二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: ヴァイスシュヴァルツ・NEXT/STAGE ( No.69 )
日時: 2016/05/22 18:16
名前: 八雲(元BFD) ◆FvibAYZ8Tw (ID: zSZyy9Vi)

前回のあらすじIN赤星李里香


WSキングダムの最中、あたしとなのはちゃんの前にあの翠樹が現れた!あの時徹底的にやっつけたのに!
あいつの後を追っていたら不思議な館にたどり着き、そこの扉に入ったらそこはなんとWS世界のフロニャルド!

エクレ「人間は敵だ!」

シュテル「李里香もなのはも貴方達を裏切ったりしません」

人間を敵視し、完全に聞く耳を持たないエクレを止めたのはあたしのもう一人の相棒、シュテル!
事情を聞いたあたしはフロニャルドの危機を知り、フロニャルドを取り戻す為に動き出した!





「それで、なんて書いてあったの?」

「……簡単だ。『夕刻までにワシとガウル、李里香は自分の城に来い』だ」

あの手紙に書かれていた内容は回りくどい言い回しが多かったが、具体的な点を上げればそうなる。当然住人達は怒りの声を上げた。
ふざけるな!こんなの誰が聞くか!絶対罠に決まっている!行ってはなりません!

「『直、仮に夕刻まで訪れなかった場合、直ちに——』」

「——直ちにこの砦を攻撃する」

手紙の最後の一文は、レオではない誰かが語った。部屋にいた全員が声のする方向を向くと、褐色の肌を持つ銀髪の男がいつの間にか扉の前に現れていた。
李里香は一瞬誰だか解らなかったが、レオやガウルのリアクションから、その人物がヴァレリア・カルヴァドスと理解した。

「ヴァレリー!何故ここに来たのですか!」

すかさず一番近くにいたアデルが銃口をヴァレリアの米神に向けて声を上げる。しかし、ヴァレリアはそんな状況に置かれているにも関わらず涼しい顔で続きを言う。

「俺はただ警告しに来ただけだ。お前らが来なかった場合、その手紙の内容通りここに攻撃を仕掛ける。その警告文は冗談じゃない。最後の所を良く見てみな」

「なんだと?——『冗談では無い証拠に、魔王をそちらに向かわせた。この手紙を読んでいる頃には既にそちらに来ているだろう』……」

ガウルが最後の1文を読むと、確かにそう記されているのが確認できた。
しかし、李里香は今はヴァレリアの出現よりも気がかりな事がある。

「ねぇ、ミルヒ姫様は無事なのよね?」

「お前か。アイツが言っていた人間ってのは。確かにミルヒ——いや、今はフェンリルって名乗ってるが、一応は無事だ」

ヴァレリアの言葉で李里香は一応は安堵する。しかし、アデルはヴァレリアを逃がすまいとキッと睨んだまま銃口を彼の米神に突きつけたまま動かない。

「私があなたをこのまま大人しく逃がすと思ったのですか?」

「へぇ。震えたままで俺が撃てるのか?」

「……ッ!だ、誰がそんな事……!」

確信を突かれた様にアデルの身体が硬直する。その僅かな隙を見逃さなかったヴァレリアは左手で銃を払いのけ、右手の掌低をアデルの鳩尾に叩き込み、壁に叩き付けた。

「あぐっ……!」

「らしくねぇな英雄王。相手が昔のパーティメンバーだったから、なんてのは言い訳にしちゃ情けない気もするが」

一撃でアデルを倒したヴァレリアはまるで彼女を見下したように言い放つ。しかし両者の間にダルキアンが薙刀を手に割り込んで来た。

「どうやらお主の事は『敵』として認識せねばならぬな……!」

「待て待て。俺はその手紙の警告を証明するためにここに来ただけだ。警告ついでに呼んでる奴らをぶっ潰すなんてどこの獄悪魔王だよ?」

「自分は除外されてるんだ」

「先に言われるとは思わなかったぞオイ」

思わぬツッコミが入ったが、気を取り直してレオ達に警告を告げる。

「とにかく、どんな計画を立ててるか知らねぇが夕刻までにお前らが城に来なけりゃ即奴らは軍隊連れてここを潰す。それだけは頭に叩き込んでおけ。じゃあな」

「ま、待って!」

なのはが踵を返したヴァレリアにレイジングハートを向けるも、魔力弾を撃つ前にその姿が消えてしまった。

「逃げられた……」

「どうやら本気で潰す気らしいな。赤星、危険だが頼めるか?」

「うん」

「リコッタ主席救出作戦はユキカゼ、イスカ殿、高町、シュテルの4人で行う。そちらも頼んだぞ」

「待って下さいレオ様!人間は信用できません!私なら城の構造も理解しています!人間2人よりも、私を連れて行ったほうが……!」

すかさずエクレが講義に出る。城の構造に熟知した人物なら救出作戦に適正だろう。しかし、それはエクレでなくとも、シンクやリコッタも同じ。それに何より、顔が知られている人物を易々と見過ごすはずがない。

「確信は持てぬが、もしミルヒが警護に回っているとなると厄介だ。ワシらが稼げる時間も限られている。迅速な行動で助け出す必要も出るということだ。仮にミルヒが警護に回っていたら、お前はそいつに剣を向けられるか?」

「それは……!」

レオの問いにエクレは言葉を詰まらせる。強がってはいるものの、彼女は今もミルヒが敵対した事によるショックが抜けていないのは確かだった。

「15分、いや、5分後に奴らの城に向かうぞ」

「OK!」

すぐに城に向かう準備を進める両チーム。失敗は許されない重要な仕事だ。なんとしても成功させなくてはならない……!

