二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 東方刃暁録-sword morn record - ( No.113 )
日時: 2014/04/02 12:32
名前: 黄昏。 ◆nYYwYkb6HQ (ID: H4NN94uP)

眼下には生々しい戦闘の跡が残っている。

薙ぎ倒された木々が、抉られた地面が、その全てが苛烈さを語っていた。

暁「なぁ、フラン……」

そんな中で、暁は漸く沈黙を破った。

暁 「俺はどうすればよかったのだろう?」

フラン 「……」

暁 「どうすればよかったのか。どうすれば美鈴を傷つけずに済んだ? どうすればお前に刃を向けずに済んだ? どうすれば咲夜達を危ない目にあわせなかった? どうすれば……よかった……?」

それは、独白めいていて

「あ——」

フランは圧倒された。

一週間という短い期間ではあったが、それでも暁の人となりは感じ取っていた。

フランにとって、咲夜と比べても遜色ない執事であった。

間違えば正してくれる者だった。

確固たる意志を持ち、理念を掲げ、それを曲げぬ心の元に進む、偉大なる刀だった。

向けていた感情は、父親に向ける敬愛の情に似ていた。

そういう存在だった。

暁 「すまん、答えが欲しかったわけじゃないんだ。覚悟を持たないまま、居候に戻ることを選択した結果はもう出た」

そんな存在が、自分に問い掛けた。

フランには、なんと答えて良いのかがわからなかった。

でも、一つ言わなければいけないことがあった。

それは、暁が教えたことで大事なこと。

フラン 「ごめんなさい……」

それは小さな声だった。

それでも、その声は暁に届いた。

フラン 「暁を壊そうとしてごめんなさい。美鈴を傷つけてごめんなさい」

暁の背中に顔を埋めながらも、言葉を紡ぐ。

フラン 「でもね、暁のことも美鈴のことも大好きだよ? あんなことしちゃったけど、大好きなんだよ? ……嫌われちゃったかも、しれない、けど……大好き……だよ」

それを言葉にするだけで涙があふれそうになった。

必死で堪えて、なんとか言葉にすることができた。

暁 「……だ」

フラン 「え?」

ぼそりと言った暁の言葉はフランには届かなかった。

暁 「いや、なんでもない。

別段執事を辞めたからといっても、永遠の別れというわけではない。これからも紅魔館の居候だろうし、いつでも会えるだろう」

フラン 「ホント?」

フランは顔を上げ問う。

暁 「ああ。それに、フランが地下から上の階に遊びに来ても良い」

フラン 「うん!」

フランの涙はもう止まったようだった。

暁は柔らかな笑顔を浮かべていた。

暁 「よし、少し急ぐか。着いたら一緒に美鈴に謝るとしよう」

フラン 「うん!」

こうして、刀と吸血鬼はスピードを上げて紅魔館に向かっていった。




数十分後の紅魔館には、全快になった美鈴が、二人に謝られてあたふたした様子があった。

その後には、三人で笑い合うことができていた。

そんな刀と吸血鬼と門番の後日談。