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Re: 東方刃暁録-sword morn record - ( No.98 )
日時: 2014/04/02 10:42
名前: 黄昏。 ◆nYYwYkb6HQ (ID: H4NN94uP)

第二十四章−概ね優秀。そう概ねだ。‐

すでに暁が執事生活三日が経ち、フランもすっかり暁に慣れていた。

フラン 「禁忌『レーヴァテイン』〜♪」

風を切るように振るわれた紅い剣を暁はにこやかに眺めている。

美鈴 「ちょっ、フランお嬢様! それはっ、さすがにきついですよ! 暁さんも止めてくださいよ!」

それを受けているのは美鈴で、涙目になりながら必死に叫んでいる。

暁 「いえ、今はフランお嬢様の執事ですので」

と、笑って流す暁。

フランも本気で叩きのめそうとしているわけではなく、ただ美鈴にじゃれついてるだけなので、危なくない限りは見守ることにしていた。

美鈴 「うわ〜ん、暁さんの鬼! 鬼畜!」

フラン 「む〜美鈴、私の執事を悪くいっちゃダメだよ!」

美鈴 「ごめんなさいごめんなさい! 謝りますからもう許してください〜!」

より一層激しくなった弾幕に美鈴は悲鳴を上げた。










暁 「はい、お疲れ様です」

そう言って、紅茶を差し出す。

今はフランと疲れ切った美鈴が、テラスの片隅にある椅子に座っている。

暁 「美鈴さんもどうぞ」

美鈴の前に紅茶を差し出すが、

美鈴 「そんなんじゃ懐柔されませんよ」

と拗ねている。

先ほど助けてくれなかったのを根に持っているようだ。

暁 「そうですか。残念ですね。せっかく作ってきたシフォンケーキを用意していたんですが、フランお嬢様と二人で食べますか」

美鈴 「いただきます!」

美鈴は最早条件反射の領域で反応を見せた。

暁 「はい、どうぞ」

暁もそれがわかっていて、でも少し悪かった気もして美鈴のシフォンケーキはその分大きいのだ。

美鈴 「ん〜おいひ〜」

口いっぱいに頬張る美鈴。

先ほどのことなどなんのことやら、と言わんばかりの満面の笑みである。

フラン 「む〜なんかそっちのほうが大きくない?」

フランがじーっと二つのシフォンケーキを見比べて言う。

暁 「ダメですよ、フランお嬢様。昨日は御夕飯食べられなかったではないですか」

フラン 「昨日は昨日だよ! 今日は大丈夫」

暁 「昨日もそんなこと仰ってましたよ」

フラン 「う〜、私はこれが食べたいの!」

暁 「いけません。きちんとした食事をしなければ、体を壊してしまいますよ?」

お世話係も担っているので、そんな事態にさせる訳にはいかない暁だった。

フラン 「お姉様は咲夜にたくさん食べさせてもらってたよ」

暁 「私は咲夜さんではありませんので」

ちょっと怒ったように告げた暁。

フランはそのことに敏感に気付いて、謝ろうと口を開いた。

だが、それを白い光と轟音が遮った。


暁 「魔理沙ですね。美鈴さんはフランお嬢様をお願いします。フランお嬢様はここで待っていてください。おそらく危険はないと思いますので」

では、いってきます。と暁は走り去った。

今日は休日で出番がない美鈴は、美味しそうにケーキを頬張っている。

ここは図書館からも離れていて、侵入者が魔理沙ならほぼ危険はない。

フラン 「ねぇ美鈴」

美鈴 「はい? なんですか?」

フラン 「暁、怒ってた?」

美鈴 「ちょっと怒ったようではありましたね」

ごくんと一気に飲み下して美鈴が答えた。

美鈴 「暁さんは私たちと違って元々は我を持たない種族ですから、そういうことに強く反応してしまうのかも知れませんね」

フラン 「どうしよう……」

何事も時間が経ってしまうと難しいものだ。

特にフランはそれをよく知っていた。

美鈴 「贈り物をするというのはどうですか?」

フラン 「贈り物?」

美鈴 「はい。それをキッカケにすれば謝りやすいんじゃないですか?」

フラン 「何を贈れば良いのかな?」

美鈴 「それはフランお嬢様が暁さんを思って考えるものですよ」

微笑みながら言った美鈴。

こうしてフランの贈り物選びが始まった。