二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 東方刃暁録-sword morn ( No.126 )
- 日時: 2014/04/04 18:55
- 名前: 黄昏。 ◆nYYwYkb6HQ (ID: H4NN94uP)
パチュリーがぽかっとグーで暁の頭を殴ったが、大した威力は無かったようだ。
フラン 「よいしょ…っと」
暁 「待て、フラン」
フラン 「ん? 何?」
暁 「その棒はなんだ」
フラン 「パチュリーのパンチじゃ威力足りなかったかなって」
パチュリー「俺ごとやれ! レミリア!!」
レミリア「うおぉぉォォォーーー! まかんこうさっ〇〇!」
暁「……」
「ヘブッ!?」
突然暁を羽交い締めし、ネタを始めたパチュリーにフランがレーヴァテインでツッコミを入れる。
頭から血がピューと飛び出しているのは気にしてはいけない。
フラン「こんなのだから運動が足りないとか言われるんだよ?お姉さまも乗らないでよ、シリアス雰囲気が台無し」
パチュリー 「あら、今乗らないでいつ乗るのよ」
初めに打ち壊したフランが言える台詞では確実にない。
そして主人公だったはずの二人は完全に置いてきぼりである。
それもレミリアたちなりの気の使い方だったりはするのだが。
レミリア 「まぁとにかく、これが私たちの回答よ。咲夜の答えが私たちの総意と思ってもらってかまわない」
あなたたちを含めてね、とレミリアは言った
レミリア「ただ私達に言わずに勝手にいなくなろうなんて、いい度胸ね」
暁「……そうだな。すまなかった」
と、言ってから暁の片手に刀が握られる。
しかし、それで身構える者は此処にはいない。
そのことに苦笑しながら、だがそれで更に決意を堅くし、地面へ刀を突き立てた。
暁「儀式のようなものだ。決意とは胸に秘めるもので、形などある物ではないが」
一呼吸分だけ間をとる。
暁「鬼切が誓う。紅魔館を我が主とす。我は剣で、我は盾。我が命脈尽き果てる迄あらゆる害意、敵意から守らん」
そして、膝を着き頭を垂れた。
レミリア 「全く、律儀ねえ」
咲夜「まぁそこが暁らしいっていうか……」
レミリア「好きなんでしょ?」
咲夜「お嬢様!?」
流石に咲夜もからかわれるのには耐性がなかった。
あらあら、と頬に手を添えて困ったふりをしているパチュリーもちゃっかりこれを楽しんでいる。
レミリア「さっ、何はともあれ解決ね。じゃあ」
「帰るわよ」
「帰りましょ」
「帰ろう」
「帰るよー」
「主殿のお心のままに」
「「「「……え?」」」」
四者が差し出した手を見ながらそのままの姿勢で暁は答えたのだった。
咲夜 「え、えー、えーと、……暁?」
この硬直から一番早く反応できたのは、咲夜だった。
ここから普段いかに暁に弄られているかうかがえる。悲しいことだが。
咲夜「あの、大丈夫? 熱とかない?」
暁「いえ、問題はありません」
しかし、全く混乱からは抜け出せていなかった。
咲夜「暁、ちょっとタイム。時間を頂戴」
暁「御意」
さっと声の聞こえない程度の位置まで下がったのを見て、四者は円になった。
レミリア「作戦会議よ。あれは何」
パチュリー「熱でちょっとおかしくなってるのかしら?」
咲夜「いえ、熱はありませんでした」
フラン「一回叩いてみたら治るかな?」
レミリア「ダメよ、フラン。それはさらに壊れるフラグだわ」
散々な言われようであるが、幸い暁は一切聞いていない。
咲夜「ねぇ暁」
暁「ここに」
「!?」
突然傍に出現した暁にさすがにビビる咲夜。
咲夜「と、突然現れないで!」
暁「御意に」
片膝を着き頭を垂れている暁から一旦目を離し、一度深呼吸。
それだけでは足りず、もう三回深呼吸した。
咲夜「ど、どうしたの?」
暁「どうした、とは何でしょうか?」
咲夜「だから、突然主殿とか……」
暁「主殿は主殿でございましょう」
間を置かず、表情も変えず伝えた。
暁「誓いました。我が命脈尽き果てるまで我は剣で、我は盾だと。我が命を預けたる主は主殿でございます」
咲夜「えーと、そのっ、そういうのは求めてないっていうか、」
暁「我が命、受け取るに足らぬと、我が命などスッポン、いや、畜生、いや、糞虫にも劣るとそう仰りたいのですね? いえ、存分に理解していますが、今一度……なにとぞご慈悲を」
咲夜「いやいやいや!? だからそういう事じゃなくて」
暁「ま、という冗談はここまでにしておくか」
そして、何事もなかったかのように懐手していつも通りに話す暁であった。
咲夜「え?」
疑問の声をもらした咲夜とは違い、この手の悪戯に一番早く反応したのはレミリアだった。
レミリア「フラン。やりなさい」
フラン「うん!」
力の限り、手加減など一切混じらずフランはレーヴァテインを振り下ろした。
当然のように暁は避けるが、次の瞬間には首にヒヤリとした感覚があり、動くことができなくなっていた。
咲夜「次にやったら……細切れにするわ……」
暁「ハンセイシテマス……」
あまりにもガチな咲夜に片言で謝罪する暁。
暁 「だが、あの誓いはそれだけのものだと理解してくれ。本来ならばこのような口調で話すことはありえん」
咲夜「とにかく暁はいつも通りに話すのよね?」
暁 「そうだな」
それを聞いて咲夜はふぅと息を吐いた。
あんな口調を毎日されれば身が保たない(いろんな意味で)。
暁「続けるのだろう? 家族ごっこを」
レミリア「そうね。飽きるまでいつまでも遊んであげるわ」
パチュリー「因みに私たちは飽きっぽくないから覚悟しなさい」
暁「ああ、覚悟しておこう」
そして五人は悪戯っぽく笑い合い、並んで紅魔館に帰っていった。
「「「おかえりなさい」」」
「「ただいま」」
いってらっしゃいのときには言えなかった返事を、今度はしっかりと返した。