二次創作小説(映像)※倉庫ログ

chapter00 〜アリエナイ日常、ありえない新生活〜 ( No.36 )
日時: 2014/05/26 18:43
名前: ランスロット ◆/.5aaSlLPY (ID: m37ThBn8)

「…おい。さっきから聞いてりゃふざけたことばかりぬかしやがって…」


不意に、モノクマの近くのクラスメイトを押しのけ、浅峰がモノクマの目の前にやってきた。彼の表情は…怒りに満ちていた。


「テメェふざけてんじゃねえぞ!?更生されたいか、あぁん?!」
「ふざける……?何のこと?もしかして、キミのそのツンツン頭のこと?」
「テメェこのやろおおおおおおおおおおお!!!!!!!」


今まで見たことのない怒りの表情で、浅峰はモノクマの首根っこを持ち上げた。
最初に話した時も十分暑苦しかったが、今は感情が高ぶっているからなのかはしらないが、体育館の温度が2、3度くらいは上がっていると思う。


「テメェ、ふざけてんじゃねえぞゴルァ!!ロボットでもぬいぐるみでも関係ねぇ。今ここでボコボコにしてやるよ、覚悟しやがれ!!!」
「うわわわわわっ!!学園長への暴力は校則違反だよ〜?!」
「今更知ったことかこの野郎!!ボコボコにされたくなかったら俺達をここから出せ!!!」
「…うぷぷ。あまり調子に乗るんじゃないよ」
「あぁ?」


ふと、モノクマが不気味にほほ笑んだ気がしたが、次の瞬間には動かなくなった。
動かなくなったことを不思議に思い、思わずぶんぶんとモノクマを振り回す浅峰。
…なんなんだ、この違和感。嫌な感触。異様なほどの危険信号。
———その危険信号は、モノクマからの「サイン」として音声で流れて来るのだった。





ピコーン、ピコーン、ピコーン




…モノクマからサイレンのようなものが流れ出す。サイレンは時を刻むごとにどんどんテンポが速まっていく。
———駄目だ、このままじゃ浅峰の身に危険が———!!

































「投げろ!!浅峰!!!」
「はぁ?!テメェ何を……!!」
「そいつ、爆発するぞ!!!死にたいのか!!!」




瀬川がありったけの声を荒げて叫ぶ。彼の気迫に負けたのか、浅峰は人のいない方へとモノクマを投げる。



———刹那。























ドッカアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!!







「ば、くはつ……?!」
「ちょっと…え…え…?!」


モノクマが、爆発した。
もし瀬川が叫んでいなかったら…浅峰はモノクマの爆発に巻き込まれて、無事では済まなかっただろう。
投げた当の本人も、相当動揺したのか顔が青ざめている。


「間に合ってよかった…」
「小太郎クン、大丈夫?!」
「あ、あぁ…」
「で、でも!あのぬいぐるみは爆発してしまいましたし、もう私達の前に現れることはないんじゃないですか?」


早緑がそう言った瞬間だった。
爆発したはずの「そいつ」は、まるで最初からそこにいたかのように立っていた。俺達が初めてそいつを「見た」場所と同じところに…。


「今回は校則をオマエラに知らせてなかったから警告で済ませてやるけど、次はこうはいかないからね?」
「ぎゃああああああ出たあああああああ」
「なっ、お前分身の術を使えるな?!」


…鼎野、突っ込むところそこじゃない。
恐らくモノクマはあの1体だけじゃない。壊しても壊しても何体も出てくるものなんだ、そう俺は判断した。


「あれ、なんだよ…!!」
「『学園長への暴力を禁ずる』。立派な校則違反だから体罰を与えようとしたまでさ。オマエラもちゃんとルールを守らないと駄目なんだからね?
 おしりペンペンくらいじゃ済まさないんだからね!!」


そう言うモノクマの表情は満足そうだった。
今まさに人を殺そうとしていた、こいつは。それなのに、こんな表情ができるなんて…。あいつは、モノクマは、狂っている。


「というわけで、オマエラにこれを渡しておきましょう。この学園の新しい生徒手帳です」


モノクマはどこかしらから18人分の生徒手帳を取り出す。そして、自分の近くにいた人達から順番に渡していった。


「カッコいいでしょ?電子化された生徒手帳、その名もなんと…『電子生徒手帳』です!!」
「ネーミングセンスなさすぎだな…」
「…変なあだ名の人には言われたくない」
「突っ込んで欲しくなかったんだけどなぁ。まぁいいや。電子生徒手帳は学園生活に欠かすことのできない必需品だから、絶対になくさないようにね!!それと、起動時に自分の本名が表示されるから、ちゃんと確認しておいてね。単なる手帳以外の使い道もあるんだから。ちなみに、その電子生徒手帳は完全防水で、水に沈めても壊れない優れもの!耐久性も抜群で、10トンくらいの重さなら平気だよ!詳しい“校則”も書いてあるんで、各自、じっくり読んでおくよーに!何度も言うけど、校則違反は許さないからね!ルールは人を縛りもするけど守りもするんだ。社会でも、法律がないと平和は成立しないでしょ?それと一緒!だから、違反者は厳しく罰する必要があるのです!ではでは、開会式はこれで終了となります!!豊かで陰鬱な異学年交流会をどうぞ楽しんでください!それじゃあ、まったね〜!」


