二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- chapter02 〜明日の登らない丘へ〜 ( No.175 )
- 日時: 2014/06/18 18:22
- 名前: ランスロット ◆/.5aaSlLPY (ID: 7jSpI1pD)
食堂に戻ってみると、既に俺達以外の全員が揃っていた。春白は…まぁ、いないよな。
三神と藍川の元気コンビがこちらに気付き、大きく手を振る。
「おかえりー!!今ゆうちゃんが軽食持ってきたところなんだよ、食べながら報告会しようよ!」
「そんなに呑気でいいのかよ…。食べてて重要な情報忘れてましたー、なんてことになったら俺怒るからな?」
「そんなことない!自分は頭は悪いが記憶力だけはいいのだmgmg」
「言ってるそばから食べるなよ!!」
「まぁまぁ、お腹が空いている証拠ですよ。サンドイッチなら厨房にまだまだありますし、おかわりが欲しくなったら遠慮なく言ってくださいね」
「わーい!!いっただっきまーす!!」
———この場の雰囲気を見ていると、本当に閉じ込められているのかさえ分からなくなってしまう。
そう。あいつがいなければ———『モノクマ』さえいなければ———こういう普通のひと時に、安心できたのに。改めて俺はあいつのことが嫌いになった。
ある程度軽食を食べ終わった頃、丁度いいと浅峰が喋り始めた。こうして———俺達の2回目の報告会が始まったのだった。
「2階も、閉じ込められる前とほぼ一緒だったね。僕達が新しくいけるようになった場所は、『プール』『図書室』『2階の各教室』『3階への階段』『大浴場』『倉庫』…のはずだよ」
「今は時間がなかったから、図書室の本は調べられなかったけど…。見た限りだと重要そうな情報はないっぽいな。奥の書庫は春白が陣取ってて入れなかった」
「またあいつ?!あいたん春白さんきらーい」
「なんか妙に喜んでいたよな。『自分のくつろぐ場所が見つかった』ってさ」
「春白さんのことは放っておこうよ。でも、陣取ってるってことは…そこに『何か重要な情報』が眠っているのかもしれませんね」
「あぁ!そう考えればそうかもな!」
———実は俺も気になっていた。春白がでんと目の前に立って先へ通してくれなかった図書室の奥の扉。彼女曰く『書庫』だというが、彼女にとってとても興味深い場所らしい。
…何か、彼女にとって興味深い情報…『学園にまつわる情報』が隠されているに違いないと、俺も思っていた。
「あと、図書室の棚の上に変な手紙が置いてありましたよね。瀬川さんが持って行っちゃいましたけど」
「何だと?!抜け駆けは許さんぞ瀬川ァァァァァァァァァァァ!!!!」
「だから大したこと書いてないってば…」
「ねぇ、そういうこと言うなら見せてくれたらいいのに。そうすれば私達も納得できるよ?」
「そうだそうだ!見せろ!!」
「…………。本当に大したこと書いてないんだってば。あんた達のSAN値削られて発狂状態になっても俺知らないよ?」
「えっ そんなにホラーな情報入ってるんですか?!私、怖いのは苦手です…」
「………レイ 幽霊見えるから……」
「そういうことじゃないと思うぞ、瑞哉ねーちゃん」
…なんか思いっきり別の話題を出されてはぐらかされてしまった。どうやら瀬川にとって、あの手紙は本当に知られたくない内容らしいな。だったら…今は彼のためにもこの話題は終わりにしたほうがいい。
俺がそう提案すると、みんな渋々了解してくれた。
「そういや、みんなは生徒手帳の校則の欄を見たか?俺達の会話の中で、一つ校則が追加されてしまったんだ…」
「何やってんのさ寺阪ー」
「追加されてしまったものは仕方ありませんよ。えっと…『他人への生徒手帳の貸与を禁止する』って校則でしたよね」
「なーにその変な校則ー!!俺達自分の手帳持ってるから他人のなんて貸し借りしないのにー」
「でも、そんな変な校則が追加されるなら、モノクマも何か『企んでる』って考えられるんじゃないかな?」
「そっか…気は抜けないってことだね…」
報告会は順調に進み、その場にいる全員が今いける場所について理解をしたところで…。ふと、三神がこんなことを呟く。
「ねぇ、3階へのシャッターも…。昨日みたいに殺人が起きて、犯人を見つけないと開かないのかな」
「モノクマが開けないのならそうなんじゃないの?あいつは僕達に『コロシアイをしてほしい』んですから」
「あたし…嫌だよ…。もうあんな裁判やるの…」
シャッターが降りた3階への道。三神はそれを見て、そんなことを思っていたらしい。
———今、俺達が2階を探索できているのも『3人の犠牲』があったからこそだ。…それを思い始めたら、なんだか心が痛くなってくる。…もし、もし殺人が起きてなかったら…。あいつらも一緒に2階を探索することが出来たのかな…。
いなくなってしまった3人のことを思う度に、よく分からない『黒くドロドロしたもの』が俺の全身を覆っていくような感じがした。
「…そんな弱気になってどうするんですか!私達は今、亡くなってしまった3人の分まで頑張らないと駄目なんですよ!」
「そりゃそうだけどさ、このまま過ごしていったってモノクマがまた何か仕掛けてくるに決まってるよ!」
「でも、それにいちいち怯えていても何も変わりませんよ。今の私たちに必要なのは…『心の強さ』、だと思うんです」
弱気になる三神に、早緑がそう言う。彼女は全員で出ることを諦めていなかった。少なくとも、俺にはそう見えていた。
「確かに、黄瀬さんの事件で3人を失ってしまいました。ですけど、その悲しみを乗り越えないと進んでいけないと私は思うんです。だから、頑張りましょうよ。モノクマに何を言われても、私たちは負けちゃダメなんです」
「でも、そんな急に言われたって!」
「一人が怖かったら仲間を頼ればいいんです。まだ一人じゃないでしょ?みんなで頑張れば、きっと突破口は見えてくるはずです!」
何が私をそう奮い立たせているのかは分かりませんけどね、と彼女は付け加える。
でも…今は彼女が何よりの心の支えだった。彼女のそのみんなを励ます姿が…『希望』そのものに見えたのだった。
———こうして、俺達の2回目の報告会は終わりを告げる。いつの間にか食堂に集まっていたメンバーは自由行動を取っており、食堂にいる人数も指で折れるほどに減っていた。
「…早緑さん、強いですね。私も見習えたらいいのに」
「そうだな。俺達も…頑張らないと」
「だから、まずは食事だ!月樹野、おやつをたのむ!!」
「まだ食べるのか?!」
……もぐもぐと残りのサンドイッチを食らう鷹取を見て、思わず突っ込んだ。
———そうだな、俺も頑張らないと。死んだ3人の分まで、生きて…ここを出るんだ。