二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 東方刃暁録-sword morn record - ( No.84 )
日時: 2014/04/02 09:16
名前: 黄昏。 ◆nYYwYkb6HQ (ID: H4NN94uP)

気を失った魔理沙の襟首を掴むと永琳に向かって放り投げ、永琳はそれを衝撃を与えないように柔らかくキャッチした。

後は霊夢だけだ。

だが、代償も大きい。

本来国士無双の薬は鈴仙の為に作られており、暁の為には作られていない。

故に鈴仙が使ったときには本来ない副作用がある。

少なくともこの戦闘中の回復は不可能になった。

加えて、ファイナルマスタースパークを切り裂きはしたが、余波によってダメージは免れなかった。

着ている物は元より刀も切れ味は落ちないまでも、ダメージを受けている。

そんな中あともう一人、霊夢を倒さなければならない。

暁 「さて、後は一人だ」

しかし、表情にそんなことは出さない。

霊夢 「魔理沙を退けてくれるなんて、意外と紳士的なのね。見直したわ」

ゆっくりと霊夢が立ち上がる。

霊夢 「魔理沙はやられちゃったけど、暁を倒せば能力が無くなることはないわよね」

暁 「ああ、その通りだ。俺が負ければ術式は壊れ、霊力は持ち主の元に帰る」

霊夢 「それ聞いて安心したわ」

同時に踏み出す足。

先にスペルを使ったのは霊夢。

霊夢 「大結界『博麗弾幕結界』」

結界と結界の間に閉じ込められる暁。

外側の一枚に触れ、スペルを発動させる。

暁 「写本『三宝絵』」


触れていた手に吸い込まれるようにして結界が消え、暁は脱出を成功させた。

牽制として今吸った霊力塊を投げ付ける。

霊夢はふわりと舞いそれを避けた。



残機はほぼ同じで残り少ない。

同様にスペルカードの枚数もゼロに近づき始めている。

だが、互いに技のキレは衰えを見せず、むしろ鋭さを増していく。

暁はこの感覚を不思議に思っていた。

魔理沙には純粋に強いという思いを抱く。

だからこそ、打倒できるチャンスにきっちり決めた。

対して霊夢は底が見えないのだ。

どこまでも強くなっていきそうな感覚。

魔理沙のようなスピードも、パワーもない。

なのになぜか自分が押されている。

こんな感覚は感じたことが無かった。

故に、

暁 「それでこそ解決者だ」

そう思った。




——神技「八方鬼縛陣」



———咆符『鬼神破咆哮』

二度と同じ技では負けない。

防御されたのを見た霊夢は、バックステップで距離をとろうとする。

それを逃がすまいと暁は追った。

否、追ってしまった。

永琳 「暁!」

それが見えていた永琳が叫んだ声は、爆発音で暁には届かなかった。

常置陣、地雷である。

片足が吹き飛び、そこに七つの陰陽玉を携えた霊夢が襲い掛かる。

一発目は蹴り上げられた。

霊夢が携えた陰陽玉の一つ目に光が灯る。

二発目はぬさによる打撃。

霊夢が携えた陰陽玉の二つ目に光が灯った。

三発目にして暁は飛び蹴をくらいながらもスペルを発動させた。

暁「喪符『幻影将門』」

五人の分身が出るが、霊夢は本体を逃がさず、四発目を加える。

打ち下ろしをくらった暁は地面に叩きつけられ、そこから跳ね上がるようにしてなんとか体勢をとる。

お構いなしに霊夢は両手を腰の辺りから突き出し、五発目。

ここで、ようやく暁の防御が間に合う。

自分が飛ばした暁に追撃をかけるように追いすがり、刀の上から殴り付けるような六発目。

その勢いのまま回し蹴りを放ちついに七発目を打ち込んだ。

霊夢が携えた陰陽玉全てに光が灯り、周囲で高速回転を始める。

だが、暁は反撃のチャンスを得た。

すでに砲台は出してある。

後は放つだけ。

霊夢のスペルと暁のスペルは同時に発動した。




——「夢想天生」

——「輪廻炎獄」




暁が放ったスペルが、霊夢に向かい、リボンの端を切り裂いた。

しかし、そこまで。

それは先ほど失った一本の足の踏み込みがあれば勝てただろうか。

現実は足は存在せず、踏み込みは足りない。

暁は霊夢が放つ札の群れに飲み込まれた。