二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- chapter02 〜明日の登らない丘へ〜 学級裁判編 ( No.249 )
- 日時: 2014/07/03 18:31
- 名前: ランスロット ◆/.5aaSlLPY (ID: HyoQZB6O)
「……ゆう……ちゃん……」
「くそっ…こんなの…!!」
月樹野が沈められた温泉を見ながら、俺達はただひたすらに嘆いていた。
春白を食堂で追い返していれば、月樹野に春白に会話はしたのかを聞いておけば、彼女も浅峰も死なずに済んだかもしれない。
しかしそれは全て後の祭りだ。後悔したってもう遅い。死んだ2人が戻ってくるはずはない。
「いやっほおおおおおおおおおい!!!!月樹野さん、ちゃんと絶望しながら死んでくれたかなぁ〜?
お母さんの写真、探し当てるの結構大変だったんだからね?運良くカラーのチラシが見つかったからいいものをさ〜…。まったく、ボクの苦労を称えてほしいものだね」
「称えるはずないでしょ?!だいたいあんたがこんなところに閉じ込めなけりゃみんな死ななかったんだから!!」
「うぷぷぷぷ、夜長さんと全く同じ展開になってきてますな〜。なになに、三神さんもボクのこと殴っちゃう〜??」
わざとらしく三神をおちょくるモノクマ。彼女は本当に殴りかねない勢いだったが、鷹取によって止められていた。
———大切な友人を亡くした彼女だ。もう仲間を失うところは見たくないのだろう…。
「やめろ、三神!!自分はもう死ぬ人間を見たくないぞ!!」
「でも!!!あいつのせいで浅峰くんが殺されて、月樹野さんがおしおきされて死んじゃったんだよ?!あいつが憎くないの?!」
「憎い…憎いに決まっているだろう。だけど…ここであいつを殴ったら、自分も殺されてしまう。怒りに任せて行動すれば、あいつの思いも果たせなくなる」
「あいつ……?」
「浅峰は、みんなでここから出ることを望んでいた。無論、俺達も同じ思いだ。だから…ここで死んでしまっては、あいつの思いを踏みにじることになるし、悲しみが増えるだけだ…」
浅峰、本当にみんなで出ようと努力していたんだな…。そんな心が、2人の心情を動かしていた。「絶対にみんなで出る」その思いを、確かに受け継いでいた。当たり前だ。もう死人なんて見たくない。絶対に…もう死人を出さずにここから出なくては。
———だけど、一人だけそれに納得していない人物がいた。
「……浅峰、そんな甘い考え持っていたんだね。だから毒にも気付かずに殺されたんだよ。単純すぎる熱血バカだからね」
「ひどいよ!!そんな言い方ないでしょ?!」
「分かってるの?これは『命懸けのゲーム』なんだ。裁判が終わった直後、もう嫌だ嫌だと思っている人間が、この中の誰かを殺すかもしれない。「友情」とか「絆」とかで、人は繋がれないよ。
だって…それは、凄く脆いんだもん」
春白はそう余裕を崩さず言う。一部のメンバーは「月樹野が死んだのは半分お前のせいだ」と反論しているが…。
確かに今回月樹野を死に追い詰めたのは春白だ。だけど…何か、彼女の裏で何かが渦巻いているような…。俺はそんな感触がした。
「———いいかい?仲間仲間と騒いでいるうちに、全滅なんてのもありえることを頭に入れておくことだね。殺人は人が複数いるだけで必ず起こるものなんだから」
「うぷぷぷぷ〜、春白さんは本当に良い優秀な子だね!ボク彼女をMVPにしちゃおうかな!」
「やかましいしうるさいんだけど。興醒めしたしボクは先に戻ってるよ」
「ふーんだ、MVPの商品あげないもんね〜!!『裸族のショーのチケット』あげないもんね〜!!」
「誰が貰うかそんなもの!!」
「………ふんっ」
モノクマのあからさまなジョークにも目もくれず、スタスタ一人でエレベーターに入ってその場から去ってしまった。モノクマも彼女に向かって所詮「あっかんべー」をし、イスから落ちていなくなってしまった。
それを皮切りに、裁判場に残っていた生き残りメンバーもエレベーターに向かって歩いていく。
———しばらくして、その場に残っていたのは俺と早緑、瀬川だけだった。
「…どうした、片桐。何か思い詰めた表情をしてるけど」
「春白……。もしかしたら『強がってるだけ』なのかもしれない。言葉ではあんなことを言っているけど、本当はあいつも『怖い』んじゃないかな」
———春白が持論を語っている間、彼女の腕が震えているような…そんな感じがしたんだ。
「ですが、彼女は実際に殺人を助長する行動をしています。いくら怖かったからとはいえ、それが演技の可能性もあります」
「人間ってのは面倒くさいねぇ」
「人形師であるお前がそれ言うのかよ…」
春白は何を思ってあの場所に毒を持って行ったのか。ただ…コロシアイに賛同していただけのようには思えない。
———そう思いながら、俺達もエレベーターに向かい歩いて行ったのだった。
入手アイテム
『ロケットタイプの簪ブローチ』
月樹野ゆうの遺品。
ロケットの中には集合写真が飾られている。月樹野の隣の顔がくり抜かれているが、それが母親なのだろう…。
※ここでchapter02終わりではありませんのでご了承ください。