二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- chapter02 〜明日の登らない丘へ〜 非日常編 ( No.220 )
- 日時: 2014/06/27 20:51
- 名前: ランスロット ◆/.5aaSlLPY (ID: rwUXTcVH)
俺達が赤い扉の前についた時には、既に俺達を除く全員が揃っていた。
「遅いよ昇クーン!!」
「悪い、ちょっと話し込んでてな。また、この扉をくぐらなくてはならない時が来てしまうとはな…」
「…そんな落ち込んでいる場合じゃないよ。起きてしまったものは仕方ない、今は前を向いて事件解決に立ち向かわないと駄目だ」
「それは分かってるけど…この中の誰かが動かなかったら浅峰くんだって死ななかったわけじゃん?」
「だから、そんな言い合いが無駄だと言っているんだよ。キミ達は学習能力ないのかい?」
「そ、そんな言い方ないだろ?!」
「…行こう。言い合いなら向こうについてからでいいだろ」
相変わらずの春白に小鳥が突っかかるものの、なんとかなだめエレベーターへと乗る。
当然だが、最初に乗った時とは空間が違った。いなくなった人間の分、どこか———広く感じた。
みな、それぞれに覚悟を決めた表情でお互いを見ている。そう、この中に浅峰を殺してしまった奴がいる———
「……誰なんだよ……。誰だ、浅峰を殺したのは……!!」
「寺阪さん…。そのことを追及するのは向こうに言ってからでいいと思います。今は…その拳を引いてください」
「くそっ……!!」
寺阪の怒りと悲しみが混じった声が漏れる。俺だって…俺だってあんな場所に毒があるのに気付いてたら…浅峰が死ぬのを止められたはずだ。
なんで…なんでこうなっちまうんだよ……!!
悔やんでいるうちに、エレベーターが大きく揺れる。
着いたのだ。恐怖の、裁判場に。また、来てしまったのだ。
「やっほ〜!!オマエラ来るの遅すぎだってば!!ボク暇すぎてポッ○ンの新作やってたよ。なんだっけ?ニエンテとー、ルイナスとー、プロバロとー、カプサイシンのEXはイージー付けたかな?
凄いよね今回の仕様!!ロードの遅ささえ目を瞑ればいい作品だと思うよ!」
「君そんな腕前あったんだ…」
「へっへ〜ん、これでもボク49は3割埋めているんでね!」
「何の話だよ」
モノクマがわけのわからない言葉を発しドヤ顔をする。どんな腕前かは知らないが、こいつが得意だということでくだらないものなのだろう。
———個人的に思うが、それはここでいうセリフじゃないと思うんだ。
数人がモノクマのドヤ顔に突っ込んでいる間に周りを見回してみたが、前回来た時とは雰囲気がどことなく違った。裁判場のレイアウトが変わったのだろうか。
まるで体育館の中にでもいるかのような壁に、天井にはバスケットゴールが吊り下げられている。教壇の周りには跳び箱やマットなど『体育』で使う用具が大量に飾られていた。
———これも、あいつを『弔うための』装飾なのか?だとしたら胸糞が悪い。
18台の教壇のいくつかにも遺影が増えている。前回おしおきされてしまった黄瀬、校則違反で殺されてしまった夜長、そして今回殺されてしまった浅峰のものが、本人の教壇に立っていた。
……思わず俺はそれらを二度見する。あいつらは『確実に殺された』。そのことを実感させられた。
「えへへ〜、今回は高難易度クリアに特攻できそうだよ!ボクもっと頑張るから、クリアできたらほめてほめて〜!!」
「何に対してほめればいいのか分からないんだが」
「全くノリが悪いんだから〜。興ざめしちゃった。さっさと自分の教壇に立っちゃってよ〜」
あからさまな反応に気分を落としたのか、覇気のない声でモノクマがそう言った。それを皮切りに、俺達は自分の教壇に立つ。
……みんな、真剣な表情でお互いを見ている。
———この中に、浅峰を殺してしまったやつがいる。
何故殺したのか、誰が殺したのか、見当がつかない。しかし、ここで暴かなければ俺達の命はない。
『自分の言葉で回りを引かせ、孤独になっていた』と話していた浅峰。
———そんなあいつでも、仲間はいた。俺達の仲間だった。
そんなあいつが、何故殺された?後悔と無念だけが俺を支配する。
だが、そんな余興に浸っている暇はない。これは命懸けの裁判なのだ。
浅峰を殺してしまった犯人を見つけなくては———俺達が、死んでしまう。
だから、真実を導き出さなくては。
俺が———俺達が———嘘で塗り固められた『Idola』に立ち向かうんだ……!!
命がけの言及。
命がけの弁明。
命がけの騙し合い。
…今、命をかけた裁判が、再び。
始まる。