に手を当てる。
「後ろの人も油を売っている訳にはいかないって言ってるじゃないスか。」
ね?といたずらっぽく笑うと今度は幸村が槍を向けてくる。
「才蔵殿っ!これは某と政宗殿の事でござるっ!」
怒っている様に見える幸村に才蔵は返した。
「なァ、あんま調子こいてると、首無くなるで……ええの?」
短刀を背中から抜くと落ち着いた声が後ろから聞こえた。
「俺もそー思うね。」
大型手裏剣をくるくると回している猿飛が口を挟む。
「竜の右目の意見に賛成するよ。大将、行くよ。」
しぶしぶついていく幸村をよそに政宗は才蔵に言った。
「見かけねー顔だな……ま、名前くらい覚えといてやるぜ。」
少し頭にきたがこの人に知ってもらえばと思い、口に出した。
「俺の名は、霧隠才蔵。天下人様に支える事が出来るなら、何でもする。」
持っていた苦無を政宗に差し出すとニッと笑った。
「お前が天下を取ったら、その苦無を取りに行く。」
竜の右目と言われた男は刀を抜こうとした。
「面白ェ奴だな!小十郎、放っておけ。」
「はっ。……おい、今度会った時は礼儀位覚えておくんだな。」
政宗の大きな三日月に夕焼けの光が反射してとても眩しかった。
それ位眩しい男なんだと思い猿飛の後をついていく。