二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Chapter04 〜絶望に咲く一輪の花〜 (非)日常編 ( No.356 )
- 日時: 2014/08/27 18:23
- 名前: ランスロット ◆/.5aaSlLPY (ID: EJjJyNPn)
———4階に上がってきた俺は、その光景を見てどことなく気分が悪くなるのを覚えた。
辺り一面に見える壁という壁が七色に塗り分けられており、お世辞にも『目に優しい配色』であるはずの学校の風景とは思えない。これもモノクマが改造したんだろう。というかあいつ以外に改造する奴が思いつかない。
もう期待はしていなかったものの、目の前の現実を見て俺は呆れていた。
「……呆れてても仕方ないよな。とにかく、4階にある部屋を回ってみないと」
気持ちを引き締め、近い場所にある部屋から調べていくことにしよう。そう自分の中で決め、俺は廊下を歩いて行ったのだった。
紫色の廊下を歩いて行った先に『音楽室』と書かれた扉があったので、とりあえず入ってみることにしよう。
「あーっ、片桐くんじゃん!やっほー!」
「三神か。ここは『音楽室』って書いてあったけど…」
「うん。絶対音楽室だよー。だって造りがコンサートホールみたいだし、ステージの上に豪華なピアノがあるんだよー!これを『音楽室じゃないです』っていう馬鹿がいたら、あたし喧嘩しちゃうかもー」
「喧嘩はやめとけ、な…」
辺りを見回してみると、確かに三神の言う通り、部屋はコンサートホールのような造りになっている。そして、ステージの上には備品かと疑問符がつくくらい豪華なピアノが1台ぽつんとあった。
藍川やディムが生きていたら、このピアノで演奏してもらえたんだろうか…。
「あいたん、藍川さんやディムくんともっとお話ししたかったな。この音楽室に入ってからね、ずーっと思ってたの」
「そうだな。三神も、藍川もディムも、みんな音楽関係の才能を持ってるんだもんな」
「あたしは楽器あんまり得意じゃないから、2人の演奏に合わせて歌えたらどんなに素敵なんだろうなって。でも、そんな2人も、モノクマのせいで死んじゃって…。2人が死んじゃって、犯人がおしおきされて、あいたん訳わかんなくなっちゃって。ずっと…泣いてたんだ」
「三神…辛い思いをして、今まで生きてきたんだな…」
「ううん、あいたんに比べれば片桐くんのほうがずーっと辛い思いをしてるのは分かってる。だけど…やっぱりあいたん一人じゃ抱えられなくてさ。
誰かに、この話を聞いてほしかったんだ」
「三神…」
「あいたんがしっかりしなきゃ、藍川さんもディムくんも絶対怒るよね。だから…あたしも頑張る。だからさ、片桐くんも…無理しないで、一緒に頑張ろう?」
「そう…だな。どんなに『会いたい』って思っても、死んでしまった奴らには会えないんだ…。
だったら、死んだ奴らの分まで生きないとな。三神、頼りにしてる」
「うん!あいたんアイドルだから、意外に体力あるんだもん!バンバン頼っちゃってよね!」
音楽室を調べるつもりが、いつの間にか三神の悩みを聞く体制になってしまっていた。
しかし、ここには重要そうなものもなさそうだな。それに…三神がどんな思いでここまで過ごしてきたのか、少しだけ分かった。
三神も辛い思いを乗り越えて生きているんだ。俺も…頑張らなきゃな。
俺は三神と軽く挨拶を交わした後、音楽室を後にした。
———しばらく歩いていると、ふと豪華そうな扉の前で話し込んでいる早緑と波希を発見した。ここにいるってことは既に春白への連絡は終わったみたいだな。一体何を話しているんだろう?
気になった俺は、タイミングを見計らい2人に話しかける。
「早緑、波希。何を話しているんだ?」
「きゃああああああああああ?!」
「何をびっくりしてるんだ?!」
「急に話しかけないで下さいよ!びっくりするじゃないですか!」
「そ、それはごめん…」
「本当、お似合いカップルだよね」
「お前が言うのか?」
結果、早緑には大声を出され波希には茶化されてしまった。というかあいつも茶化すことあるんだな。
タイミング、ちゃんと図ったはずなんだけどなぁ…。これだけ大声で驚嘆されると、こっちも心なしか気分がへこむ気がした。
っと違う違う、本来の目的を忘れてどうする俺。気持ちをすぐに切り替え、本題へと移す。
「この扉の向こうには何があるんだ?」
「扉の前には『学園長室』って書いてあるんだけどねぇ。鍵がかかってて入れないんだよ」
「鍵?」
「そうなんです。いくら押しても引いても開かないので、鍵がかかってる線が強いのかと…。それだけモノクマさんが見せたくない、ということなのでしょうか?」
「ということは、この中に重要な情報がありそうだけどな…。壊して入れないもんかな」
ふと、そう呟いたその時だった。
「コラー!!ダメダメ、鍵のかかった扉を壊すのは校則違反でしょ?!」
「きゃあっ?!」「うわあっ?!」
目の前からニュっと現れたかと思うと、そいつはプンプン怒りながら校則についてつらつら述べ始めた。
———本当どこにでも現れるな…。
「全く、片桐クンがそんな聞き分けのない悪い子だとは思いませんでしたよ!これはピラミッ℃マンに再教育してもらう必要がありそうですね!」
「ぴ、ピラミッ℃マン?」
「え〜?知らないの〜?最近音ゲー界で有名なヒーローなんだよー?スター仮面もカッコイイけど、ボクはピラミッ℃マンのほうが好きなんだよね〜」
「…波希、こいつの言っていることが全然わからない」
「僕に回されても…。僕パズル専門だし…」
———その後も、モノクマにピラミッ℃マンのかっこよさについて一方的に語られた。当然俺にはいろはのいも分からなかった。
……あいつの正体、実はオタクなんじゃないのか?