Re: ヴァイスシュヴァルツ・NEXT/STAGE ( No.70 )
日時: 2016/05/22 18:18
名前: 八雲(元BFD) ◆FvibAYZ8Tw (ID: zSZyy9Vi)

そして5分後、準備を終えたレオ、ガウル、李里香の城への潜入組とユキカゼ、イスカ、なのは、シュテルのリコッタ救出組の4人。ここからは分かれて行動しようとした時、なのはが李里香に何かを手渡す。それは、紐に通された小さな赤い宝石だった。それを受け取った瞬間、李里香が目を丸くしてなのはに尋ねる。

「これ、レイジングハートじゃない!何でこんな大事な物を……!?」

「いいの。私は兵士の人から貰った輝力銃を使うから。李里香ちゃんのお守りにして」

「……ありがとう。でも、これは後で返すね」

「いいな赤星。行くぞ」

なのはから渡された李里香はレイジングハートを受け取り、李里香とレオとガウルは城へ、シンク、ユキカゼ、イスカ、なのは、シュテルの5人はリコッタが監禁されているフィリアンノ城へと向かって行った。
そして両者が見えなくなった頃、アデルが全員に向けて言ってきた。

「皆さん、少々私の話を聞いてくれませんか?」

「あの、アデル様……シンクを見かけませんでした?」

早速話をしようとした時、レベッカが挙手して尋ねる。言われて見れば、さっきまでいたはずだが……?
そう思った時、ナナミが顔を蒼くしてある方向を向く。その方向はついさっきリコッタ救出組が向かったフィリアンノ城……!

「まさか……!」





「それで、場所はどこです?」

「場所は姫様の部屋。前に忍び込んだ時は確かにいたでござる」

「なら早く助けに行こう。リコなら何かいいアイデアを思いついてくれるかも」

「そうだなって……シンク!何でここに!?」

フィリアンノ城から程近い小高い丘。そこから城に潜入する計画を立てていた矢先、安静にしてるはずのシンクがいる事に驚く4人。当人は「治ったから大丈夫」と言っているが、シュテルには彼の意図を理解していた。

「彼女の事ですか?」

的確に核心を突いた言葉に、シンクは無言で頷いた。

「あの時、僕は何も出来なかった。大丈夫だって姫様が言ってて安心してたんだ……なのに……!」

自分を召喚してくれた姫の一言で大人しく下がってしまった。もしあの時、無理にでもついて行くと言っていればあんな事にはならなかったはず。その後悔がシンクに思わず握り拳を作り、爪で掌に傷を作ったのか、指の間から赤い血が小さな雫となって零れ落ちる。

「それに、街の人も変だったよね。それに小型ラジオがあんなに街中にあるなんて……」

なのはが街中にいた時の事を思い返し首を傾げる。
ビスコッティ城下町に到着した一行が目にしたのは、怯えるビスコッティ住民と、獣をそのまま人間の様に二足歩行にしたような生物が我が物顔で練り歩く光景だった。そして喫茶店などに置かれているラジオやスピーカーを設置した鉄塔から流れる領主らしき声の主の放送。見た感じ、平和な雰囲気が見られていたが、彼らが見てない所ではどんな惨い仕打ちをしているのか想像するだけでも身震いがする。無論、怒りと恐怖の意味で。
作戦を開始する直前、ユキカゼがなのはとシュテルに向けて胸の内を晒すように言う。

「正直、拙者もイスカ様もエクレ達と同じく人間を信用しきっていないでござる。シンク達3国の勇者達やアデル様は別として、他の人間は自分の欲の為に木々を伐り倒し、鉱山を掘り返し、他人がどうなろうとお構い無しに搾取する。正直魔物の方がまだマシに思える位の悪逆っぷりでござる。それこそ、今ビスコッティを支配している奴らと同じ位に……」

「今では守護地域が平和な時の3割も減っちまった。フィーがこの国の今を見たら、憤りと嘆きで言葉も無いだろうな。俺も最初に言っておくが、もし裏切るようなそぶりを少しでも見せたら……」

