二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 東方刃暁録-sword morn record - ( No.65 )
日時: 2014/04/01 15:05
名前: 黄昏。 ◆nYYwYkb6HQ (ID: H4NN94uP)

一度日は昇り、また落ちた。

次の太陽が見える時間までが期限だ。

暁「何の用だ」

暁は後ろを振り向かずに問う。

ピクリと反応し、早苗はゆっくり話しだす。

早苗 「もうやめてください」

暁 「何故だ」

早苗 「信者の方がそんなになるのを放っておけません」

御柱を斬り続けた刀は傷一つないが、人間体の手はその刀を握り続けた代償で、皮が剥がれ血が滲みだし握りを赤く染めだしている。

御柱を斬ろうとすることで劣化する刀の修復に霊力を傾けているため、人間体を修復するほどの霊力がないのだ。

暁 「この程度問題はない。これ以上の状況などいくらでもある」

早苗 「でも! 加奈子様はああいいましたが、私は異変を潰したりしませんから」

暁 「む、それはダメだ。斬れなければお前が異変を潰す、それが約束だ」

早苗 「それは」

暁 「俺が斬れば問題はなかろう?」

早苗 「無理ですよ。神奈子様の御柱です。スペルもなしで斬れるようなものじゃありません」

暁 「お前は無理だと思うのか」

早苗 「ええ」

断言した。

おまえには無理だと。

暁 「そうか。俺は長く人間の中で生活していた所為なのか」

無理だといわれれば余計にやりたくなる質なんだ。

そう暁は言った。

暁 「日本には『無理を通せば道理が引っ込む』という素晴らしい言葉がある。使いどころは違うが、見ておけ。次の一太刀でこれを斬ってみせよう」

実際、飲まず食わずでここまでやってきたために後何回振れるかもわからないが、そう多くは振れない。

イメージは頭の中にある。

一度破った永琳の天文密葬法。

あの時を再現する。

幸い御柱はあの時ほどやっかいなものではない。

再現できればスペルカードなしで斬れるはずだ。

長年の経験、あの時覗いた剣術の深遠の一端。

暁 「居合いの極意その三。あらゆるものを切り裂くものであるべし、だ」

暁は自らに宿る全てを以て、





——御柱を両断した





早苗「えっ……」

早苗は思わず声を洩らした。

刀が鞘に収められる音が辺りに響いた瞬間、御柱が真っ二つになり、左右に倒れたのだ。

暁 「約束だ。不干渉を実現してもらうぞ」

神奈子 「ああ、好きにやりな」

いつのまにか現れた神奈子が答えた。

暁 「よろしく頼む。それとお前」

早苗 「私ですか?」

暁 「ああ、早苗と呼んで良いか?」

早苗 「ええ、いいですが」

暁 「では、早苗。すまぬが、飯をくれ。流石に二日完全断食は堪えた」

と、同時に暁のお腹は盛大になった。

集中力が切れたからだろう。

三人は盛大に笑った。








暁 「世話になったな」

早苗 「いえ、お疲れさまでした」

唯一見送りに来た早苗と挨拶を交わす。

暁 「また、祈願に来たときはよろしく頼む」

早苗 「ええ、お待ちしています」

そう言って暁は次の目的地に向かって歩きだした。




早苗 「何であんなことしたんですか?神奈子様」

神奈子 「さぁね。単なるお節介さ」

曰く、信者は大事にするものだそうだ。