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Re: 東方刃暁録-sword morn record - ( No.97 )
日時: 2014/04/02 10:37
名前: 黄昏。 ◆nYYwYkb6HQ (ID: H4NN94uP)

紅魔館にあって一際大きな扉だ。

重厚な面持ち。

咲夜はそれを軽く開けた。

咲夜「フランお嬢様、新しい執事を連れてまいりました」

そう口を開いた。

ドアの先には広く、真っ白な壁に覆われた空間があり、家具は少なく、ベッドがあるだけである。

その中に一人ぽつんと小さな少女がいた。

ふと気付けば咲夜は消えていた。





フラン 「あなたは私の執事?」

暁 「はい。暁と申します。よろしくお願いします」

そう告げると、フランは満面の笑みで迎えてくれた。

フラン 「私、お姉様みたいに付き人が欲しかったんだ! 私のことはフラン、で良いよ」

暁 「では、フランお嬢様と」

暁もそれに笑みをもって応えた。

フラン 「それでね、咲夜みたいに紅茶入れて?」

暁 「咲夜さんほどおいしくないですよ?」

フラン 「いいの。私は暁に入れてほしいの」

暁 「かしこまりました」

フランは至極嬉しそうに話す。

お湯を取りに行けばニルギリの葉が置いてあった。

沸騰したお湯を手早くティーポットに注ぎ、二分ほどゆっくり待つ。

そうしてできた紅茶をミルクティーに仕上げた。

暁 「お待たせいたしました」

フラン 「ありがとう!」

フランが両手で暁からティーカップを受け取った時だった。





——ティーカップごと暁の右手が吹き飛んだ





フラン「あ……」

フランは怯えたような表情で後退りし、頭を抱えてしゃがみこんだ。

フラン 「やっぱりいらない。私、壊しちゃうから」

暁は表情を変えなかった。

右手が吹き飛んだ痛みはあるが、自分の右手なんていくらでも治せるのだ。

レミリアがフランのお世話係にした意味がわかった。

小さく呟いて呪を解放し、手首から先が無くなった右手を再生する。

そして、目線を合わせるためにフランの隣にしゃがみこむ。

暁 「フランお嬢様」

フラン 「……ぇ?」

恐る恐る顔を上げたフランが右手を見て、驚いた表情を見せた。

フラン 「大丈夫ですよ。私はそう簡単に死にませんから。でも、ちょっとだけ痛かったです。こういう時どうしたらいいかわかりますか?」

フラン 「ごめん……なさい……」

暁 「はい、よくできました」

戸惑いがちに謝ったフランの頭を暁の右手が撫でる。

暁 「悪いことをしてしまったら、謝る。一番大切なことです」

上目遣いで暁を見ていたフランは暁に飛び付いた。

暁はそれをしっかりと受けとめる。




こうして暁の執事生活は始まった。