言葉に重圧を乗せつつ、イスカは腰に差した刀に触れる。腰を落とし、居合いの構えでなのはとシュテルを睨む。その眼光はまるで逃がすまいと鋭く2人を射抜いていた。

「その首がバッサリ斬られる事を覚悟しとくんだな」

「……早く乗り込みましょう。時間がありません」





フィリアンノ城の内部に潜入した5人。城内に潜入すれば後は容易い……かと思われたが、警備兵の数が意外にも多い。どこぞのスニーキングアクションゲーム宜しく物陰に隠れたり、ユキカゼの忍術でその場を凌いだり、挙句隙を見てイスカが兵を即座に気絶させるなど予想以上の困難なことになった。

「もうすぐ姫様の部屋でござる。しかし、通い慣れた城でこうも苦労するとは……」

「助けた後はどうするんですか?」

「見つかりやすいけど、手っ取り早くトルネイダーで窓から!」

漸くミルヒの部屋まで100メートル先の突き当りを曲がった奥という時、その突き当りの角から誰かがやってくる。

「漸くお出ましか。長い事待たせて待ちくたびれたぞオイ」

「ヴァレリー……!」

その相手は、魔王ヴァレリア・カルヴァドスだった……。

Re: ヴァイスシュヴァルツ・NEXT/STAGE ( No.71 )
日時: 2016/05/22 18:19
名前: 八雲(元BFD) ◆FvibAYZ8Tw (ID: zSZyy9Vi)


その頃。レオ達3人は西側にある巨大な城の前に到着していた。

「ガレット獅子団団長、レオンミシェリ・ガレット・デ・ロワだ!この城の城主に呼ばれ参じた!門を開けろ!」

張り上げたレオの声に反応し、跳ね橋が降ろされ、巨大な門が軋むような音を上げて開く。開けられた門の奥で鹿をそのまま二足歩行にしたような姿の従者が3人を城内へ案内する。
従者について行くままに城の中を歩いていると、広い部屋へと到着。その中央に置かれたテーブルの奥で、翠樹と城主らしき、屈強そうな人型の生物がいた。ただし、フロニャルドの住人特有の動物の耳と尻尾はない。いうなれば、強靭な肉体に皮と肉がこそげ落ちたような頬と口、目はガラスをはめ込んだように瞳が見えない。しかし、僅かに空いた口の隙間から、呼吸するような音が聞こえる。
すぐさま鹿の従者は部屋を去り、部屋に残るのは5人となる。いや、部屋の奥で石柱のひとつに背を預けるように立っているフェンリルを含めてこの部屋にいるのは6人だ。

「ようこそ。我が城に。俺は城主兼プレダティオル国国王、レッドムーン・ビーストマスター。今は勇者召喚に応じた翠樹と契約を結んでいる」

「フロニャルド侵略の片棒を担ぐ勇者か。こっちとは大違いじゃな」

「そっちは召喚もされていない奴らを招待しているのはどうしてかな?」

「……!」

「今は与太話してる暇は無い。用件だけ話して貰えぬか?」

「…良いだろう。要件は一つ。『今すぐプレダティオル国に降伏せよ』それだけだ」

シンプルに突きつけられた用件。その事にレオ達は言葉を詰まらせる。数秒の沈黙の後、李里香が声を荒げて怒声を上げた。

「バカ言わないでよ!勝手に乗り込んできた挙句勝手にこの世界の物を奪い取って!フロニャルドの人達は凄く迷惑しているのよ!」

「確かにお前らの侵略行為は解せねぇな。俺らは必要以上の搾取はしない。だがお前らの行為は搾取以外の何者でもない」

「ふむ、理解しがたいのなら結構だが、少々説明しておく必要があるな」

レッドムーンが席を立ち、柱の一つを軽く叩く。すると中から複数のボタンを付けたプレートが見つかる。そのうちの一つを押すと部屋が突如暗くなり、すべてのカーテンが閉じる。すると翠樹の奥の壁にスクリーンに映像が流れる。
最初に映し出されたのは平和なフロニャルドの光景。次に召喚されるシンク達と、それを物陰から見る黒い人間のシーンに変わる。

「確かにこのままなら平和な時を過ごせる。しかし、もし次の召喚を誰かに見られたらどうなる?次の召喚にはソイツも来るかもしれん」

スクリーンの映像が代わり、黒い人物がシンク達を問い詰めるシーンに変わる。そこから更に、黒い人間が召喚されてフロニャルドへと訪れるシーンに変わる。そして、最後と思われるシーンでは黒い人間がフロニャルドを支配するようなシーンになった。

「やがてその人間から豊富な資源の話が伝わり、大勢の人間が押しかけてくる。そんな事になってみろ、このフロニャルドは人間に支配されてしまうだろう」

「そうなれば平安な暮らしなんて望めやしない。そこで僕らは、フロニャルドを守るためにこの世界に来たのさ」

「『守る為』……?」

それと同時に翠樹が先ほどレッドムーンが操作したパネルの右下のボタンを押す。すると、すべてのカーテンが開け放たれ、照明も点灯する。そして席に戻ると座りながら続きを語る。

