二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 黄昏の世界の錬金術師達 リリーのアトリエ ( No.4 )
- 日時: 2015/03/28 23:17
- 名前: 風死 ◆Z1iQc90X/A (ID: g8eYpaXV)
第1話 雲海の彼方で 〜プロローグ〜
空が澄んでいる。
ここは黄昏の世界で最も高い場所にある都市。
天空都市デュアレラマレ。
いつも雲の海を下に引く、絶景の世界だ。
雲が浮かぶことも無い世界は、当然ながらいつも晴れ。
「あちぃー、死ぬぅ」
雲1つ無いということは常に日光の雨は降り注ぐ。
その暑さに耐えかねた少女が声を上げる。
茶色の左に編み込みをした短髪に、レッドパープルの夕焼けを思わせる瞳を持った色白の儚げな美少女リリスティー。
この天空都市において、最も人口の少ない職種である錬金術師の卵だ。
彼女が今居るのは人里離れた岩石群のある場所。デュアレラマレの1番端に当たる場所。
なぜ彼女はこんな場所に居るのか。
それは彼女の錬金術に対する技術がまだ未熟で、錬金術はその性質上失敗すると多大な迷惑を回りに撒き散らすことになるからだ。
ゆえに自分の力では失敗する可能性がある上に断れない依頼が来た時は、こうやって人里から離れる。
錬金術。
それは古より語り継がれる、万能の科学技術。
鉄を金に石を爆弾に、知識と技術さえあれば魔法とさえ呼べる現象を起こせるオーバークオリティー。
ゆえにこそ膨大な知識と技術を要し、未熟さゆえに自らの研究中に死する秀英達の何たる多さか。
そんな死せる英雄達の仲間入りはしたくないと、錬金術用の器具である大きな紫色の釜、通称“錬金釜”から遠く離れるリリー。
「あつ、ぃ……何で、今日こんなに暑い、のよ!? 僕にこんな難しい依頼を押し付けやがって、あの馬鹿役人!」
彼女が大きく息を漏らし、汗をぬぐった瞬間。大地揺るがす大爆発が起こった——
「今年は“大きな爆発”はしないで乗り越えられると思ったのに、錬金釜ってどんだけすっと思ってんのさあぁぁぁぁぁぁっ!?」
岩石を巻き込み地理にしていく猛烈な爆発。砂塵渦巻く中、彼女は涙目ながらに叫ぶ。これでは経営破綻だ、と。
続く