二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re:  リリーのアトリエ 1-6執筆中 オリキャラ募集中  ( No.31 )
日時: 2015/06/05 16:49
名前: 風死  ◆Z1iQc90X/A (ID: xMHcN6Ox)
参照: http://www.kakiko.info/bbs_talk/read.cgi?no



 第1話 雲海の彼方で Part6

 耳慣れないその機関の名に、周りにいる面々は息をのむ。その場面でアーニーたちが現れる。アーシャより少し小柄なボーイッシュな黒髪の女性、アーシャの妹であるニオ。そして緑のジャケットを着た、金髪の優しげな美形青年アーニーだ。
 2人ともアーシャと昔から深い面識のある、家族に近い存在だった。だがキースクリフと共に行動するようになった日以来長い間会っていなかった。特にアーニーは今日が10年来の再開だ。奇妙な沈黙の中でも、やはり久方ぶりに会うという郷愁は避けられず。

 「アーニーさん」
 「やっ、アーシャちゃん。随分大人な感じになったね」
 「そー? 全然ぽやぽやした感じたと思うけどぉ?」
 「それはウィルベルちゃんが、いっつも彼女と話しているからだろう?」
 
 抱擁(ほうよう)する。存在を確かめ合うように。アーニーはアーシャの呼びかけに、昔と変わらないような爽やかな口調で答えた。本の少しアーシャの顔を見詰めてから、懐かしむようにアーニーはささやく。少し悪い笑みを浮かべ茶々を入れてくるウィルベル。10年以上前には良くあった光景だ。

 「そういうもんかしら? まぁ、どうよアーシャ? アーニー変わったように見える?」
 「どっどうって? うっ、うん、何か少し小皺が目立つようになりましたね」
 「はははっ」

  指を立てながら、ウィルベルは問う。それにたいし低い天井を見ながら、思い出すように小首をかしげるアーシャ。しばらくして口を動かす。年齢を重ね、顔の年輪が増え深みが増したように感じる、と言ったつもりだったのだが、どうやらアーニーは老けたと言われたように感じたようで。苦笑いする。

 「何で敬語なのよ?」
 「痛いっ、痛いよベルちゃん。久しぶりすぎて……いやいや、アーニーさんには昔から敬語だったよぉ?」
 「そっそうだったけぇ?」
 「そうだよぉ」

 何か少し余所余所しい雰囲気を感じてか、ウィルベルがアーシャにひじ内をする。思いのほか強く入ったらしく、横腹を抱えるアーシャを見て、すまないと思いながらも苦笑が漏れるウィルベル。そんな彼女に対して、アーシャは口篭りながら昔のことを思い出すようにつぶやく。
 最近は同年代以下のメンバーとばかり話しているため、近しい人間に敬語を使うことは久しぶりだ。アーニー、リンカ、マリオンなど年上の知り合いが1日にこんなにも集まる。自然と涙が浮かぶ。

 穏やかな時間。永遠より長い一瞬。そんな胸つく瞬間が確かに有った気がした。

 キースクリフは静かに瞑目し、今日のところは旧知の友たちの再開を祝しあうことにしようと決めた。


 続く


 〜あとがき〜


 今回から1話1話を少し短くするようにしました。
 結局、1スレ長くするほうが更新が遅くなる気がするんだ……