二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Chapter04 〜絶望に咲く一輪の花〜 (非)日常編 ( No.397 )
- 日時: 2014/09/09 20:03
- 名前: ランスロット ◆/.5aaSlLPY (ID: k1qI710b)
『希望ヶ峰学園 学園長がお知らせします。オマエラ、おはようございます。朝です。朝ですよー!今日もはりきっていきましょー!』
———もう、朝なのか?最近時間が経つのがやけに早く感じる。何もないからなのか、それとも俺が行動しなさすぎるからなのか…。どちらにせよ、最悪の結末が来ていないのはまだいい気がする。殺人が起こる前に、なんとかしてあの2人を止めないとな…。
だけど、今日はいつもに限って気だるさが理解の先を行くような気がする。アナウンスは鳴ったけど、まだ寝ていたかった。
……………だが、それは突如起こった『悲劇』により終わりを告げる。
「片桐!!!起きろ!!!」
「大変なの、鼎野くんと春白さんが!!」
「寝かせてくれよ……。鼎野と春白がなんだって……?」
「鼎野くんが『死んじゃうかもしれない』の!!!とにかく食堂に行こうよ!!!」
「?!」
———鼎野が死ぬかもしれない?その言葉を聞いた瞬間、俺の眠気はどこかへと吹き飛んでいき、気だるさもどこかへ去って行ってしまった。
何が起きたのかと急いで支度を済ませ扉を開けると、表情を変えた寺坂と三神が立ち尽くしていた。
「鼎野が死ぬかもって…どういうこと?」
「いいからとにかく来い!!鷹取が止めてくれているが、放っておけば大事になり兼ねない!!」
「お、おう…」
血相を変えた2人の表情。そこから、鼎野の状態がまずいのではないかという推測を立てる。まさか、本当にもう死んでたりして———?!
あたふたする俺を尻目に、寺坂と三神は俺の首根っこを掴んで食堂へと連れていく。
そこには——————
「………っ………!!テメェっ………!!」
「煩いって言ってるのが分からないのかい?!ボクをこれ以上怒らせないでくれないかい?!」
「やめろ!!このままだと鼎野本当に死ぬぞ!!!」
「——————なんだ、これは……?!」
「片桐さん!!よかった、無事だったんですね!」
肩から血を流している鼎野と、血の付いた食事用ナイフを持っている春白が立っていた。鼎野の側には鷹取がおり、他の面々はそれを唖然として見ている。
瀬川と波希はどこかと聞くと、このことを瀬川に伝えに行っているらしい。
「今朝私が来たら、既にこんなことに……!!」
「いったい何があったんだ…?!」
「なんだなんだその眼は……!!ボクは何も悪いことはしていない!!!悪いのは全部お前じゃないか!!!殺人犯を庇って『瀬川に謝れ』だぁ……??ふざけたこと抜かしてんじゃないよ屑が!!!」
「だからって怪我させるな!!!このままだと死んでしまうぞ!!!」
「だったら死ねばいいじゃないか!!!ボクは悪くない、悪くないんだっ!!!」
「2人とも!!!やめ「駄目です、片桐さんまで怪我をしに行かないでください!!」」
仲裁に入ろうとするが、早緑に止められる。
鼎野の肩からは止めどなく血が流れおちている。鷹取の緊急処置のおかげか血は少しずつ止まっているようだが、それでも斬られた傷は深すぎた。と、とにかく早く保健室に連れて行かなくちゃ———。
動こうとするも、春白と鼎野の間に入るのは至難の業。2人とも互いを憎み、殺そうとする目に満ちていた。……そう、『殺害』する目だった。
「……瀬川に謝れよっ……!!お前はあいつのことぜんぜん分かってないじゃないか!!!上辺だけで物事を判断するな!!!」
「動くな、血がまたあふれてしまうぞ!!」
「2人ともやめて!!こんなことしたって誰も喜ばないよ!!!」
「むしろ2人とも死んでしまうかもしれないんだぞ?!やめろ!!!」
「うるさいうるさいうるさいうるさい……!!屑は屑らしく黙ってろよ!!!!!」
「お前ら、やめ」
このままじゃ本当に殺人に発展しちまうぞ……!!なおも止める早緑の手を振り払い、仲裁に行こうとした、その時…。
『やめろ!!!そんなことしたって誰の得にもならないだろ!!!関係ないところで殺人起こすなよ!!!』
食堂の入り口近くで声がする。振り向いてみると——————。
珍しく怒り心頭の瀬川と、心配そうにみんなを見かける波希の姿があったのだった。
「真打登場、か…。まぁいいよ。ボクもイライラ納めないと本当に人殺しそうだからねぇ…。ここは引いてやる」
「…………っ」
瀬川が本気なのを見越したのか、春白はそんな捨て台詞を吐いて食堂を去って行った。
食堂には———ただ、後悔と沈黙だけが流れていた。どうしてこうなった?どうして———こう、なってしまった?
……なんて感傷に浸っている場合ではない。とにかく、鼎野を保健室まで送っていかなくちゃ。
「鼎野を保健室へ!」
「私と鷹取さんで鼎野さんを運びます、片桐さんは休んでてください」
「え、でも…」
「私の手を止めてでも仲裁しに行って、精神が疲れているのでは?休んだほうがいいですよ」
俺が、といっても引き下がる彼女ではなさそうだ。ここは早緑の好意に甘えるとしよう。
鼎野が食堂から出ていったのを確認し、椅子に座ると———何とも言えないものがどっと、落ちてくるような気がした。
「はぁ、どうなるかと思ったぁ〜…」
「とにかく、殺人になる前に止まってよかったよね」
「やっぱり…やっぱり『絶望』なんてあっちゃいけないんだよ…」
「瀬川……」
このことが許せなかったようで、瀬川は机の上で拳を強く握りしめた。———こんなあいつが、本当に殺人を犯すのかな。いや、無理だよ…。瀬川を見ながら、俺はそんなことを思っていた。
気分が落ち着いたら、鼎野の様子を見に行くか…。