二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 東方刃暁録-sword morn record - ( No.112 )
日時: 2014/04/02 12:23
名前: 黄昏。 ◆nYYwYkb6HQ (ID: H4NN94uP)

第二十八章‐それでも許してほしいから。‐

ふと目が覚めた。

まだ視界はぼやけていて、頭を撫でている大きな手が辛うじて暁の存在を知らせていた。

フラン 「暁……?」

その大きな手はただただ暖かかった。

それ故にフランは思う。

フラン 「あのね、凄く怖い夢を見たんだ。暁が執事を辞めるって言ってね、それから暁の手と足を握り潰して、美鈴を……」

だが、そこまで言って気付いた。

鮮明に思い出せるその瞬間。

暁の手と足を握り潰して、美鈴に刃を通したこと。

今やったことのようにわかる。

夢であったならこんな鮮明に感触があるものだろうか?

目を背ければ映ったのは竹林。

夢の最後に入った場所は確か竹林だった。

つまりそれが示すところは

フラン「現実……」

喉が渇く。

その言葉を出すことを拒否するように。

思い出したくない、あの感触は本物で。

頭が割れそうだ。

いや、そうなってしまえば良いとさえ思えた。

フラン 「あ、あぁ…、あ——」

ふんわりと柔らかく頭を抱かれた。

爆発寸前だったフランはそれだけで止まった。

フラン 「あか…つき………」

震える喉がなんとか言葉を発した。

それはすがるようで、必死で許しを求めるようだった。

しかし、暁は語らない。

許しも叱咤も、怒りをぶつけることも慰めることもしない。

スッ、と抱き締めていた手を離し、席を立つと二三言葉を交わすような声がして、暁は戻ってくるとフランに背を向けしゃがんだ。

その意味を汲み取り、フランはそっと手を伸ばす。

暁に触れる寸前で戸惑い、手を震わせながらも首に手を回した。

それを背負って暁は歩きだす。