二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: KH×SAO×P4×FBクロスオーバーズ アンケート開始 ( No.169 )
- 日時: 2015/01/15 20:05
- 名前: レイR ◆SY6Gn7Ui8M (ID: xO27oKsf)
- 参照: http://ge-novel.com/mtsg.cgi?
漆黒の影が所有する浮遊城、その名を“漆黒と虚無の城”と言う。死後の世界にも等しい謎の空間に浮かぶこの城に、彼女は囚われていた
レイ達と離されてどれだけの時が経ったのだろう、彼女はそう思いながら窓の外を見下ろしていた。無論鉄格子が張ってあるため逃げる事は出来ない
「みんな……」
身を守る防具は奪われ、戦う為の武器も何処かに隠されたあげく装着した者の能力を全て無に還す黄泉までつけられ、完全に逃げる事が出来なくなっていた
ちなみにここはリズやヒトミが囚われていた牢屋ではなく、何処かの個室のようだ。部屋の豪華さから見て恐らく上層辺りに存在する場所なのかもしれない
何とかして黄泉を外そうと試みるがまるで外れる気配が無い。それもそのはず、黄泉の効力によって彼女の能力が一般人並みにされている為外す事は不可能である
どうにかして黄泉を取り除く方法を考えていると、後ろの方で扉がノックされる音が三回ほど聞こえた
「っ!?」
一々大袈裟に反応してしまったがノックは案外優しい物であり、特に危害を加える訳ではない事が読み取れた
「失礼、ちょっと入るね」
そう言って勝手に扉を開けて入ってきたのはこの城の城主であり、漆黒の影のリーダーでありレイと瓜二つの容姿をした少年、シャドウレイだった。彼の姿を確認するとアスナは思わず身構え、シャドウレイは武器を持っておらず危害を加えない事を示すと微笑んだ
「やぁ、ここでははじめまして。改めて自己紹介しておくよ。俺の名はシャドウレイ、漆黒の影のリーダー」
改まって自己紹介をするシャドウレイは余裕を見せており、アスナはまだ口を開かず様子を見ている。現在二人には約8メートルほどの距離があり、彼の余裕はまるで彼女が戦う事の出来ない状態である事を把握しているようだった
「どう?ここへ来て三日だけどもう慣れた?」
「……」
「あっ、そう言えばこの部屋から出てないんだよね?だったら慣れてないはずだ」
思い出したかのように語るシャドウレイは彼女が口を開かずとも怒りもせず、寧ろフレンドリーに関わっていた。この様子は初対面の相手を友達に誘うシチュエーションに似ているだろう、アスナが囚われていると言う事実さえ無ければ
「……私をどうするつもり?」
やっと出た言葉がそれだった。出来る限り視界からシャドウレイを外さず、冷静さを保ちつつもこの状況を打破出来る方法を見つける為考えを巡らせていると、シャドウレイがこう返した
「俺はどうもしないよ。何せ君を捕らえようって言ったのはキリスと鳴冠だしね。俺はそれを了承しただけ」
「……」
「まぁ、二人の人質計画には正直誰でも良かったみたいなんだけど……作戦実行の為には彼らにとっては君が最適だったみたい」
「作戦……?」
「知りたいの?」
状況を整理しながら静かに頷くと、シャドウレイは暫く悩み突然閃いたように言い出した
「ならこの城を案内してあげるよ!まだ慣れてないだろうし。それにキリス達の計画についても教えてあげるね」
彼女の了承も得ずに話を進めるシャドウレイは再び扉を開き、アスナに向かって手招きをした。特に抵抗出来る訳でも無く、自分が囚われた理由も知れるかもしれないので大人しく着いていく事になった
部屋を出てすぐに直面したのは先程の豪華な個室とは打って変わって黒以外の色が見受けられない異質な廊下だった。唯一の明かりであるランプの色も黒であったり、明らかに常人が作れそうに無いほど広かったりと常識外れな廊下だった
「じゃあ行こうか」
そう言うとシャドウレイはゆっくりと歩き出した。特に引っ張る事もなく、強制する事もなく着いてくるよう誘うシャドウレイからは他の敵とは異なる物を感じた
「え、えぇ……」
今は少しでも情報が欲しい、そう思ったアスナは今はシャドウレイの案内に付き合い、この城を探索する事にした。
まず二人がたどり着いたのは黒い扉の前。これまでも視界に見える物全てが黒であった為、流石に目が疲れを感じていた。このような城にもしキリトがいた場合きっと喜んでいるだろうと思っているとシャドウレイがここの解説を始めた
「これは階段への扉。俺達漆黒の影のメンバーのみ通る事が出来る」
「つまりそれ以外は開ける事すら出来ないって事?」
「そう言う事だね」
次に二人が向かったのはシャドウレイが何時も居座っている司令室だった。ここも相変わらず黒以外の色が見受けられず、唯一見える異なる色が部屋の中心に浮かぶモニターに映る景色のみ
「ここは司令室であり俺の部屋。と言っても、大体みんなここに集まるけどね」
「どうして?」
「たぶんみんな組織の夢の為に必死なんだろうね」
「……“組織の夢”?」
意味深な言葉を残したシャドウレイの案内で向かったのは珍しく真っ黒ではない広々とした部屋だった。室内には幾つもの長いテーブルが用意されており、キッチンなども備わっている事からすぐにこの部屋の正体を察する事が出来た
「ここは……食堂?」
「おっ、感が良いね?そう、みんな大体ここで食事を取るんだ。料理は担当兵がやってくれるんだけど……俺も何時かやってみたいな……」
ガックリと肩を落とすシャドウレイはそんな事を呟きつつキッチンの方を見つめている。そんな彼と同じ方向を見つめていると、不意に身体が動き出していた
「あれ、どったの?」
「料理なら、私出来るよ」
「えっ、本当!?なら教えてくれる?俺メンバー達に何時かご馳走してあげたいって思ってるんだ。ここにある食材何でも使って良いから御願い!」
「……うん、分かった」
ここで教えなければ名が廃ると自身のプライドに押し負けたとは言え、いつの間にかシャドウレイと打ち解けていた。今回シチューの作り方を教わる事になったシャドウレイは料理のレクチャー中メモをしながらも常に無邪気な会話に花を咲かせており、アスナは笑って頷いていた
最初こそ警戒していたが、いざ共に行動してみるとシャドウレイは自分達の前に現れた時とは違い、想像とはかけ離れてとても無邪気な明るい性格だった。それに囚われた自分に対しても良心的に接し、敵であるはずなのにも関わらず彼はとても優しかった