二次創作小説(映像)※倉庫ログ

はんぶんこ ( No.128 )
日時: 2014/11/01 20:16
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: FvI/oER9)

美味しい物をはんぶんこ。
 楽しいこともはんぶんこ。
  みんなみんな、はんぶんこ。











『はいっ、はんぶんこ!』

いつもの日常。私は烈君と一緒に、おやつを食べながらテレビ見てた。
女の子が男の子に、クッキーをはんぶんこしてる。微笑ましい。

「リリィ、今度の日曜、暇かな? 海鮮丼が美味い店見つけたんだ。一緒にいかないか?」
「うん、いく。烈君と、お出掛けしたい。」

烈君、最近元気ない。ご飯も食べたいけど、烈君と、お出掛けしたかった。
何て話している内に、おやつのクッキーが最後の一個。

「あ…。」
「あー…二人で分けて余る奴だったんだな。リリィ、お前が食えよ。」
「う、うん…。」

…烈君はそう言って私にクッキーを渡して、キッチンにいった。けど、ちょっと気が引ける。
このクッキー、烈君も大好きなクッキー。だから、気が引けた。

「…あ。」

ふと、さっきのテレビを思い出した。
はんぶんこ。そうすれば、烈君も食べられる。
思い立ったら、すぐにやる。私は手に力を込めて、中心を上にあげるように…。

「あ。」

簡単に、はんぶんこできた。…でも、完全にはんぶんこじゃない。片っぽ、大きい。

「リリィ、ミルク持って…どうした?」

適度に温めてくれたミルクを持った烈君が、私を見て首を傾げた。

「…はんぶんこ、出来なかった…。」
「あー…確かに片っぽ大きいな。お前が一人で食べてもよかったのに。」

烈君はそう言うけど、私は嫌だった。

「最後まで、烈君と、食べたい。独り占め、したくなかった。だから、はんぶんこ、したかった…。」
「リリィ…。」

烈君はしょんぼりした私の頭をくしゃくしゃってして、小さなクッキーを私の手から受け取った。

「ありがとな、リリィ。はんぶんこじゃなくても、嬉しいよ。」
「…うん。」

私は残った大きい方とミルクを飲みながら、烈君とまたお話ししてた。











夜、私はいつもみたいに、烈君が作ってくれたちっちゃなベッドで眠る。
…でも、何だか寝付けない。さっき飲んだミルクコーヒーのせい?

「…。」

だめ。眠れない。どうしよう。

「う…ううっ…!」
「あ…。」

まただ。また、烈君が苦しんでる。
ここの所、ずっとそう。うなされて、謝ってる。
どんな夢を見てるかはわからない。けど、烈君が苦しんでるのは確か。

「…。」

私は擬人化して、烈君のベッドに潜った。
烈君のふわふわした赤い髪の毛をなでなでしてあげると、うなされる声が少し止んでくれた。
私はそのままなで続けると、烈君から呻き声が聞こえる。起こしちゃった。

「…り、りぃ…?」

寝ぼけてる。でも、今度はちゃんと私だってわかったみたい。

「おはよう。」
「…まだ夜中じゃねぇかよ。」

私が挨拶したら、正論返された。まだ、外、真っ暗。

「眠れなかったのか?」
「うん。全然、眠くない。」
「あんなにがぶ飲みするからだろ。ミルクコーヒー。」
「ちょっと、失敗。」

眠れなくなるんだったら、あんなに飲むんじゃなかった。
でも、眠れなくて、よかった。

「でも、烈君の悪夢、止められた。起きてて、よかった。」
「リリィ…。」
「烈君。」

私は、烈君の目の前で、何かを割る動作をした。

「はんぶんこできるのは、クッキーだけじゃない。辛いこと、苦しいこと、痛いこと、悲しいこと、怖いこと…みんなみんな、はんぶんこ、できる。」
「…。」
「楽しいことは独り占め。でも、辛いこと、苦しいこと、はんぶんこ、しよ? 辛そうなお兄ちゃん、見たくない。」
「…。」

烈君は私の頭をくしゃくしゃってして、ぎゅっと抱き締めた。

「ありがとな、リリィ…。けど、楽しいこともはんぶんこしていこうぜ。」
「なんで?」
「楽しい記憶、嬉しい記憶。それを分かち合って、一緒に楽しんだりしようって事だよ。」

胸の辺りが、ポカポカする。
私は、烈君をぎゅっと抱き締めた。

「うん。いろんな事、はんぶんこ、しよ。辛いことも、楽しいことも。」
「ああ。」

お兄ちゃんにぎゅってする度、胸の辺りがポカポカする。
私はいつしか、眠っていた。





終わり


はんぶんこ 後書き ( No.129 )
日時: 2014/11/01 20:23
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: FvI/oER9)

後書き de 雑談



—唐突に始まり、唐突に終わるガッカリクオリチィ。ちなみに構想一日足らず。ちなみにリリィちゃんは烈君の過去は知りません。感づいていてもおかしくはないけど。


「…相変わらずの衝動書きかよ。いや今に始まった事じゃないけど。」


—唐突に、リリィちゃんが烈君とクッキーを半分こしてる光景が出てきたら、一気に話が広がってほのぼの目指してたのが何故かちょっと感動系に。この義兄妹(非公式)好きだわー…。


「これからも絶対に書くだろうな。この二人でほのぼのまたは感動系。」


—書くだろうね。思い付けば。…ネタが出るかは不明だけど。


「言うな。…ここで締めるか?」


—だね。じゃあ、ばいばーい!






感想okです。