二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- chapter02 〜明日の登らない丘へ〜 非日常編 ( No.217 )
- 日時: 2014/06/26 21:59
- 名前: ランスロット ◆/.5aaSlLPY (ID: bSqE9h/E)
〜校舎側 1F 購買部〜
購買部へと入ってみると、何やら作業をしている波希、それからその彼に顔を見せないようにしながら一人もんもんと何かをしている鷹取がいた。
まずは、何か情報はないかと波希に話しかけてみる。
「波希。なにか分かったことはあったか?」
「んー?それは僕に聞く質問じゃないんじゃないかなー?」
「だ、だって…。今鷹取に聞ける状況じゃないだろ…」
「そうかな?彼女、前に言ってたんだよね。『自分は死と隣り合わせの生活をしてるから、死は全然怖くない』ってさ」
「それは野生動物だったからだろ?今回は事情が違う、あいつだって浅峰と仲良くしていたんだ。悲しくないほうがおかしいよ」
「……『悲しくないほうがおかしい』……。本当にそう言えるのかな。僕、分からないよ」
「……え?」
「ううん、何でもないよ。僕がここを調べて分かったことは、『何か不自然な空間があった』ってことくらいかな」
「あぁ、そこには毒が置いてあったんだよ…」
「ボクと片桐クンで素敵に愛の語らいをしましたからね!」
「だから前触れもなく急に現れるな!!そしてそんな話をした覚えはないぞ?!」
———不意に能天気な声が発されたので後ろを向いてみると、なにやら俺を向いて気持ち悪そうにくねくねしているモノクマが突っ立っていた。
「……ん?毒って、この空間に?」
「そうなんだよ〜。ちょっと目を離したすきに誰かが持って行っちゃったみたいでさ。まったく、ボク等の愛をどう思ってるんだろうね、プンプン!」
「だから愛を育んだ覚えはないぞ?!」
「そうそう、オマエラにちょっとヒントを与えに来たんだよ〜。あのね、今回毒を持って行ったのは『ボクと片桐クンの会話を聞いていた奴』に違いないよ。ボクちゃんと見てたもん」
「……じゃあ、それが誰なのか分かるのか?」
「もっちろん!だけどこれ以上教えちゃったら誰が犯人かわかっちゃうでしょ?だからヒントはここまで!後は頑張って捜査してちょうだいな!」
…そう言うと、モノクマは『友情も愛も素晴らしいよね!どっちも脆いからすぐに崩れ去る』と笑顔で言いながら購買部を去って行ってしまった。
とにかく、このことを記録しておかなくては。せめて犯人かそうでないかくらい教えてくれたっていいだろうに…。
『モノクマの証言』毒を持って行った人物は『片桐とモノクマの会話』を聞いていた人物で間違いないらしい。
———そんなことを思いながら、俺は意を決して鷹取に話しかけてみる。
彼女は………気丈に振る舞ってはいたが、涙の跡がくっきりと残っていた。そりゃそうだ、あんなに仲の良かった奴がいつの間にか死んでいたんだからな…。
「鷹取…。大丈夫か?」
「だ、だ、大丈夫だ。片桐に心配されるほど自分は弱くないぞ」
「だけど…涙の跡、くっきり残ってんぞ。そりゃ浅峰を失ったから悲しいのは分かるけど…。気丈に振る舞わなくたっていいんじゃないのか?」
「……自分、泣いていたのか?」
「お前、自分で気づいてないのか?!」
俺に言われて初めてそのことに気付いたようで、彼女は自分の顔を触った。そして…やっと気づいたのだった。
『自分が泣いていた』という重大なことに。
「……自分は、別に『死』というものが悲しいわけではない。ただ…浅峰は…自分とも仲良くしてくれたし、真摯に受け止めてくれた。そんな奴が…一瞬の隙で…死んでしまうなんて…」
「無理を承知でお願いしてもいいか?浅峰の昼の行動について聞きたいんだけど…」
鷹取、自分でも気付いてないところで浅峰の死にショックを受けているようだ…。
そんな彼女の傷を抉らないように、遠回しで浅峰の昼の行動について聞いてみる。これが分かれば、浅峰がどうして殺されてしまったかについてわかるはずだ。
「……浅峰は、事件が起こる直前まで……自分と寺阪と一緒にプールで泳いでいたのだ。途中で浅峰が『水を飲んでくる』と厨房に向かって…。
いくら時間が経っても戻ってこないので寺阪が厨房に向かったら…」
「『死体発見アナウンス』が流れたってことか。…本当に不慮の事故だったんだな…」
『鷹取の証言』浅峰は事件直前まで鷹取、寺阪と共にプールにいた。浅峰が『水を飲む』と言って厨房に向かった後、彼が戻ってこないのを心配し寺阪が厨房へ向かったところで『死体発見アナウンス』が流れた。
……聞けば聞くほど悔やまれる。どうしてこいつが運命の死に巻き込まれなくてはならなかったのか。そして、犯人はいったい誰を殺そうとしていたのか。
———学級裁判で明かさなくては。2人の無念を…晴らさなくては。そう思った、その時だった。
ピーンポーンパーンポーン…
『うぷぷぷぷ、楽しい楽しい捜査の時間はおっしまーい!早く学級裁判を始めたいから、とっとと赤い扉の前に集まること!
来ない子は、某ポッ○ン新作のあの悪魔みたいに黒い森に連れて行っちゃうからね!!かにぱんさいこー!!』
ぷつり。
「捜査終わりかぁ。片桐くん、何かわかったことはある?」
「あぁ。事件の流れは見えてきた気はするんだけど、肝心のクロについてはさっぱり」
「そこら辺は裁判で明かしていけばいいと思うよ。早く行こう、みんなを待たせちゃだめだ」
「……そうだな。自分がしっかりしないと」
「鷹取…」
そう言って彼女は歯を食いしばる。彼女のためにも…この裁判、ちゃんとした答えに導かなくてはならない。
波希にはあんなことを言ってしまったが、実は見えてきたのは事件の流れだけ。犯人がどんな方法で浅峰を殺してしまったのか、見当もつかなかった。
…そこは、裁判で明らかにしないとな。そう、これは……『明かさなくてはいけない』事件だから。
こうして、俺達は2度目の裁判を行いに、赤い扉へと足を運ぶのだった。