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「ヨシツネ！」

まずは様子見としてペルソナ“ヨシツネ”を出現させ、次に繰り出す物理技の威力を倍増させる“チャージ”を行った。しかしトワイライトゾーンは動きらしい動きはせず、自らに似た小さなノーバディを多数出現させた

「ダスクか……！」

加勢に入ろうとしたミッキーはダスクと呼ばれる種類のノーバディ達に阻まれ、手出しをする事が出来なくなってしまった

「くっ……トランペッター！」

次にトランペッターを出現させ、何をしてくるかわからないトワイライトゾーンにほぼ全ての能力を下げる“ランダマイザ”を放った。それは確かにトワイライトゾーンに当たったが、まるで微動だにしない

「くっ！」

再びヨシツネを繰り出し、ランダマイザとは対照的に自身や仲間のほぼ全ての能力を上げる技“ヒートライザ”で俺自身の能力を上げた

「今だ、ヨシツネ！」

この三つの準備をする事で成り立つコンボを決めるべく、再びヨシツネを召喚しその大技である“八艘跳び”を繰り出した。これで倒せると思ったその時、トワイライトゾーンがとんでもない動きに出た

「なにっ！？」

なんとトワイライトゾーンが放ったのは紛れもなく“デクンダとデカジャ”だった。それぞれ自分にかけられている能力ダウンと相手の能力アップを元に戻す技であり、八艘跳びコンボが一瞬にして崩れ去ってしまった。しかしチャージにより威力は倍増しているので相応のダメージを与える事は出来る

「くっ……あのタイミングでだと？」
「そんな！トワイライトゾーンはあんな技持っていないはず！それにあんなに強くもないはずじゃ……」
「もしかして、漆黒の影がって事かな？」

今はヒトミの言葉が一番納得がいくだろう。俺が知らないでミッキーが知っていたのならトワイライトゾーンはミッキーの時空の存在、それがデクンダやデカジャを本来使えないと言うならばやはり漆黒の影により与えられた力なんだろう

八艘跳びコンボが通用しない事が分かった俺はペルソナをキングフロストに切り替え、氷の魔法“ブフダイン”で攻撃するがトワイライトゾーンはあまり動じていない。次の攻撃を仕掛けようとしたその時、突如身体が押さえつけられたように動かなくなった

「なにっ！？」

よく見ると手首足首が白い光を放っており、ダスクの群れを倒したミッキーが咄嗟にトワイライトゾーンにキーブレードを投げた。鉄が当たるような重い音が鳴りトワイライトゾーンがダメージを受けたのとほぼ同時に、俺の拘束も解けた

「ミッキー、ありがとう」
「うん。トワイライトゾーンは今のように相手を拘束する事が出来るから、注意してね」

もしミッキーが助けてくれなければ拘束されている内にやられていたかもしれないと思いつつ、ペルソナをサトゥルヌスにして炎の魔法である“アギダイン”で攻撃を仕掛けた。すると先程まで一切のブレの無かったトワイライトゾーンがついによろめき始めた

「よし、一気に決めるぞ！」
「うん！」

その隙に一斉攻撃を仕掛け、俺はイザナギを召喚、ミッキーはホーリーで攻め、やっとの想いでトワイライトゾーンを倒す事が出来た

「何とか倒したな……」
「うん、行こう」

トワイライトゾーンを退け俺達は立ちはだかる敵達を倒しながら奥へ奥へと進んでいった。しかしトワイライトゾーンと言う予想外の敵がいたとは言え、明らかにおかしい。敵の動きがあまりにも静かすぎるのだ

特に動きらしい動きも無いまま最上部に当たる部屋にたどり着き、そこには白い服装に身を包んだ一人の少年がいた。さらにその背後からも一人の大人びた雰囲気の少年がやって来た

「お前が鳴上 悠か……直接会うのは初めてだな？」

大人びた雰囲気の少年はよく見れば俺にそっくりであり、続いて白い服装の少年が口を開いた

「俺の名はキリス、こっちは鳴冠。共に……漆黒の影のメンバーだ」
「漆黒の影の！？と言う事はお前らが……」
「そう言う事だ。先程の戦い、見せてもらった」

先程の戦い、つまりトワイライトゾーンとの戦いを監視されていたようだ

「だがあれではペルソナ使いの風上にも置けない」
「何だと！？」
「ハッキリ言って弱すぎる。お前が倒したと言うイザナミは……そんなに弱かったのか？」

しかしこの鳴冠と言う少年は全くこちらの実力を認めていないようだ。鳴冠は右腕を掲げるといつの間にか上空に飛来していた紫色のカードを握り潰すようにして破壊し、ガラスの割れるような音と共に俺のペルソナであるイザナギに似た何かを出現させた

「っ！？」
「あれは……鳴上さんのペルソナと同じ……！？」
「これが俺のペルソナ、“Dクイザナギ”だ」

闇色に染まったイザナギことDクイザナギは鳴冠によってすぐ消滅し、次にキリスが背中の剣を引き抜いた

「さて……我らも我らの任務を遂行する事にしよう」

その視線はどういう訳か、ヒトミに向けられていた