二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 双子の姉妹と鴉天狗の少年とミッション1 ( No.155 )
- 日時: 2014/12/06 20:06
- 名前: 葉月@iPhone (ID: xyOqXR/L)
*ドラマパート*
BGM:凛として咲く花の如く
坪内姉妹は祖母の見舞いに行くために出掛けたが、森の中で迷ってしまったらしい。姉の沙綾は地図を開いて確認するも、地図の位置は一致しているはずなのに森を抜ける気配が一切無い。
沙綾「何なん……? どこやねんここ……沙千、分かるか?」
沙千「ごめん……うちもよぉ分からんねん……」
沙綾「この場所、地図に載ってへんし……どこなんここ?」
沙綾と沙千は森の中を歩けど歩けどもずっと森の中で彷徨うだけだった。沙綾は困ったような顔をして妹の沙千に「完全に迷ったかも知れない」と伝えた。
沙綾「なぁ、沙千」
沙千「何やお姉?」
沙綾「うちら、ホンマに迷ったかも知れん。地図やとこの辺に出てお婆ちゃんの家があるはずなのにずっと森の中や……。歩いても歩いても森から抜けられへんし……どないすればええねん……」
もはや迷宮と化した森の中を彷徨い続ける坪内姉妹はお手上げ状態だ。本来ならば森を抜けるはずなのに抜けられないまま。
ずっと森の中で彷徨い続けると思われた矢先、別の声が聞こえた。
???「それじゃあ俺が案内しようか? お嬢ちゃん達?」
沙綾・沙千「!?」
坪内姉妹の耳に届いたのは少年の声だった。沙綾は声をした方に睨みつけて「誰や!?」と低い声で叫んだ。彼女達の前に現れたのは黒髪で真ん中分け、目元を黒いお面で隠した鴉天狗の少年だった。鴉天狗の少年はケラケラ笑いながら言った。
鴉天狗の少年(高尾)「この森はね、人間が来るような場所じゃないんだよ? この森に迷い込んだということはねーー人間の世界から妖怪の世界に来たということだよ」
鴉天狗の少年の言葉に沙綾と沙千は目を見開いた。人間の世界から妖怪の世界に来たとはどういうことだろうか?
沙綾「人間の世界から妖怪の世界に来た!? うちらはただ、お婆ちゃんの見舞いに行く途中やったはずや! それに妖怪の世界に入るとかありえへんやろ!?」
鴉天狗の少年(高尾)「人間のあんたらからしたらありえないかもしれないけど、俺達妖怪にとっちゃあよくあることだよ?」
人間の彼女達にとっては信じられない光景だが、妖怪にとってはよくあることだと鴉天狗の少年は言う。
この森を抜けることが出来るのかと坪内姉妹は考える。沙綾は鴉天狗の少年にこのことについて知っているのかを聞いた。
沙綾「なぁ、あんたはうちらがここに来たっちゅうことを知っとるか? うちが地図を持って歩いとったことも」
鴉天狗の少年(高尾)「もちろん知ってるよ? それでどうしたの?」
沙綾「ほんなら教えてや! ここを一度でも入ったらどないなん!?」
鴉天狗の少年(高尾)「一度でも入ったら二度と人間の世界に帰れないとは限らないよ。ここは人間の世界と妖怪の世界を結ぶ境界線になっているんだよ。あんたらがそのお婆ちゃんの見舞いに行けなくて、ここに来たのはそのためなんだ。お婆ちゃんの家って人間の世界にあるから妖怪の世界に入ったら行けないわけだ」
沙千「そうなんや……そんでうちらはお婆ちゃんの家に行けんかったっちゅうことか」
鴉天狗の少年の説明によると本来沙綾や沙千が向かうはずだった祖母の家は人間の世界にあり、境界線になった森で、彼女達は行けなくなり、地図通りに行っても祖母の家には辿り着けないということが明らかになった。
鴉天狗の少年(高尾)「けど、いずれ戻ってくるから平気だって! とりあえず俺が案内するからついてきなよ?」
鴉天狗の少年に言われるがままに坪内姉妹は彼の後をついていくことになった。鴉天狗の少年は黒い翼を広げてゆっくりと飛行する。沙綾と沙千のペースに合わせて調節して飛行する。
木々に囲まれて歩けども歩けども緑だらけだ。鴉天狗の少年は自己紹介も兼ねて、移動しながら話し出す。
鴉天狗の少年→和樹(高尾)「俺は和樹(かずき)。見ての通り鴉天狗だ。まさか人間の来客が来るなんてねぇ……そりゃあ驚きだよ。久しぶりの人間がこんな美人だなんてちょっと嬉しいかもwww」
沙綾(よぉ喋るなぁ……)
沙綾と沙千は和樹のお喋りっぷりに呆然とする。沙綾もよく喋る方だが、和樹に圧巻されるほどだ。
和樹(高尾)「そういえばあんたらの名前聞いてなかったよね。何て言うの?」
沙綾「坪内沙綾や。こっちは妹の沙千」
沙千「沙千や。よろしゅう」
軽く自己紹介をすると、三人は他愛ない会話をしながら森の中を歩いていく。
和樹(高尾)「沙綾ちゃんに沙千ちゃんね。実際に妖怪を見たことってある?」