「このままではいずれその人間にフロニャルドを奪われてしまう。そこでレッドムーンはこの世界を、モンスター・エンパイアに属するプレダティオルの傘下にする事で人間の侵攻を妨げようとしているのだ。それを実現するには、このフロニャルドでも最も名の通った三国同盟の3人の領主の承諾を得た方が早いのだよ」

「最初にミルヒを承諾させ、その次にワシらを承諾させればクーベルや反乱分子の勢いも殺がれて、いずれ近い内に降伏すると言うわけか……!」

「姑息なマネしやがって……!」

「レオ閣下にガウル殿下は話が早い。そちらはどうかな人間」

レッドムーンがすかさず李里香に尋ねてみる。しかし李里香は当然の如く手を机に叩き付けて講義する。

「ふざけないで!守ってやるとか言っといて、やってるのは人間と同じ支配してるのと一緒じゃない!ミルヒ姫様も、こんな奴らの言いなりになる必要なんて無い!だから……」

その次の瞬間、一瞬で間合いを詰めて剣の刃を李里香の首筋に突きつけたフェンリル。兜から見える目が氷の刃でも突きつけられたように背筋を凍らされる。

「……二度とその名で呼ぶな」

腰が抜けたように椅子に座り込む李里香を見て、フェンリルも剣を鞘に納める。それを見た翠樹はいい加減結論を出そうと切り出した。

「では、ガレットの代表者に問うとしましょう——我々プレダティオルに降伏しますか?」

少しの沈黙。そして、出された答えは……。

















「「「断固お断りだ!!!」」」

3人一斉に怒声と共に拒絶した。
その答えにレッドムーンと翠樹はふぅ、と溜息を付き、懐から取り出した通信機に指示を出す。

「攻撃隊に告ぐ。反乱分子の隠れ家を即刻攻撃せよ!」

「何ッ……!?」

「貴様、最初からそのつもりで……!」

「君達にはがっかりだよ。もう少しまともな選択をすると思ったのに。まぁ仕方ないか。君らは友の命よりフロニャルドを取った。お礼に僕が公議してあげよう。『必然の犠牲が伴う選択』をね!」

「そんな……!」

突然の最悪の事態になってしまった。レオは翠樹とレッドムーンに敵意むき出しで睨み、李里香は半分パニックになりながらもなのはから預かったレイジングハートを取り出して呼びかける。

「レイジングハート、なのはちゃん達に連絡を取って!ねぇ!」

無事を願い必死にレイジングハートに、いや、レイジングハート越しになのは達に連絡する。しかし、レイジングハートからの返答はなかった……。

Re: ヴァイスシュヴァルツ・NEXT/STAGE ( No.72 )
日時: 2016/05/22 18:23
名前: 八雲(元BFD) ◆FvibAYZ8Tw (ID: zSZyy9Vi)


同刻。

「撃てー!撃って撃って、獣どもを焙り出せ!」

幾つもの砲撃が隠れ家に向けて放たれる。大きな爆発音を轟かせ、隠れ家を破壊していく。そして粗方撃ち尽くすとトカゲ型のプレダティオル人を筆頭に十数人の兵士が隠れ家に雪崩込み、瓦礫となった隠れ家を捜索する。

「……?おい、獣どもは見つかったか?」

「いえ、それが影も形も見つかりません」

アレだけの砲撃なら、いくら強襲と言えども撃ち尽くす前に脱出しているだろう。だがこの状況では、脱出した者はおろか、瓦礫の下敷きになった者も影も形も無い。どう言う事か困惑しているプレダティオル軍の頭上から、2つの人影が落ちてくる。

「烈空、十文字斬り!!」

「グランマニエ・ハンマー!!!」

突然上空から十字の衝撃波と巨大な鎖鉄球がプレダティオル軍を直撃。そしてその人影がプレダティオル軍の中心に着地する。

「貴様ら、いつの間に!?」

「何度も貴様らの好きにさせてたまるか!」

「反撃させて貰うのです!」

2人の言葉と同時に岩陰からぞろぞろと反乱軍が姿を現す。
まさかの逆襲にプレダティオル軍はうろたえる。しかし、ある人影が現れた事により士気が高揚していた反乱軍の顔が引き締まり、プレダティオル軍は優位に立った事を確信したように微笑を零す。

「随分と派手に暴れてるな」

「ヴァレリー……!」

「魔王ヴァレリー!よし、一発奴らを蹴散らしてやれ!」

「いつから俺より上の立場になったんだ?まぁいいか。消す事に変わり無ぇからな!」

一言余計なツッコミを入れると、ヴァレリーは魔王紋を発動。右手を地面に触れ、魔神の紋章が地面に現れる。
輝力を吸収するヴァレリーの『暗黒救世陣』だ。背後にあった紋章が広がり、範囲の中にいる対象全員の輝力を吸収する……!

