二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- chapter02 〜明日の登らない丘へ〜 ( No.199 )
- 日時: 2014/06/23 17:59
- 名前: ランスロット ◆/.5aaSlLPY (ID: l6K9Eb8k)
『希望ヶ峰学園 学園長がお知らせします。オマエラ、おはようございます。朝です。朝ですよー!今日もはりきっていきましょー!』
モノクマが2つ目の動機を提示してから、一夜が明けた。この時点で誰も殺していなければ、残り…恐らく12時間後に校内放送でみんなの『恥ずかしい過去』や『知られたくない秘密』が発表されるんだったよな。
昨日の早緑の忠告や一部のメンバーの反応は気になるものの、まさかあんな動機で殺人が起きるとは思っていなかった。
時間に遅れるのも駄目なので、素早く支度を済ませ食堂へと向かう。
「おはようございます、片桐さん」
「おはよう。…流石に人数少ないか」
食堂には、昨日自分の手紙の内容を明かすことに賛成していた人と、月樹野、瀬川だけがいた。…浅峰がここに来ていないのは珍しいと思ったのだが。
…まぁ、当たり前だよな。あんなに青ざめて、震えていたんだもんな…。
「それにしても、どうしてモノクマはこんな変な動機を俺たちに与えたんだろう?こんなので殺人が起こるわけないって」
「でも、気を付けないと駄目ですよ。モノクマさんの言った通り、私達にとっては他愛のないことでも、その人にとって見れば『重大なこと』だったりするんですから」
「そうとはいうが、やはり自分は分からないぞ…。浅峰が今日来ていないのも、それが理由…なのかな」
「悩みがあるなら俺達に相談すればいいものを…。何のための仲間だ」
———嫌な予感、本当にならなければいいんだが…。俺はそんな不安を胸に抱えながら、月樹野の用意した朝食にありついていた。
無事朝食会も終わり、昼頃の話である。
俺は途中で偶然会った七花と鷹取と一緒に食堂で一緒に昼食を食べることにしていた。鷹取の話によると、今の時間帯なら月樹野が丁度よく食堂に現れるため、彼女の手料理が食べられるんだそうだ。…食への意識が半端ないな。
食堂に入ってみると、既にテーブルに座り月樹野お手製の昼食を食べている小鳥と、それを微笑みながら見ている月樹野がいた。丁度いい時間帯だったようだ。
「ははほいひーひゃんはっほー!!」
「よっ、小鳥」
「こら小鳥君。食べながら話すのは恰好が悪いですよ」
「ひーひゃんはひほふひひほへーひゃんほへひほはへひひはほはー?」
「…日本語で喋ってください」
「鷹取さんと一緒ってことは…。片桐君と七花君も昼食を食べに来たんですか?」
「そうだぞ!月樹野の料理を2人にも食べてほしくてな!」
「うん。鷹取さんがうるさくてね。でも、月樹野さんのご飯は美味しいから別にいいですよ」
「月樹野特製の昼食も美味しいって鷹取がいうから、一緒に食べようかなって思ってさ」
「わあ!こんなにもお客様が来てくれたの久しぶりです!私、腕を振るっちゃいますね!」
「無理すんなよー」
月樹野は俺達に昼食の希望を取り、るんるんと鼻歌を歌いながら厨房へと入っていった。…本当、あいつは自分の出来ることで人を喜ばせている。改めて『超高校級』の人間だと思う。
そんなことを思いながら長テーブルに座っていると、ふといつもは食堂に現れない人物がひょっこり現れる。
「あの…あれって、春白さんじゃ?」
「ほんほはー。はふひほへーひゃんひゃんは」
「はひひひひはほは?」
「鷹取、昼食前にせんべい食うなよ…」
———そう、食堂に現れたのは春白だったのだ。珍しいな、こんな時間にこんなところまで来るなんて。
思わず様子を見続けていると、彼女はこちらに気付いたのかあきれた声でこういう。
「ボクの顔を見ても何も出ないんだけど?」
「いや…お前がこっちに来るのって珍しくて、ついな」
「ふん。ボクだって人間だよ?お腹は減るし眠くもなる。今回は水を飲みに来ただけさ」
「そ、そうか…」
「はふひほほひっほひはへへはひひほひ…」
