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二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: ゆずはね 〜ポケモンオリジナルストーリー〜 ( No.108 )
- 日時: 2015/05/09 12:45
- 名前: シャルティン (ID: KIGJ0Knq)
「ーーわぁ! 綺麗だね!」
とある草原に、二人の少年と少女がいた。白の少年と、青の少女だった。
少女は、彼らの上に浮かぶ星空を前に感嘆の声をあげていた。
少年は少女のその様子を見て、微笑みながら少女の隣へ座る。
「でしょ。ここ、僕のお気に入りなんだ。君を連れてきたかった場所はここ」
少年は少女をとある場所に連れていきたい、と無理を言って連れていった。まあ、少女の方は二つ返事でいいよと即答したが。
「うん、すごい素敵! ありがと!」
少女は隣に座る少年に向けて本当に嬉しそうなヒマワリの笑顔を見せる。当然の如く、少年は顔を赤くしてそっぽを向いてしまった。
が、当の本人は気にすることもなく急に立ち上がり、夜空を見上げながら両手を広げ、話し出す。
まるで、彼女の独白のように。
「でも、本当に素敵。まるで、何かを祝ってるみたいに輝いてる。だけど……ひとつだけ、悲しそうな星がある。でも、でもね…………私、その星の気持ち、わかるような気がするんだ」
端から見れば何を言ってるんだと思うようなことも、少年は静かに聞いていた。なぜか、口をはさんではいけない気がしたからだ。
「だって、どこか私の思いに似てる。救いの声も、絶望の音も、蔑みの目も、喜びの顔も、嬉々な涙も、ーーーーーこの思いも」
言い終えたのだろうか。
少女は少年の方へと振り返る。少年から、その顔は見えなかった。
「ねえ、***」
少女は、少年の名を呼ぶ。
少女が少年にもう一言伝える瞬間、そこの草原に風が吹いた。
少女が言葉を紡ぐと同時に見えた少女の顔は、夜空の星で輝いていてーー。
「星が綺麗だね」
ーーどこか悲しそうな笑顔だった。
(貴方はきっと、私の思いを知らないから)
(あの星は、もしかしたらもう一人の私かもしれない)
(失われた夜の下に、どうか星の幸せを)
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