「なっ……!?」

「ちょ、おま……!相手が違……ぎゃああああああああ!!!」

「なんだ!?」

しかし、その力の餌食となったのはプレダティオル軍のほうだった。

「ど、どういうことです?魔王ヴァレリーは裏切ったのでは……?」

「いいえ。ヴァレリーは裏切ってなどなかったのです。最初から」

意味が解らない、と言いたげなエクレにアデルが袖から取り出した紙切れを見せる。プレダティオルの手紙の証拠として現れ、アデルに掌低を叩き込んだ時に紛れて渡したのだろう。
魔王が裏切っていなかったその事を理解したトカゲのプレダティオル人は更なる嫌な予感を理解したのか、顔を真っ青にしつつヴァレリーに尋ねる。

「と、言う事はまさか……」

「ああ。今頃向こうも大暴れしてるだろうぜ?なんせ『武器を持たせたままリコと同じ部屋に叩き込んだ』からな」





フィリアンノ城内部。

「ユキカゼ式忍術:閃華双烈風!」

「天幻伐砕……飛天:襲狼牙!」

城の内部ではイスカ、ユキカゼ、シンクの3人がプレダティオル兵を次々と薙ぎ倒していた。そう、ヴァレリーはシンク達に密かに真意を告げ、リコッタと同じ部屋に送り込んだ。そして、時期を見計らって脱出したのは良い物の、シンクがトルネイダーを発動する前に警備兵に見つかってしまい、この状況に至る。

「……ぅぐっ!?」

「シンク!?」

「今だ!全員勇者を囲んで集中攻撃しろ!」

シンクが突然呻き声と共に片膝をつく。恐らく傷口が開いたのだろう。目ざとくプレダティオル兵がシンクへの集中攻撃を図る。

「リコ、なのはをしっかり支えて下さい!」

「え?あ、はい!」

すかさずリコとシュテルが銃を構えたなのはを支える。

「紋章砲のやり方は?」

「来る途中でしっかり!」

同時になのはの背後に天使をイメージした紋章が出現。銃口から明るいピンク色の魔力光が球状に充填され、徐々にそれが膨らんでいく。

「ディバイン……バスタァァァァァーーー!!!」

引き金を引くと同時、膨れ上がった輝力を前方に解き放つ。凄まじい破壊力を秘めた砲撃は、シンクを抱えてユキカゼがプレダティオル兵の群れから遠ざかった直後、その兵士達全員を纏めて飲み込み、100メートル先の壁を貫通し、空の彼方に消えていった。

「い、威力が桁違いであります……」

「一応弱めの威力でやったけどね」

「アレで弱めかよ!?俺なんか危く刀ごと腕を持ってかれる所だったぞ!」

どうやらあの威力でも弱めだったらしい。砲撃型の彼女にとっては軽いと思うが、あの一撃はフロニャルドでは凄まじく、そう見る経験はなかっただろう。
と、そんな時ぽっかりと大きな風穴が開いた壁から、輝力武装を使ったクーベルとメルクリウスに乗ったレベッカが城に入ってきた。

「一体どうしたのじゃ!?」

「クー様!丁度良かった、シンクを頼むでござる!」

助かったと言わんばかりにユキカゼがクーベルのスカイヤーに手負いのシンクを乗せる。

「なのはちゃん達はメルクリウスに乗って!李里香の所に案内するわ!」

「いえ、私は放送を流している装置を突き止めます。奴らの本拠地からここまではかなりの距離があります。どこかで受け止めて、そこから流しているポイントを突き止めれば……」

「そういえば捕まった時、テラスに変な装置を見たであります」

「何か方法があるんだね。レベッカさん、ここはシュテルに任せてお願いします!」

「解ったわ。しっかり掴まって!」

すぐになのはの言葉を聞き入れたレベッカはクーベルと共に壁の風穴から脱出。クーベルはシンクを安全なパスティヤージュへ、レベッカはそのままなのはと共にプレダティオル城へと飛んでいった。

Re: ヴァイスシュヴァルツ・NEXT/STAGE ( No.73 )
日時: 2016/05/22 18:26
名前: 八雲(元BFD) ◆FvibAYZ8Tw (ID: zSZyy9Vi)


「あの獣共が……!」

その頃、プレダティオル城の方でもビスコッティの状況が入り、レッドムーンの顔が憤りの余り額に青筋が浮かび上がる。
逆に李里香達は仲間の無事とヴァレリーの真意を知り、安堵の溜息を吐いた。

「ねぇ、レオ様にガウ様。ちょっと良い?さっき、レイジングハートを通じてシュテルから連絡が来たの」

「そうか。それで?」

密かにシュテルから送られた作戦をガウルとレオに告げる。作戦を告げ終えると、レオがレッドムーン達に言い放つ。

「形勢逆転じゃな。もう脅しは通用せぬぞ」

「ぐぐ……!」

「……お願い!」

李里香が叫んだ瞬間、ガウルが獅子王爪牙を発動。テーブルを粉砕し、衝撃波を放つ。その衝撃波はレッドムーンの前に躍り出たフェンリルが両手剣で掻き消すが、その直後に突出してきたレオの攻撃を反射的に防ぐ。その間にガウルと李里香はそれぞれ別の方角に逃げ出した。

