二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Chapter04 〜絶望に咲く一輪の花〜 (非)日常編 ( No.377 )
日時: 2014/09/01 18:25
名前: ランスロット ◆/.5aaSlLPY (ID: IzBKD/r0)

食堂に戻ると、既に春白、瑞哉を除く全員が揃っていた。波希曰く春白は食堂に見向きもせずに自室へ戻ってしまったらしい。
人数も減ってきたのだから、一丸となるべき時なんだけどなぁ。まぁ、あいつの性格だから仕方ないのかな…。そう思いながら、俺はいつもの席に腰掛ける。


「お疲れ様です、片桐さん。疲れた時には甘いものが一番なんですよ?」
「……ん?妙に甘いにおいがすると思ったら、早緑がお菓子を作っていたのか?」
「そうなんだよねー!あいたんも戻ってきたら美味しそうなチョコのにおいがしてさ。椅子に座ったと同時に早緑さんがやって来て、お手製のショコラを分けてくれたんだよね!」
「へぇー」
「片桐さんは甘いのが苦手なの私知っているので、あなただけには特別バージョンです!甘さ控えめのビターショコラを作ってみました!」


そう言いながら彼女は俺の近くにお手製のビターショコラを差し出す。彼女曰く、人数が少なくなったからこそ『悲しみを感じてはいけない』のだという。
……ある意味、今の状態だとこういう小さな動きがみんなの平穏をもたらすんだよな。早緑はやはり凄い人間だと感じる。


みんなで早緑お手製のお菓子をつまみながら、俺達は4回目となる報告会を開始するのだった。


「4階も特に変わったところはなし。俺達が新たに行けるようになった場所は、『4階の各教室』『職員室』『音楽室』『化学室』『5階への階段』だったはずだな」
「鍵がかかっている場所もあったよねー。確か、『学園長室』と『情報処理室』だったはずだよ!」
「校則がなければ、自分がすぐにでも鍵を壊して中に入ったのだがな」
「姉御、学園長室はともかく情報処理室の鍵のつくりで『壊す』なんて選択肢を作るなよ…」
「入れない、ということは…その2つの特別教室に何か『重要な情報』が残っていそうですよね。私達を閉じ込めた犯人が私達に『知られたくない』情報が」


早緑の意見に異論はなかった。今回捜索した中で、いけなかった場所。きっとそこには『俺達や学園にまつわる重要な情報』が隠されていると、俺も思っていた。
……っと、そうだそうだ。あの写真についても言わなければな。


「みんな、聞いてほしいことがあるんだ。実は、職員室を調べていた時に、また『妙な写真』を見つけたんだよ」
「妙な…写真?」
「あぁ。前に話したものとは別の人物が写っていたんだ。その写真に写っていたのは、確か『藍川、七花、浅峰』の3人だった。みんな笑顔で写っていて、本当に『平和な学園生活』を感じるような写真だった」
「おお!それなら俺も見たぞ」
「え〜?でも、あいたん達ってあの閉じ込められた日がほぼ初対面だったはずだよね〜?」
「謎が謎を呼ぶなぁ…。うあー、やはり考えれば考えるほど分からなくなるぞー!!」
「……まぁ、今は報告だけだし次行ったほうがいいかもしれないな。このまま夜時間迎えるのだけは勘弁だし」


写真についての謎は深まるばかりだが、瀬川のいう通りこのまま議論を続けていても時間の無駄なだけだ。
俺は素早く次の話題に切り替える。USBのことは…後で脱衣所で見せることにしよう。


「あ、あと化学室。あそこの棚に毒が入ってたから、みんな注意してくれ」
「ど、毒?!」
「あぁ。化学室の中に薬が沢山置かれた棚があってな。その中は『A』『B』『C』に区切られているんだ。
 その中の『C』の中に入っている棚に毒薬が詰まっている」
「触らないほうがいいかもね」
「いえ、Cに限らずその薬品の棚は触らないほうがいいですよ!」
「いや、もしかしたら栄養剤や睡眠薬を使う人がいるかもしれないからな…。毒薬を間違えて飲まないように、まぁ気を付けてくれ」


俺が言えるのは…ここまで、かな。後は脱衣所でUSBの説明をするだけだ。
今回の報告会も順調に進み、その場にいる全員が今行ける場所について理解することが出来た。……うん、話すなら今がチャンスだな。
———みんながお開きモードを醸し出す中、勇気を出して俺は言葉を発する。


「あのさ。これからみんなで『お風呂にいかないか』?」
「お風呂?片桐くん、もしかしてやらし〜趣味あったの〜?うわっあいたんちょー引くんですけどー」
「…違いますよ三神さん。片桐さん、『あれ』に関する情報を手に入れたんですね?」
「あ、そういう意味ね!えっへへ〜、先に変な意味で理解しちゃったよ〜」
「三神の姉御、片桐の旦那は実は…」
「事態をややこしくするな!!!」
「とにかく、『風呂』に行けばいいんだよな?」
「あぁ。出来るだけ全員と情報を共有したいから、瑞哉と春白も連れてきてくれると助かる」
「じゃあ、私が連れてきますね」


……三神の誤解、そして鼎野の悪ノリをなんとか抑えた俺は、瑞哉と春白も呼んでくるように頼み、脱衣所へと出発したのだった。





———このUSB、何が入ってるんだろうな…。