沙綾「ないな。話は聞いたことあるんやけども今のように実際に会うんは初めてやな」
和樹(高尾)「そうなんだ。初めての妖怪を見てビックリした?」
沙千「急に来た時はビックリしたんやけど、違和感なく会話するなぁ」
沙綾「テレビとか資料とかで見たからなんとなく予想はついてたわ」
話や資料、テレビなどで妖怪を知った沙綾と沙千は実際に会うのは初めてだった。初めて会った妖怪が鴉天狗の和樹で本当によかったと実感した。
和樹(高尾)「じゃあさ、百鬼夜行って見たことある?」
沙綾・沙千(首を横に振る)
和樹(高尾)「ないんだ。百鬼夜行は夜の行事だから夜になると妖怪がずらりと並んで行進するんだよ。これが結構盛り上がるんだぜ?」
妖怪の街には夜になると必ずと言っていいほど百鬼夜行が行われる。百鬼夜行は夜の行事で、盛り上がるものだ。しかし、被害が出ているところもあるらしく、注意が必要だ。
会話を交えながら移動していると、赤い火の玉がボッと浮かび上がった。一個ではなく、数個ほどボボボと火の玉が出現した。
突然の火の玉に坪内姉妹は「ひっ!」と小さな悲鳴を上げた。当然ながら人間の彼女達にとって火の玉は一つの怪奇現象だろう。
沙綾「火の玉!? 何で火の玉があんねん!?」
怯える彼女達を見て和樹はぷぷっと吹き出して言う。
和樹(高尾)「そんなに怖がらなくてもいいのに……。火の玉はもうすぐ森を抜けるよっていう証だよ。この森を抜けると、俺達妖怪が住む街に着くから」
和樹が言うには、森に照らし出されている火の玉は森を抜けるよという証だった。火の玉に導かれ、沙綾と沙千は森を抜ける。迷宮だった森もようやく出口まで到着した。
和樹も飛行してから地面に右足から着地して、広げていた黒い翼もしまい、徒歩で移動して彼女達を案内する。
- 双子の姉妹と鴉天狗の少年とミッション1 2 ( No.156 )
- 日時: 2014/12/06 20:07
- 名前: 葉月@iPhone (ID: xyOqXR/L)
BGM:朱隠し(あかやあかしやあやかしのの主題歌)
森を抜けた先には妖怪が楽しそうに盛り上がった街並みだった。まるで商店街のような店もあり、人口も多めである。
賑わう中で沙綾と沙千は妖怪の街並みを歩く。
和樹(高尾)「ここが俺達が住む妖怪の街だよ。最近は人間もここに来るようになったんだ」
沙綾「人間もここに来るようになったんか……。人間も妖怪の街に住んどるんやろ? けど、そう多ないんやろ?」
和樹(高尾)「妖怪と比べりゃそりゃあ少ないだろうけど、たくさんいるよ。中には人間と妖怪が共に暮らしている場合もあるからね」
沙千「人間と妖怪が共一緒に暮らす?」
和樹(高尾)「そ。小さい子が多いんだけどね、中には大人もいるだろうけど、人間と妖怪が一緒に暮らすのは子供が多いよ」
この妖怪の街には、人間も来るようになり、妖怪と暮らす人間も存在する。数は圧倒的に妖怪の方が多いが、人間の数も増えている。
和樹の案内で妖怪の街並みを歩く沙綾と沙千は興味深そうに風景を眺めていた。妖怪の子供は和樹を見て嬉しそうに駆け寄った。
瑠美(ルーミア)「あ! 和樹おかえり〜! 人間も連れてきたんだね!」
里那(リグル)「お疲れ様です」
和樹(高尾)「瑠美に里那、ただいま。今日は二人来たよ」
小夜(小喬)「わぁ〜! お客さんだぁ〜!」
ぞろぞろと和樹の元に寄る妖怪の少女達。金髪の少女は人喰い妖怪の瑠美(るみ)、少年のような外見をした緑髪の少女は蟲の妖怪の里那(りな)、サイドテールの少女は半人半妖の小夜(さよ)といい、彼女達は和樹の親友で、よく付き合っている。性別関係なく幼い頃からの付き合いである。
そんな和樹を見て叱りつけたのは和樹の兄貴分で、彼と同じ鴉天狗の少年・清史(せいじ)だった。
清史(宮地)「和樹、人間を連れてくなと言ってるだろ!」
信次(木村)「清史、それぐらいいいじゃねぇか」
清史(宮地)「何を言うんだ信次(しんじ)! 和樹の奴、人間を連れて来たんだぞ!」
和樹(高尾)「清史さん、俺が連れてきた人間の女の子は迷い込んだんですよ!」
和樹の「人間の女の子は迷い込んだ」という発言に兄貴分である清史と信次はきょとんとした。彼の言う人間の女の子とは言うまでもなく沙綾と沙千のことだ。
和樹は清史と信次に彼女達が妖怪の世界に迷い込んだこと、人間の世界と妖怪の世界を結ぶ境界線を越えたことを話す。
和樹の説明を聞いた清史と信次は沙綾と沙千が来たことを迎え入れる。また、お互いに自己紹介をして、妖怪の街並みを堪能した沙綾と沙千だった。
175:00
その様子を見ていた作者・葉月はミニパソコンを操作して、ミッションを発動させた。
次から最初のミッションが入りますね。