「奴らが逃げた!翠樹、殿下を追え!私は小娘を追う!フェンリル!レオンミシェリをそこで食い止めろ!殺しても構わん!」

すぐに命令を出すと、数人の兵士を連れた翠樹がガウルを、レッドムーンが李里香をそれぞれ追いかける。
残ったフェンリルはレオとの鍔迫り合いから一転、バックステップで間合いを取る。対するレオもグランヴェールを大戦斧にして構える。

「あの時の逆になるとはな……お主も覚えているだろう、春の時を」

「何の話だ?」

「宝剣を賭けた戦の後、お主はライブの前にワシに言ったな。『未来は自の手で決めるものだ』と。ワシもお主とシンクの死を星詠みで出てしまった時はバカみたいに必死になった……しかし今はどうだ?あの連中の戯言に乗せられて進むべき道を誤っている。ついでに申すなら、お主はこのままで良いかどうか迷っている」

「……!」

「そして、己の過ちに知っているくせに正面から向き合わず、見てみぬふりどころかその過ちを否定している!何故にその過ちと戦おうとせんのだ!」

「……黙れッ!」

刹那、フェンリルが突進して剣を最上段に振り上げてくる。しかしその攻撃はレオにとっては簡単に見切られ、すれ違い様の一閃で兜を弾き飛ばされる。

「見ろ。それがお主の迷いだ。今の攻撃、兵長クラスでも避けるのは容易いだろうな」

「ぐっ……!」

兜から現れたミルヒオーレの顔を、レオは氷の刃のように鋭く、冷たい目で睨んでいた。





その頃、李里香を追っていたレッドムーンは扉が開いていた部屋の中にいた李里香を発見する。

「小娘、こんな所に!」

「いい加減対談も終わらせたら?ただし、今度は隠しっこ抜きでお願いするわ」

「……いいだろう」

対談を要求する李里香。レッドムーンも辺りに人がいない事を確認し、部屋の扉を閉めて対談に応じる。

「あたしはどうもアンタがフロニャルドを守ってるには思えないんだけど?本当の目的は何?」

軽く尋ねてみたが、レッドムーンは誰にも聞かれていないと思っていたのか、醜悪な本性を曝け出して語りだした。

「無論、フロニャルドの豊富な資源は全て我々モンスターエンパイアの軍備に使う。私が彼を呼んだ召喚の儀は少々別物でね。送還の儀にある『記憶を含めたフロニャルドの物を持ち帰る事は不可能』と言う条件は無いのだよ。これを編み出し、ここに道を作るのは苦労した。しかし持ち帰った鉱石を見た皇帝は私にここの侵略を任せてくれた。ここの資源を糧に、ゆくゆく私は帝国で大幹部へと躍り出るだろう!この完全無欠の領主、レッドムーン様がな!」

「つまり、フロニャルドを食い潰して自分は大出世って事かしら?」

「その通りだ。その暁には翠樹と貴様にもそのおこぼれくらいは考えてやっても良いぞ?バカな獣共は自分の国の姫が寝返った事でころっと抵抗する気力を失ったわ!」

「もう回りくどい説明は結構。要するに姫様たちの召喚の儀じゃあの映像の事は起こらないんでしょ?」

「当たり前だ!召喚の儀で呼べる人数は地球のゲートを解放する使者を合わせて3、4人程度。数十人の大所帯で潜ろうとすれば、ゲートがパンクして時空の狭間にまっさかさまだ!そんな危険を冒す必要がどこに「コンッ」ん?」

自分の計画をべらべらと喋りながら歩み寄ろうとした時、足に何か固い感触の物が当たる。話を中断して足元を見ると、それは放送に使われるマイクだった。そして視線を戻すと、李里香の手に放送機器の電源のスイッチを見つける。しかも、電源が付いた状態で。それを見た後、レッドムーンは足元のマイクに視線を移す。そして、顔をこれでもかと青白く染めて視線を正面に戻す。

「…まっ……!」

気付いた時は、もう手遅れだった。





フィリアンノ、屋外テラス。

『まさかぁぁぁぁ!!?』

ハウリングを起すほどのレッドムーンの絶叫。その音源は、美しいテラスには似合わない、嘗てリコが発明した『フロニャ周波増幅器』と同等の大きさを持つ巨大な機械からだった。

「作戦成功」

「大陸全土に絶賛生放送中であります」

そう、屋外テラスの敵を一掃した4人は機材を使い、プレダティオル城の放送を大陸全土に流していた。機器の操作は機械に詳しいリコ、理を司るマテリアルにとっては造作もない事である。
無論、この放送は大陸全土に流すよう操作しているので……。





