二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 第弐話 ( No.6 )
日時: 2014/03/21 09:40
名前: 天良 (ID: M0NJoEak)

「くっ……政宗殿っ!」

白い馬の上で暗い顔の幸村がいた。

それを覆い隠すかの様に当たりも次第に暗くなっていく。

「仕方ないでしょ、」

はぁと溜め息をつく猿飛の横で才蔵はあの時使わなかった手裏剣を見ていた。

普段ならば即座に首を掻っていたところだったが何故かやめてしまった。

「佐助さん、今からどこ行くんスか。」

「情けないねェ、雑賀衆だよ。戦国最高の傭兵だっけな?」

情けないと言われてやっぱり首を掻ろうかとするが一先ず手を止める。

「御館様もその技術を高く評価していたのでござる。」

「雑賀衆かァ!そりゃスゲー。」

百地様がよく言っていた。

『才蔵、お前は少々……つーか、アホだ。』

『そりゃ無いじゃないッスか!』

『だから、雑賀の子の様に立派な跡継ぎになるんだぞ。』

『跡継ぎにって……』

山奥で修行をしていたので世間体が分からなかった。

だが、乱世の様子、独眼竜、雑賀衆、ある程度の学問、大体の事は百地様に教わったものである。

時々四国の長曽我部と近所のサヤカが来ていろいろな事を教えてくれた。

(そもそも、雑賀の子って……誰だ?)

「しっかし、遠いな。俺ん家ってこんなに遠かったっけ……」

走ると近く感じるが歩いていくと遠いものである。

「アンタさァ……忍のクセに、本当、体力無いよね。」

「うるせェ!こー見えても俺、結構強いんだからな!お前なんかな、バッキバキのボッキボキにしてやる!」

「はいはい、それから、もう少し落ち着け。あれくらいで殺気立ってたら死ぬぞ。」

猿飛の言葉は最もだった。

「……分かっとるわ」

蒸せる夏の夜に才蔵の声がよく聞こえた。