二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- chapter00 〜アリエナイ日常、ありえない新生活〜 ( No.23 )
- 日時: 2014/05/22 21:58
- 名前: ランスロット ◆/.5aaSlLPY (ID: 7MCr7M6.)
俺は小鳥と別れた後、深緑のパーカーを羽織っている少年の方に顔を向けた。
「僕は波希千奈っていうんだ。よろしくね」
波希千奈(ナミキ チナ)。
パズルゲームについての知識と実力で彼の右に出るものはいないという『超高校級のパズルゲーマー』。
各地様々な場所で開催される大会に出場すると、必ず優勝をもぎ取って帰ってくるという腕前らしい。パズルゲームは全部好きだが、特にトトリスとぴよぴよが好きらしい。意外に好みは王道なんだな。
「片桐くーん」
「な、なんだよ急に。パズルで対戦しようって言っても無理だぞ?ゲーム持ってないしな」
「…ちぇっ。せっかくパズルゲームで誰かと対戦しようと思ってたのに…。いいよ一人でやるもんブツブツ…」
「(勝負にならないんじゃないのかな…)」
波希は、俺がパズルゲームを持っていないと知るとふくれっ面をしてこそこそパズルゲームを始めてしまった。い、今の状況把握してるのかなこいつ…。
俺はパズルゲームを始めてしまった波希を呆れ顔で見つつ、アイドルのようなゴスロリ衣装を着た少女のほうに顔を向けた。
「どうもー!!『超高校級のご当地アイドル』あいたんこと、三神愛ですっ♪よろしくね〜!!」
三神愛(ミカミ アイ)。
地元のご当地アイドルで、地道なアイドル活動や抜群の歌唱力、世の男性(俗にいう「大きなお友達」ってやつだ)を虜にする容姿が人気になり、全国区で活動するまでになった『超高校級のご当地アイドル』だ。
彼女が出したCDは、その週のランキングで1位を総なめにするほどの売れ行きらしく、あの紅白歌合戦にも出たことがあるらしい。そういえば、去年の歌合戦にもいたなぁ…。
「…まぁ、学校のお友達だし猫かぶらなくてもいいかなー。あー、だるいかも」
「(テレビの前と目の前にいる性格が全然違うだと?!)」
「あー、多分「テレビで見てるのとなんか違う」って思ってるでしょー。あたし、お仕事とそれ以外でのオンオフを切り替えちゃんとしたいタイプなんだよねー」
「そ、そうなのか…。(なんか色んなものが崩れていった気がする…)」
目の前でだるそうに欠伸をするご当地アイドルは、最早テレビのそれではなかった。まさか…こっちが本来の性格なのかな?
まぁ悪い奴じゃなさそうだし、人当たりも良さそう(それも演技だったら流石に落胆するが)だし、これからも話しかけてみてもいいかもな。
俺は三神と軽い挨拶を済ませた後、ストレートの白い髪をなびかせた不気味な少女のほうに顔を向けた。
「……瑞哉 霊」
瑞哉霊(ミズヤ レイ)。
幼い頃から霊力が強く、その才能を生かし霊媒の修行を始めたところ、全国的に有名になってしまった逸話を持つ『超高校級の霊媒師』だ。
だけど、彼女自体は周りの大人が大嫌いで、ここにスカウトされるまでは誰との交流もしなかったらしい。俗にいう「ひきこもり」ってやつらしいが…。
「…なに」
「何って、お前ってすごく特徴的なんだなって思ってさ。遠目から見てもすごく目立ったよ」
「…褒めてるの、けなしてるの」
「けなしてなんかないさ、褒めてるんだよ。これから仲良くしような、瑞哉」
「…お兄以外の人は嫌い」
「?」
…『お兄』?まさか、瑞哉には兄がいるのか?もしかして、瑞哉が大人を嫌いになった理由って…兄絡みなのかもな。
ここには(色んな意味で)特徴的な生徒が沢山いるから、怖がらせないようにしないと。
俺は黙ってしまった瑞哉に一言言って別れ、金髪ショートデコ出しの少女の方に顔を向けた。
「私の名前は黄瀬遥であります!」
黄瀬遥(キセ ハルカ)。
10歳の時にトランプ系マジックの大会で最年少の優勝経験をしたことがきっかけで、世界的に有名になった『超高校級のマジシャン』だ。
今では自ら開いているマジックショーの会場の席が埋まるほどの人気なんだそうだ。佐藤と今度、マジック勝負させてみたいな…。
「片桐先輩、カレーは好きでありますか?」
「カレー?うん、好きだけど…」
「辛さは?辛さはどれがお好みでありますか?勿論甘口でありますよね?甘口でありますよね?!?!」
「え?あ、え?!」
開口一番カレーかよ。その後彼女に話を聞いたところ、どうやら甘口カレーが大好きで、3食カレーでも問題ないらしい。…甘口に限り、だが。
俺は中辛のほうが好きなんだが…言わないほうがいいよな。
黄瀬が甘口カレーをねだってくるのを俺は何とかかわし、紺のブレザー風の制服を身にまとった男子に顔を向けた。
「俺は瀬川夏樹。見てもわからないと思うが、これでも人形師なんだ。これからよろしく」
瀬川夏樹(セガワ ナツキ)。
人形造りとそれを操る能力に長けており、彼が行う人形劇は世界で絶賛されているという『超高校級の人形師』だったはずだ。
彼の人形劇は、まるでその劇の世界に吸い込まれているような、劇の世界の人物が生きているような感情に陥るとかなんとか。
「…顔が疲れてるみたいだな、大丈夫か?」
「あ、あぁ…。個性的すぎる面子過ぎてちょっと精神が持たないかもしれない…」
「確かに個性的すぎる面子だもんな…。でも、悪い奴はいなさそうだぞ?」
「それは分かるんだけど…。お前みたいなまともな奴がいて良かったよ」
「え?俺まともじゃないけど。てか世間に「まとも」な人間いるわけ?」
「…いないよな、はぁ…」
まともだと思った俺が大間違いだった。こいつもつかみどころがない奴だった。だけど…話してみたら冷静で仲間思いの奴だと感じた。
…また精神的に疲れたら瀬川に話しかけよう…。
これで全員と自己紹介がし終わったかな。
…あぁ、「個性」が手足生やして歩いているみたいな感じの奴らだったな。誰に話しかけても、それぞれの「オーラ」ってやつを感じる。
仲良くできたらいいけどな…。そう思って、俺は改めてため息をついた。