ガレット領内。反乱軍本拠地跡。

『いつからだ!?そのスイッチ、いつから!?』

「どうやらやってくれたみたいなのです……!エクレ、バナード将軍、ビスコッティをお願いします!」

「ああ、解った!行くぞエクレール」

「はい!」





パスティヤージュ公国。

『最初っから。もう全部ダダ漏れよ』

「この声、まさかあいつの……!?」

「どうやらとんでもない奴だったみたいじゃの……!」





聖ハルヴァー王国。謁見の間。

『なんて事をしてくれたんだあああああああああ!!!』

『あ、因みにこのアイデアはあたしの相棒の片方よ。凄いでしょ?』

「べ、ベール!この声って……?」

「李里香さん!?」

つまりこの通り。ビスコッティどころか大陸全土に彼の悪巧みが全面暴露されたのである。

Re: ヴァイスシュヴァルツ・NEXT/STAGE ( No.74 )
日時: 2016/05/22 18:28
名前: 八雲(元BFD) ◆FvibAYZ8Tw (ID: zSZyy9Vi)



「この……!小娘ぇ!」

自分の計画を粉々に砕かれた腹いせに、レッドムーンが鞭を振るい、李里香に襲い掛かる。

「李里香ちゃん伏せて!」

その瞬間、李里香の背後から声が響く。声の通りに李里香は咄嗟に伏せ、直後に雷撃がガラスを突き破り、レッドムーンに直撃する。
そして破れたガラスから、レベッカとなのはが乗り込んできた。

「待たせてゴメン!大丈夫だった?」

「ううん、全然!」

乗り込んできたことで3対1となり、不利な状況に立たされるレッドムーン。ひっそりと扉のノブに触れようとした瞬間、突如扉が壁ごと何かで引き裂かれたような裂け目が広がる。その裂け目からフェンリルが現れ、すぐに入れと手引きする。

「ちょ、姫様!?」

暴露によりもう従う必要は無いと思われていた李里香にとってこれは誤算だった。すぐに後を追おうとしたが、それより先に避け目が閉じて元に戻る。

「李里香、実はヴァレリー様からこれを預かったの」

すぐさまレベッカが手紙を李里香に渡す。
手紙は走り書きしてあり、内容はこう記されていた。



『〜ヴァレリアからの手紙〜

これを獅子姫の契約者が読んでるって事は、どうやらレベッカが無事に届けてくれたみたいだな。時間がないから要点だけ話す。
まず俺が寝返った理由は、プレダティオルが使役する魔物の調査だ。どうやら奴らはフロニャルドの魔物とは違う。奴らをよく調べるには、奴ら側にいた方が早いし入念な調査も出来ると判断したからだ。チビ学士を連れてった俺は、王とかほざく奴に学士の地位を貰うと同時に『忠誠の杯』という儀式の後、正式に迎え入れられた。
あの酒瓶は忠誠を誓う者に対して主と杯を交わすって兵士が言っていた。俺は深夜こっそりと持ち出して調べてみると、あの酒には魔物の卵が混ぜられていたらしい。それはかなり小さいが、心臓に潜り込んで食い破るくらいの事はできる。どうやら忠誠を交わした相手が裏切ろうとしたら即座に魔物がソイツの心臓を食い破るらしい。俺はどうにかこの魔物を消滅できないか、他の魔法世界を侵略できないか調査したいと言う建前で直談判した所、あっさり承諾してくれた。あちこちのマギアワールドの魔力を調べた結果、この魔物の弱点はミッドチルダやベルカ系列の魔力だと言う事が解った。
早速俺はその魔力を自分に投与した。その結果、6時間を費やして魔物の消滅に成功した。だが、犬姫の場合は時間がない。もっと膨大な量を一度に叩き込めれば何とかなるはずだ。とにかく、今アイツを救えるのはお前しかいない。頼んだぞ!』



「膨大な魔力……今からそれを集めて、それ全部を姫様にぶつけるの!?さっきも空間を斬って移動してるのに、その隙を見てぶつけるなんて1発限りの分の悪すぎる賭けじゃない!」

「ううん。1発限りじゃないよ」

無茶振りにも取れる手紙からの要求にレベッカが否定的に叫ぶ。しかし李里香には既に理解していた。

「なのはちゃんとシュテルならそれくらいの量の10や20、朝飯前よ!一発で姫様に巣食ってる魔物を退治してやるわ!」

「それでもどうやって釘付けにするの?」

「あ、そっか。せめてバトルに持ち込めば何とかなると思うんだけど……戦は持ち込めないし、賭けの対象なんて……」

そこまで言うとふと思い出したようにポケットからタロットを取り出す。そして、ある事を思いついた。

「……これならいけるかも」

何かを思いついた李里香はすぐに放送を起動。城の全域に放送を行き渡らせる。

「もっしもーし、プレダティオルの勇者さんに領主さん。それとミルヒ姫様に連絡よ!長い会談だし、色々ゴタゴタもあったけどそろそろ終わりにしない?あたし達は上の屋外テラスで待ってるわ。レオ様にガウ様も屋外テラスに来てねー!」


Re: ヴァイスシュヴァルツ・NEXT/STAGE ( No.75 )
日時: 2016/05/22 18:29
名前: 八雲(元BFD) ◆FvibAYZ8Tw (ID: zSZyy9Vi)



