二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: ゆずはね 〜ポケモンオリジナルストーリー〜 ( No.3 )
- 日時: 2014/03/23 22:25
- 名前: シャルティン (ID: 7yVkKRde)
〜プロローグ② ルエ編〜
カン、カン。と金槌で叩く音が聞こえる。
今日も一人、暗い部屋の中で一つの灯りを頼りに作業していた。
昔から、ずっとこの部屋に籠もっていた。コルシア村の皆に顔を合わせることも少なかった。
たまに外に出ることはあった。その時は、絶対に村の皆が居ない時間帯。そして今日も、その時間に出た。
その日は散歩でもしようかと思った。それで、近くの森に入って、自然を楽しんでいた。
先客が居たことも知らずに。
少し歩いたら、一人の少女が居た。
ここに来る奴なんて滅多にいないのに。そう思った。
その少女は気づいてない様で、黙々とキノコを採っていた。
何してるんだ、そう思って話しかけた。
「…何してんだ?」
少女は、くるりとこちらを振り向いた。黄色の体に耳は葉っぱの様。そう、リーフィアの少女だった。
そいつは何を思ったのか、茶色の瞳でこっちを真っ直ぐに見つめ、問い返して来た。
「…君こそ、なんでここに居るの?普通、こんなところに来ないよ」
いや、お前だって来てるじゃねーか。思ったことを顔に出さずに口に出した。
「お前だっているだろ?」
その言葉に、少し怒ったような顔をしながら言った。
「私は夕飯の材料を採りに来てんの。君と一緒にしないで」
普通の奴ならカチン、と来る台詞だが、俺には、目の前の奴が、どうも自分以外のポケモンと関わりたくなくて避けてるように見えた。
今の俺と同じように。
だから、怒る代わりに、同情を覚えた。そして、疑問に思ったことを一つ、聞いてみることにした。
「…お前、あの荒れ地に住んでるのか?」
俺が来た方向からは一人もすれ違わなかった。だとして、この森の正反対に残ってる村は何一つない。昔に落とされた、爆弾の影響で。
そして、その村には一人生き残りが居たらしく、ずっと会ってみたいと思っていた。
そう、この森に来る方法は、俺たちの村を通って一本道の道に沿って行くか、正反対から来るかの二方向。俺がすれ違わなかったということは、正反対側から来た可能性が高い。
その予測は、どうだったのか。少女の答えを待った。そして、少女が口に出した言葉は。
「…あんた、ストーカーの類?」
ちげーよ!?何でそうなったんだよおい!!心の中でずっこけたじゃねーか!!
そっちの方面から来んのを見た、と言ったが、嘘だ。実はただの予測。
「へぇー…」
思いっきり疑い深い目で見られてる。そりゃ暫くそっち側いたらわかりますよねー!!
って、俺は一人で何やってんだ…。
「で?あそこに居ちゃ駄目なの?」
「別に、そういう訳じゃないが…」
「ならいいでしょ」
そう言って、あいつは去ろうとした。次の時、何でか俺は、少女に向かって叫んだ。
「ちょ!待てって!!話しはこれからだ!!」
いやいや何言ってんだ俺は。
「…早めに済ませてよ」
あ——。話なんて考えてねーよ!頭の中で必死に探した。それで思いついたことを話してみた。
「俺が住んでる村に来ないか?」
「…は?」
うん、当然の反応を返された。もう自分でも訳が分からないくらいだ。もうこうなったら言い訳でもいいから言っちまえー!!
「だ、だからっ!俺の住んでる村に来るかっつってんだ!!」
今考えると言い慣れてないこの台詞を連続して言うとかマジで恥ずっ。
「何でそんな唐突に」
「別にいいだろっ!!で、どうすんだ!来んのか来ねーのか!!」
「…別に、一人じゃ寂しかったし、行ってもいいけど」
「そ、そうか」
あー、マジでよかった。断られたらどうしようかと思ってた。てかこれ断られた時の事考えてなかったな俺。
…それに、俺には村の皆が居るが、村の跡地で一人とか、誰でも嫌に決まってんだろ…。親と昔居た、思い出の場所だとしても。
少なくとも、俺は辛い。
「んじゃ、ついてこい」
早速、村の皆に案内することにした。そろそろ夜か。
と、思ってたらいきなり背後から声がした。
「ちょ、ちょっと!!待ってよ!!」
「…何だ?」
早く帰んねーとあの一本道夜危ないんだが。
「私はリッカ!あんたは!?」
「…俺は、ルエ」
この日。コルシア村に、住人が一人増えた。