二次創作小説(映像)※倉庫ログ

chapter02 〜明日の登らない丘へ〜 おしおき ( No.242 )
日時: 2014/07/02 21:47
名前: ランスロット ◆/.5aaSlLPY (ID: aq6f.nuq)

『超高校級の女将』月樹野ゆう おしおき
〜老舗旅館『月桂樹』へようこそ!〜





———私が目を覚ますと、そこに広がっていたのは『見覚えのある』場所。
そう、ここは私のお店。老舗旅館『月桂樹』だということがすぐに分かりました。
私の大好きな場所。私の生まれ育った場所。私の思い出の場所。———私は、ここで死ぬのでしょうか。






『うおおおお、ここが噂の月桂樹か!!美人な女将さんもいるって話だし、俺楽しみだなぁ!!』
『まったく、女将さんに鼻の下伸ばしちゃだめだからね?』






そう思っていると、玄関からモノクマのお面を被ったお客様が4人ほど入ってきました。
私の思考とは裏腹に、私の身体は勝手に動き、モノクマお面のお客様を客間へと通していきます。これも『女将』として生まれ育った私の定めなのでしょうか。


女将なんかに生まれなければこんなことにはならなかった。「あれ」に裏切られることもなかったし、普通の女の子として過ごすことができた。
閉じ込められてから、ほかの女子生徒の皆さんを見るほどに…その気持ちが強まりました。なんでわたしだけ?なんで…わたしだけ?


私はモノクマお面のお客様を温泉のある客間に通し、最後の抗いとして逃げようと扉を閉めようとしました。
………しかし………それが間違いだったのです。






『オイオイ、どこ行くんだよ女将さん?俺達と一緒に遊ぼうぜ?』
「?!」






不意に持ち上がる身体。そう、私はモノクマ4人組のうちの一人に腕を掴まれていたんです。






「嫌です、離してください!!」
『何言ってんだよ。お前のたった一つの感情で人を殺したくせに、のうのうとおしおき逃れようなんて思っちゃいねえよな?
 結局はお前も母親と一緒なんだよ!!!あっはははははははははは!!!!』






その言葉を聞いた瞬間、私の思考が停止します。それを待っていたかのように男は私を温泉まで連れていき、私の身体を沈めます。











「………かはっ………!!」







鼻から、耳から、口から。穴という穴からお湯が入っていく。
苦しい。苦しい。助けて。助けて。
私は必死にもがきます。でも、男は私を離すことはなく…むしろ楽しんでいるかのように沈めていったのです。







くるしい。もう息が続かない。いっそのこと、この水を受け入れてしまおうか。





だけど、私の「生きたい」という思いがそれを許してはくれない。体内に残った酸素を必死に外へと出す。





青い塗料も目の前に現れる。私の髪が『赤く』なっていく。





もう———二度と———見たくなかったのに…………!!!





ふと、私の目の前に幻想が見えました。お父さんかな。旅館のみんなかしら。






意識が朦朧とする中、私が最期に見たのは——————






『ゆう』







——————あろうことか、あんなに憎んでいた『母親』だったのです。
















それを最期に、少女は底無しの水へと沈んでいったのだった———。











『あれぇ?なんだこれ?あの女将さんもどっかに行っちゃった。しかたねぇ、温泉入ろうぜーー!!』





つい先程まで少女を沈めていた男の手には………。
ロケットタイプのブローチが握られていた、という……。