二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 東方刃暁録-sword morn record - ( No.122 )
- 日時: 2014/04/03 08:59
- 名前: 黄昏。 ◆nYYwYkb6HQ (ID: H4NN94uP)
パチュリーから聞いた暁に関する情報は主に二つ。
一つは異変を起こすきっかけとなった戦いにおいて、実戦中にパチュリーが気付いた、人間体は再生能力を除きほぼ人間であるということ。
もう一つはそのことについて自然と浮かぶ疑問を解決するための仮説だ。
曰く、なぜただの人間が弾幕ごっこについてこれるのか。
元来、人間が異変を解決しやすくするための弾幕ごっこではあるが、普通の人間が戦うことを前提としたものではない。
霊夢たちのような特殊な人間が漸く弾幕という枠組みで渡り合えるのだ。
そこにはできるできないの問題ではない、基本スペックの問題が横たわっている。
霊力によってある程度肉体を強化することは可能である。
しかし、反応速度。
脳からの電気信号の時点で経験則ですら超えられぬ、人間の限界がそこにはあった。
その限界を超える術が、霊夢の予知能力じみた勘であり、魔理沙の火力とスピードであり、咲夜の時止めであり、早苗の奇跡であるわけだ。
そして、立てられた仮説が並列思考だった。
単純に一つで処理していたものを二つで処理すれば、速度は二倍になる。
そこで暁は意志の分割を行った。
刀と人間、この二つが戦いに関して自らの経験則を以て状況判断、情報収集、行動決定を同時にかつ高速に処理すること。
これが暁の弾幕についてこれる要因。
刀の方は如何なる法則を以て知覚、処理行動を行っているのかはわからないが、人間体は五感を使った情報収集が行われている。
そして、人間は情報の七割を視覚に頼る。
光波を狂わせてやれば、その事実は仇となる。
暁は刀に戻り、再構成を行えば幻覚を消すことも可能ではあっただろう。
しかし、あえてそれを行うことはなかった。
簡単には行かないか、と咲夜は心の中で思う。
幻覚を消せたとしても、刀だけの間に組み伏せてしまえばほぼ詰みであったからだ。
それを思ったと同時に咲夜のスペル。
————奇術「エターナルミーク」
向かって右側から飛び込んできたものを肩口から袈裟切りで両断、ナイフは霞となってかき消えた。
その隙を見て背後のナイフにヒールキックをたたき込む。
その勢いで今度は前に脚を振りぬき鳩尾に正確にえぐり込む。
いつの間にか得た左手の小刀を頭に差し入れる。
ココまで全てナイフ。
右側に確かな隙を突いた、幻葬「夜霧の幻影殺人鬼」を発動。
確かに当たると思われたそれは、
「!?」
脇腹から射出された刀によって相殺された。
刀から弾き出される確かなインパクト。
暁が地面を蹴る。
向かうのはたった今投げてきた咲夜。
慌てて竹に紛れるように逃げ出すが、そこはすでに射程内。
——憑符「鬼神千手観音」
巨大な武器が咲夜を襲った。
確信と共に巨大化した武器が小さなクレーターを作り出す。
暁 「む——」
そこから現れたのは咲夜ではなくナイフ、身代わりの証明だった。
——傷符「インスクライブレッドソウル」
——喪符「鬼神哀愁歌」
白い満月に似たものを見ながら、咲夜は何百本目かのナイフを投げた。
竹林に身をを隠して不意を打てたが、同じ手は喰わないだろう。
そもそも哀愁歌の中で再構成を行っているであろう暁にもう一度同じことをするのは不可能だ。
刹那、暁が、白い満月を突き破り飛び出してくる。
ナイフを牽制に撃つが、意に介ぜず一刀の基に両断。
スピードすら落とさず射程内まで踏み込む。
「(逆袈裟!)」
咲夜の身体能力は自らのイメージを最適に再現する。
まずは右足で逆袈裟に来ている暁の腕に着地。
それを足場として頭を刈り取るように左足を振り切る。
頭を下げてそれを避けた暁に対し、右足の力のみで上に飛びくるりと一回転。
その勢いを乗せて下げられた頭にカカト落とし。
それに一瞥もくれず、暁はバックステップで距離をとった。
前に流れた暁の髪が咲夜の足と接触し、その場で千切れていった。
——喪符「鬼神哀愁歌」
——幻符「殺人ドール」
咲夜は弾幕の光を盾に哀愁歌との距離を詰める。
一歩前進したところで両腕を上げ顔をガードした。
視界にしなりながら落ちてくる足を捉えたからだ。
恐らく半歩程の差。
距離が近ければ近いほど思考速度がものをいう。
足と腕が接触、ガードの上から咲夜は弾き飛ばされる。
暁が追撃をかける前にスペルカードを宣言した。
——幻術「マイナイフリカージョン」
一帯にナイフを展開し、追撃を拒否する。
暁も墜落したであろう場所に斬撃を飛ばすが、爆発を伴う射撃で相殺。
それを機に咲夜はリカージョンを解除した。
視覚を遮断した奇襲をかけたところで、手痛いカウンターを貰うことは見えていた。
今までやってきたことは逆である。
咲夜がわざと後手に回り後の後をとる戦い方をしていた。
カウンターを食らえば反応すらさせず両断されるだろうことを良く良く理解していた。
虚を突く限り暁についていけることは先のことで証明済み。
ならば全力で追いついていくのみだった。