二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- chapter00 〜アリエナイ日常、ありえない新生活〜 ( No.3 )
- 日時: 2014/05/17 17:32
- 名前: ランスロット ◆/.5aaSlLPY (ID: ooqUbj2l)
「おはよー!」
「ねぇねぇ宿題のノート貸してー」
「女装のターゲット・ロックオンなのだー!!」
「……嫌だよ……!!」
その平穏な一日は、都会のど真ん中の一等地にそびえ立っていた。
まるで———、そこが世界の中心でもあるかのように……。
『私立 希望ヶ峰学園』
そこは、あらゆる分野の超一流高校生を集め、育て上げることを目的とした、政府公認の超特権的な学園。
『この学園を卒業すれば、人生において成功したも同然』とまで言われている。
何百年という歴史を持ち、各界に有望な人材を送り続けている伝統の学園らしい。
国の将来を担う"将来"を育て上げることを目的とした、まさに、"希望の学園"と呼ぶにふさわしい場所。
この学園への入学資格は二つ——。
"現役の高校生であること"
"各分野において超一流であること"
新入生の募集などは行っておらず、学園にスカウトされた生徒のみが入学を許可される。
そんな常識外れな学園の教室の中に———俺はいた。
俺は授業でとったノートを片手に、いつも起こりうるであろう光景を眺める。
想像していたより、遥かに普通の高校生活だった。才能が凄い生徒の集まりだったからどんなに酷い学園生活かと腹をくくったりもしたものだが、実際に体験してみれば、ただの楽しい青春のひと時だった。
「こんな凄い場所でも、中に入ってみれば案外普通なもんなんだよなぁ…」
そう思いながら、俺は乱雑に書かれたノートを見る。
…相変わらず自分の字は下手くそだなと思わされる。いつものことなのだが。
そうだ、自己紹介をしなければならないな。まぁ、「自己紹介」って言っても何かをやり遂げたほどすごい人間でもないし、何を言えばいいのか迷うんだが。
俺の名前は片桐昇。1年前の丁度同じ日、この『凄い』学校の門を潜った高校生だ。…え?何の才能でスカウトされて入ったかって?
俺には人に自慢できるような才能は全くない。だから、元々であればこんな凄い高校に入ることさえままならなかったんだ。
…だが、そんな平凡な人間にもここに入る一つの『突破口』がある。それが、『超高校級の幸運』という肩書さ。
毎年世の一般生徒から抽選で選ばれた1人が、『超高校級の幸運』としてこの学園に入学できるシステムになっている。俺は、その幸運枠に選ばれてここに籍を置いているって訳。
運がいいかと言われたらいい方ではないと答えたい。だが、悪い災難は自分で思う限り全くと言っていいほど思い当らなかった。これ…幸運だって言えるのかな?
俺の自己紹介はこんなところだろうか。
「そんな顔して、何か思いつめてるの?片桐くん」
近くから呼ばれる俺の名前に顔を上げてみると、ラベンダー色のロングヘアーが目を引く美少女…『超高校級の知識』神谷春子が、俺の方を見ていた。
神谷は幼い頃から謎を解き明かすことが大好きで、その好奇心旺盛の賜物の結果、『超高校級の知識』と呼ばれるまでに彼女の中の知識は膨れ上がっているのだ。
こんな凄い奴と俺はクラスメイトなんだよな…。改めて、すごい学校だと思う。
「いんや、相変わらずすごい学園だなと思ってさ」
「そう?入ってみれば意外に普通の高校生活だったじゃない。私なんかの肩書でやっていけるかと最初は心配になったもの」
「神谷の肩書で『なんか』って使うんじゃないの」
「はいはい。…あら?ノート書ききれてないじゃないの」
…あれ、閉めたはずなんだけどな。神谷が俺のノートについて指摘をしてきた。
確かに今日の授業はなかなかついていけずに、ノートをとるのも中途半端で終わってしまった。
「貸しましょうか?ノート」
「でもそれじゃお前の復習が…」
「今日習った大事なポイントは全部覚えてるから大丈夫よ。今ノート持ってくるわね」
「お、おう…」
その記憶力、俺にも少し分けてくれないか。
彼女の素早い動きに翻弄されながらも、神谷の持ってきたノートを受け取ろうと手を伸ばした。
それが、間違いだった。
「あ、れ……?」
急に眩暈が起こり、目の前の風景が飴細工のようにとけてぐにゃりと歪む。それは、あっという間にどろどろに混じり合って……。
気が付いたときは真っ暗闇の世界で、俺は完全に意識を失ってしまっていた。
この時俺は気付くべきだったんだ。
これが、日常とかけ離れた『殺人ゲーム』の始まりだったということに…。