二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: ポケモンナイト2番外編 羅刹の旅人 〈キャラ募集!〉 ( No.184 )
- 日時: 2015/10/02 23:08
- 名前: ピコパ ◆aIf9C.jTkU (ID: wXGYBxg0)
その少女はイルミアに酷似していた。髪や目の色は違うが雰囲気や出で立ちはそのものだった。しかしスガツはイルミアを知らないので無論そう思うよしもなかった。少女は紅茶の匂いを纏わせながらスガツにこう尋ねた。
???「お客様?あの、ここは裏口ですけど…」
スガツ「ここは……店なのか?」
???「回ってみればわかります、ついてきてください。」
少女はスガツを連れて家の周りを歩いた。魔石の綺麗な庭飾りや紅茶の原料の植物の花がスガツを出迎え、表に出るとそこには紅茶の瓶詰めが棚にずらりと並べられていた。少女は紅茶屋の経営者なのである。木の看板には『コルニット紅茶店』と書いてあった。
???「申し遅れました。私はアディッシュ・コルニット。皆さんからはアディと呼ばれています。」
アディはスガツに軽く自己紹介をしたあとアンティークの椅子を出して座らせた。そばにいるモノズは空きビンを前足で転がしている。
スガツ「待て、俺は客ではないし茶などに興味は……」
アディ「まあ、遠慮しないでどうぞ。今お茶を淹れますね。」
アディは店の奥に消えていった。
スガツ「未来永劫忘れることのない記憶力を持つというからどんな魔女かと思ったが……まさかあんな娘とは。」
モノズ「モノッズ。」
スガツ「モノズ、その瓶は食べられないぞ。」
すると奥から芳しい香りが広がってきた。今まで飲まず食わずだったスガツのお腹を鳴らせるにはピッタリだった。アディがトレイに紅茶とクッキーを乗せてやってくる。
アディ「お待たせしました、はいどうぞ。」
アディはトレイをテーブルに置き慣れた手つきで紅茶を淹れる。モノズが前足でアディの足をつっつくとアディはクッキーをモノズにあげた。モノズはクッキーの匂いを嗅ぐや否やパクっと食べてしまった。
アディ「フフ、可愛い。」
スガツ「おい、俺は……」
アディの横顔を見ると小言を言う気も失せ、ゆっくりとクッキーと紅茶を嗜んだ。
アディ「……私の記憶力を求めていますか?」
ふとアディがそう呟く。スガツはそうだと頷く。
スガツ「これでもう……お前は俺を忘れないか?」
アディ「せっかく来てくれたお客様ですもの、忘れるはずがありません。それに……私はいっぱいいますから。」
スガツ「?」
アディ「なんでもありませんよ。それより、あまり見ない方ですが……いったいどちらから?」
スガツ「幻界の終点からだ。」
アディ「あら、そうですか。」
スガツ「……知ってるのか。」
アディは意味深な笑いを浮かべながらモノズを撫でた。