プレダティオル城、屋外テラス。


「見つけたぞ小娘がああ!」

「君ら、何て事をしてくれたんだ……!」

一足先にテラスに来ていた李里香達の正面の扉から、レッドムーンと翠樹が雪崩込んできた。それと同時に、李里香を挟んだ背後の扉からガウルとレオが来る。そして空間を引き裂き、翠樹達側にミルヒが現れる。

「それで、何を始める気だ?」

「まぁ見てて。翠樹、アンタは確か死神のタロットを持ってたわね?」

「それがどうした?」

「簡単よ。あたしはアンタに今からヴァイスシュヴァルツでのファイトを申し込むわ!」

突然場の空気も読んでないようにファイトの申し込みをする李里香。場違いな要求に半ばキレ気味に返す。

「バカか!?こんな状況でそんなの飲む訳無いだろ!?」

「なら戦興業に持ち込む気?こんな混乱の中でまともに工業が成り立つとは思えないわね?」

暫しの沈黙。外が喧騒で騒がしいにも拘らず、屋外テラスは不気味なほどに静まり返った。
その間にレオは李里香のこの内容の真意を理解した。

「なるほど。そういう事か……」

「姉上?」

「奴は今、人間界である興業が行われている。カードの戦いに勝利し、奴らが今持ってるカードをヴァイスシュヴァルツで戦い、勝利したほうが相手のカードを奪い取る。そうして自分のを含めた10枚のカードを集めたチームが、次の興業への参加資格を得られるようだ。恐らくそれを元に、ヴァイスシュヴァルツでの戦いを煽っているのだろう」

「なるほどな。フロニャ力が弱まっている今、下手に戦興業に持ちかけても死傷者が出ちまうし、獣狩りの被害者を増やすだけだ。李里香の興業に乗じれば、被害は極力抑えられる。ミルヒを奪還できればもうこっちのもんだ!」

ここまで来るとガウルも話の内容を理解する。
今彼女は、WSキングダムの対戦ルールを利用し、ヴァイスシュヴァルツによる決闘を持ちかけてきたのだ。今のフロニャルドは守護力が強い場所は少なく、下手に戦興業を仕掛けても死傷者と獣狩りの被害者が増える一方。それに、運良く守護力の強い場所を戦のフィールドにしたとしても、フェンリルの能力を完全に抑える事はできない。
しかし、ヴァイスシュヴァルツでの決闘ならば、キャラカードになったカードは舞台とファイターの傍のある一定の範囲しか移動できない。知ってか知らずか、李里香は偶然にもフェンリルをフィールドに縛り付ける事が出来る方法を思いついたのだ。

「……良いだろう。受けて立つ」

「よっし!じゃあ——」

「ただし、こちらにも条件がある。タロットだけでは面白みが無い。賭けるのはタロットとフロニャルド、そしてミルヒオーレの3つだ!」

「え!?」

なんと、翠樹はタロットだけでは飽き足らず、ミルヒとフロニャルドまでヴァイスシュヴァルツの決闘に乗ってきたのだ!予想外の返答に李里香も困惑する。正直ミルヒをファイト中に取り返し、翠樹やレッドムーンを倒せば解決すると思っていた。だがもう後には引けなくなっている。

「やるしかないって事……?」

「決まったな。フェンリル!貴様も勇者のデッキに入れ!」

「……」

レッドムーンがフェンリルに怒声を浴びせるように命令する。今更ここまで来て後には引けない。

「解ったわ。受けて立つ!」

「李里香」

「最初っからそのつもりよ。レオ様達となのはちゃんとシュテル。3人のデッキで必ず倒す!あ、そうだ」

これから決闘と言う矢先、李里香が何かを思い出したようになのはにポケットの中にあった物を渡す。それは、作戦を実行する前に李里香に渡されたデバイス、レイジングハートだった。

「やっぱりこれは、なのはちゃんと一緒の方が良い。なのはちゃんの相棒でもあるんだからね」

「——ありがとう。絶対に勝とう!」

決意を新たに、李里香から渡されたレイジングハートを受け取る。そしてバリアジャケット姿に換装し、李里香の隣に立つ。
李里香もファイトの準備を終え、5枚の手札を揃えていた。

「「ヴァイスシュヴァルツ!ステージオン!!」」

『STEAGE,ON!』

今、世界一つの命運を賭けたファイトが始まる。





『DOGDAYS"次回予告』


李里香「いよいよフロニャルドを取り返す時……!この勝負で姫様もフロニャルドの未来も決まっちゃう……!」

エクレール「いいか人間!必ず勝て!」

シンク「姫様を頼んだよ……!」

ヴァレリー「んな奴らとっととぶっ倒してこい!」

李里香「お願いだからプレッシャー与えないで!?」

シュテル「李里香、プレッシャーに弱すぎです(キッパリ」

なのは「李里香ちゃん、リラックス!」

レオ「ワシらがいるからドンとぶつかって行け!」

フェンリル「お前ら決戦前だと言うのに呑気だな」


感想おk。