「フン。ボクはキミ達と馴れ合うつもりはない。愚民は愚民らしく群れてればいいよ」
「相変わらず感じが悪い人ですね」
そんな悪態をついて、あいつは厨房まで歩いて行ってしまった。
———数分後、水でのどを潤したのか、彼女は厨房を出てそのままスタスタ食堂を去って行ってしまった。
「本当に水を飲みに来ただけみたいだな…」
春白の行動をますます読めなくなった俺なのであった。
その数分後、昼食をもって月樹野が現れる。美味しそうな山菜うどんの香りが食堂に広がる。そうそう、これなんだよな、これこれ。
俺の大好物をこんな形で作ってくれた月樹野に感謝しながら、俺は山菜うどんをこれでもかというくらい豪快に平らげた。…うん、本当に美味かったよ。
そのことを彼女に伝えると、彼女は嬉しそうに「ありがとうございます」と笑みを浮かべた。
……本当に凄いやつなんだな。
- chapter02 〜明日の登らない丘へ〜 ( No.200 )
- 日時: 2014/06/23 20:03
- 名前: ランスロット ◆/.5aaSlLPY (ID: l6K9Eb8k)
———昼食を平らげて2時間後、喉が渇いたので水でも飲みに厨房にやって来ていた。
途中ですれ違った藍川に「昇クンでも喉が渇くんだね」とよく分からないことを呟かれてしまったのだが。というか俺は人間だぞ!?藍川は俺のことをどのように見ているんだ…。
あいつの観点に疑問を持ちながら、俺は再び食堂へとやって来た。
「誰も、いないよな…」
こんな時間帯だ。浅峰達脳筋トリオは恐らく運動をしている頃だし、みんなそれぞれ自由時間を過ごしているに違いない。
そう思って厨房へと足を踏み入れ…………………………
「あ、れ……?」
思わず俺は息を呑む。何故だ?何故こいつがいるのに体感温度がいつも通りなんだ?
…そうじゃない。なんでこいつが倒れているんだ……?思わず俺は『彼』の………首を………
「つめたい……!!しん、でる……?!何でだよ、なんでお前が……!!」
首が冷たかった。『暑苦しさ』だけが取り柄だと自分でも言っていたはずだ。でも…どうして?
俺は思わず後ずさりをする。俺が視界に捉えていたのは——————
口から血を吐き、苦しそうに顔を歪め、その熱い瞳を閉ざしている。
『超高校級の体育委員』浅峰小太郎の亡骸だった——————
「う、あ、あ、あ…………うああああああああああああああああああ!!!!!!!」
ありえないことが起こってしまった。よりにも、よりにもよってこいつが死んでいるなんて。
俺は無意識に叫んでいた。誰に届くかも知らないのに。あいつがこの声で起きるはずもないのに。
「片桐!!どうし……」
ふと、後ろから寺阪の声が聞こえる。そして……変わり果てた浅峰を見て……顔を青ざめた。
「片桐、これは…夢だよな?嘘だよな?嘘だよな?!嘘だと言ってくれ!!!」
「…嘘じゃ、ないよ…。本当に本当に本当に死んだんだよ、こいつは!!」
「浅峰が…浅峰が…しん、だ……?」
『死体が発見されました!死体が発見されました!一定時間の自由時間の後、学級裁判を行います!
もう一度、お伝えします!死体が発見されました!死体が発見されました!』
モノクマが流す2回目のアナウンスも耳に入っていなかった。
俺は、それ以上は何も言えずに、ただ—————二度と動かなくなった浅峰を見ていたのだった。
<死亡者>
「超高校級の体育委員」浅峰小太郎
厨房で発見。
口から血を吐き、顔には打撲痕が残っている。
<生き残りメンバー> 残り:14人
「超高校級の幸運」片桐昇
「超高校級の演奏家」藍川夢光
「超高校級の人形師」瀬川夏樹
「超高校級のご当地アイドル」三神愛
「超高校級のバックダンサー」小鳥日那
「超高校級のサバイバー」鷹取つばめ
「超高校級のパズルゲーマー」波希千奈
「超高校級の女将」月樹野ゆう
「超高校級のファッションデザイナー」春白鈴花
「超高校級の応援団」寺阪龍之介
「超高校級の霊媒師」瑞哉霊
「超高校級の花火師」七花火蛍
「超高校級の忍者」鼎野一郎太
「超高校級のショコラティエ」早緑詠
chapter02 〜明日の登らない丘へ〜 (非)日常編 END.