…唖然とする俺達を残して、モノクマは教壇の後ろへと消えてしまった。
俺のいやな予感は、現実になってしまった。平和な学園生活は、一転危険はコロシアイに代わってしまったのだった。

chapter00 〜アリエナイ日常、ありえない新生活〜 ( No.37 )
日時: 2014/05/27 19:43
名前: ランスロット ◆/.5aaSlLPY (ID: DvB6/ADf)

…いつの間にか体育館の照明も暗くなっていて、公園には俺達18人が取り残されていた。
沈黙を破ったのは、あろうことか春白だった。


「単純バカのキミなんて、爆破して死んでしまえばよかったのに」
「ちょっと春白!!言い方ってもんがあるでしょ?!」
「何?ちょっと煽られたからって自分から命を差し出すバカの援護するの?」
「……それは、俺が悪かったよ」
「でも、勇敢に立ち向かっていった浅峰君のほうが、傍観していた春白さんよりよっぽどかっこいいと思ったけどなー」
「勝手にそう思ってるといいよ、愚民は愚民同士なれ合ってれば、さ」


浅峰に対し、皮肉交じりの嫌味を言い放った春白。しかし、夜長と波希に言い返されてしまった。
彼女は負け惜しみ(…なのか?)を発しそっぽを向いて黙り込んだ。


「…私達、今どういう状況に陥っているのでしょう…」
「さ、さぁ?展開が急すぎて全然わからないよ!!」
「殺し合い?一生暮らす?どっちも嫌だ!私は密林に帰るんだ!!」
「もう、嫌だよ!!ここから出せよーー!!」
「みんな、落ち着いてよ!!」


各々が不安を口にする中で、瑞哉がこう呟いた。


「…落ち着いたほうがいい。…慌てたり、焦ったりすればあの白黒の思う壺」
「瑞哉、どういうことだ?」
「…レイ、別にあの熱血は好きでもなんでもない。だけど…このままおびえて立って、何もできない」
「た、確かに瑞哉の言うことは一理あるかもな…」
「…白黒の話をまとめたほうがいいと思う」
「そうだね…」


俺達は円になって、モノクマに言われたことをまとめ始めた。


「モノクマが俺達に突き付けた選択肢は二つだったな」
「この場所で『無期限の共同生活』を送るのと、ここから出るために『仲間の誰かを殺す』こと、でありますよね?」
「私、誰かを殺すなんて絶対に嫌です…!!」
「そうだよ。いきなり知らないところに飛ばされて、そこで閉じ込められて、殺し合いしろって…悪夢以外の何物でもないだろ…」
「違うね。そんなだからキミ達は甘いんだよ」


春白は、全て悟ったかのように俺達に言い放つ。


「問題になるのはそこじゃない。そのモノクマの話を本気にして、殺人を犯す奴がこの中にいるかもしれない、ということだよ。表面上では仲間仲間と意識していても…心の中では信じていないのかもね?」


…言ってはいけないことを言ってしまった。誰も、何も言えなかった。
ただ、押し黙ったまま、互いの顔を見回していた。
視線が誰かのものと交差するたび、うっすらとした敵意を感じる。


俺は、モノクマが提示したルールの本当の恐ろしさを知ってしまった。




『誰かを殺した生徒だけがここを出られる』




その言葉は、俺達の心に根深く「恐ろしい考え」を植え付けていた。




『誰かが裏切るかもしれない』




という疑心暗鬼を。




こうして、俺の華々しい異学年交流会は始まった。
でも、「華々しい」なんてのは真っ赤な嘘だ。昨日まで平和だったこの学園は、もう『希望の学園』なんかじゃない。
………ここは、『絶望の学園』。
そして、俺達の『絶望の日々』が幕を開けたのであった。






<生き残りメンバー> 残り:18人

「超高校級の幸運」片桐昇
「超高校級の演奏家」藍川夢光
「超高校級の人形師」瀬川夏樹
「超高校級のご当地アイドル」三神愛
「超高校級のバックダンサー」小鳥日那
「超高校級のサバイバー」鷹取つばめ
「超高校級のパズルゲーマー」波希千奈
「超高校級の女将」月樹野ゆう
「超高校級の楽器奏者」ディルムッド・ローリンズ
「超高校級のファッションデザイナー」春白鈴花
「超高校級の応援団」寺阪龍之介
「超高校級の霊媒師」瑞哉霊
「超高校級の花火師」七花火蛍
「超高校級のマジシャン」黄瀬遥
「超高校級の忍者」鼎野一郎太
「超高校級のバトントワリング選手」夜長早美
「超高校級の体育委員」浅峰小太郎
「超高校級のショコラティエ」早緑詠




chapter00 〜アリエナイ日常、ありえない新生活〜 END.