二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Chapter04 〜絶望に咲く一輪の花〜 (非)日常編 ( No.366 )
- 日時: 2014/08/31 19:36
- 名前: ランスロット ◆/.5aaSlLPY (ID: udG14aXH)
半ば強引に春白と別れた俺は、気を取り直して残りの部屋の捜索に向かった。
といっても、特別教室のような場所はもうなさそうだな…。そう思いながら歩いていると、案の定『4-A』と書かれたラベルのある扉が見えてきた。
ガラガラと音を立てて扉を開けてみると、鷹取が野生の動物のように俊敏に動いていた。いやそれしか思いつかなかったんだ、彼女の表現方法。
俺は彼女の俊敏さに変な驚きを隠しつつも話しかける。
「鷹取ー?何をしてるんだー?」
「おお、片桐じゃないか!自分はな、今密林の奥に潜む謎を明かしているんだよ!」
「……見る限り何もなさそうなんだが」
「そんなことはないぞ?!ほら見ろ、自分にはわけのわからないものだ!」
そう言いながら彼女は俺にその『わけのわからないもの』を渡す。言っておくが、某シュレーディンガーとは関係ないからな。
渡されたものに目を通してみると…それは、小さなUSBメモリだった。形状的に新しいもののようだが、一体何なんだろう…。そう思って裏返してみる。
すると———そこには、そのUSBの持ち主であろう名前…。
『中森 奏太郎』の名前が書かれたシールが貼ってあった。
「中森…?そんな奴、閉じ込められたメンバーの中にはいなかったはずだけど」
「自分も考えたんだが、途中から頭がぽかーんとなってしまってな…。結局分からなかった」
「おう。でも、重要そうな情報が入ってそうだからな…。後でみんなにも見せてみるか」
話し合った結果、そのUSBメモリは俺が持っておくことになった。機械音痴の鷹取に預けておけばいつか壊しかねない、そう思っての行動だったが…やけに鷹取の反応が威勢良かったような気がする。
……その威勢の良さ、もう少し機械を学ぶ方向性に向けてくれないかなぁ。そう思いながら。
そろそろ時間が近いそうなので、鷹取と別れた俺は急いで残りの『4-B』の教室へと向かっていったのだった。
———教室自体は早く見つかったのだが、開けて驚愕した。瑞哉がぽつんと教室の真ん中に座っていたからだ。
ホラーを通り越して心霊現象になってそうな気がするんだが。というか何やってるんだ?
恐る恐る瑞哉に話しかけてみると、案の定睨まれた。当然だ、彼女ここでも『霊媒』を行っていたらしいのだから。
「……また、邪魔した」
「それは悪かったって!今度は何を霊媒しようとしてたんだ?」
「……ここのクラス、何か嫌な気配がしたから。生徒だけの反応じゃない、『先生』の反応もした」
「先生?」
「そう。その先生の気配は……なんでか『白メガネと一緒』の反応した」
「瀬川と?じゃあ、その先生は瀬川と何らかの関係が…?」
瑞哉曰く、ここの教室には『嫌な気配』が漂っており、その一つの気配が『先生』、そして瀬川と似た気配を感じるのだという。
彼女の霊媒力は優秀だ。だから、きっとその気配は瀬川と関連の深い人物だと思うが…。どうして『嫌な気配』なんだろう?
「……そこまではわからない。でも、白メガネは何か怪しい。何か隠してる」
「瑞哉?瀬川が何か隠してるって…」
「『誰にも知られたくない秘密』…。隠しているような気がする。レイが今感じ取れるのは、それだけ」
「はぁ…。もう、何が何だか分からないよ…」
あの写真の謎、化学室での瀬川の反応、鷹取から受け取った『中森』と書かれたUSB、そして瑞哉の霊媒。
重要そうな情報はたくさん手に入ったのだが、やはり俺には何一つ『関連付けることが』出来なかった。当たり前だ。考えなければならない以前に、『考えたくない』のだから。
「……アンテナ。戻らなくていいの?もう時間たくさん経ってるでしょ」
「え?あ、あぁ、もうそんな時間なのか。瑞哉も一緒にどうだ?」
「レイは遠慮する。あとでアンテナが情報をまとめて教えに来てくれればいいから」
「え、えぇ…」
「……ダメ?」
……瑞哉、ここだけ純粋な少女になってもダメだぞ。だけど…彼女の人嫌いが直ったわけでもなさそうだし、あとで話しに行くか。
了解の返事を出すと、どことなく彼女がほほ笑んだ気がしたのは…気のせいだったんだろうか?
———そう思いながら、俺は食堂へと戻っていったのだった。